記事公開日:2026年8月20日東急株式会社 様
「まちづくりの未来を担う『X人材』の創出~200社超のグループシナジーを生み出す、実践的デジタル研修の全貌~ 」

1922年の創立以来、交通、不動産、生活サービスなど、人々の生活に密着した多様な事業を展開してきた東急グループ。その中核企業である東急株式会社では、2021年を「TOKYU DX元年」と位置づけ、デジタルによるさまざまな変革を推し進めています。
その中でも核となる重要な取り組みが、事業とデジタルの架け橋となる「X(クロス)人材」の育成です。同社は、選抜者を対象とした実践的なDX人材育成プログラムにおいて、富士通ラーニングメディア(FLM)をパートナーに選定。ビジネス企画、データ分析、プロジェクトマネジメントを軸とするハイレベルな研修を実施しました。
本インタビューでは、デジタルプラットフォーム デジタル戦略グループの⼤橋様、⽩井様、人材戦略室 キャリア開発グループの山本様に、同社が掲げるDXのビジョンと、FLMの研修が組織にどのような変化をもたらしたのかについて、詳しくお伺いしました。

グループ横断の価値創出へ。東急が目指すDXのかたち
――御社では2021年を「TOKYU DX元年」と位置づけていますが、これまでどのようにDXを推進されてきたのか、全体像をお教えください。
大橋様:2021年以前にもいわゆるデジタル部門は存在していましたが、2021年に内製開発部門である“URBAN HACKS”を立ち上げ、DX部門として再編しました。それを皮切りに、お客様接点や既存システムの改善などの取り組みを開始しました。
2022年にはデジタル戦略を社内に向けて発表し、翌2023年にはDX認定を取得。そして2024年以降は、デジタルリソースを東急グループ内で共同利用していく段階に入っています。またURBAN HACKSも、内製開発を行う人材が100名を超える体制となりました。

――DX推進を通じて、最終的にはどのような価値をステークホルダーに届けたいと考えているのでしょうか?
大橋様:東急グループとしてはもちろんのこと、私ども東急株式会社自身も、さまざまな領域で事業を展開しています。そして、それぞれの事業ごとにも結果は出してきたと自負しておりますが、各事業を横断する形での「総合的なより良いサービス」は、十分にはお届けできていなかったように思います。
東急沿線に住まうお客様とは、「東急」と名の付く交通事業や生活サービス事業などを通じてさまざまな接点がありますが、データ活用を十分には行えていなかったため、各種の接点が有機的にはつながっていない状況だったのです。今後はそういった接点を上手につなぎ合わせることで、お客様一人ひとりに「新しい価値」をお届けし、それを街全体へと広げていくことを、中長期的には目指しています。
事業とデジタルをつなぐ「X人材」の不足と、FLMの「情熱」との出会い
――そういったシナジーを発揮していくにあたり、課題と感じていた点があれば教えてください。
大橋様:これまで当社が担ってきた事業の特性もあって、デジタル専門人材は必然的に不足していました。そのなかでも特に大きな課題と感じていたのが、当社が「X(クロス)人材」と呼んでいる「事業とデジタルをつなぐ人材」の不足です。
デジタル専門人材は、当然ながらデジタルについての知見は豊富ですが、事業の詳細については、なかなか十分には把握できていないものです。そして逆もまた然りで、事業に強い人材は、デジタルについての知見が不足している場合が多いという状況でもありました。
そこで「事業とデジタルの両面を理解し、共創できる人材」をX人材と定義し、さらにそれを「STEP1」と「STEP2」、「STEP3」の3段階にレベル分けし、デジタル活用人材の育成に取り組んでいます。デジタル基礎人材と定義されるSTEP1の人材に対し、デジタル推進人材であるSTEP2の人材が担うのは「既存事業の高度化・効率化」です。そしてSTEP3の人材は今後、「事業変革・新規事業開発」を担うことになります。

――そして2025年5月から、STEP2のデジタル推進人材を育成するための研修を開始されたわけですが、DX人材育成研修を行うさまざまな企業があるなかから、FLMを選んだ理由を教えてください。
白井様:端的に申し上げるのであれば、FLMさんを選ばせていただいた最大の理由は「熱意」あるいは「情熱」でした。
DXとは「変革」であり、半ば固定化された既存の枠組みの変革は、「誰かに何かをやってもらおう」という受け身の姿勢で実現できるものでは決してありません。「自分が変わる」「自分で変える」という熱意や情熱なしに、真の事業変革は達成できないと考えています。そしてDX研修にあたっては、受講者だけではなく講師の方々にも同様の熱意・情熱がないと、「ただ研修を行っただけ」「ただ受講しただけ」という結果になってしまう場合もあります。
FLMさんは、提案段階から強い熱意が伝わってきました。もちろん、ご提案いただいた研修コンテンツが素晴らしかったというのは大前提ですが、ご提案をいただいた際に私が投げかけた大量の質問すべてに対して、FLMさんには真摯に、情熱的に、そして柔軟にご回答いただけました。当社がイメージしていた以上の「事業の現場で本当に使える、変革が起こせる研修内容」を、ご提案くださったのです。

リアルな事業課題の解決を目指す、実践重視のDX人材育成プログラム
――FLMが実施した「DX人材育成プログラム STEP2」の概要と、実際の研修の様子を教えてください。
大橋様:STEP2の重点スキルとしては「ビジネス企画」、「データ活用」、「プロジェクトマネジメント」の3つを設定しました。これらのスキルを使いながら、受講者それぞれが実際の事業で直面している課題を、デジタルを活用してどのように解決していくかについて、講師から助言をいただきながら考える。そして最終日には、それぞれが立案した計画をプレゼンテーションする、という流れで研修を行いました。FLM講師のお二人にはプレゼンテーションの最終チェックもお願いし、合否認定をしていただきました。
3つの重点スキルの活用、実業務における課題の解決に向けた検討、そしてその発表、という盛り沢山の内容でしたが、日程は「半日×3日間」というタイトなものでしたので、非常に密度の高い内容・スケジュールの研修になりました。
しかし講師のお二人が受講者それぞれに、それこそ情熱的に寄り添っていただき、そして受講者たちも真摯に取り組んでいったことで、非常に有意義な研修になったと感じています。また、題材が「研修用に設定された架空の課題」ではなく、「受講者が事業のなかでリアルに直面している課題」であったことも、今回の研修をより効果的なものにしたと考えます。
山本様:これだけの内容を「半日×3日間」で行うのは、本来であれば困難です。「多くの受講者は業務で多忙なため、事前学習などの負担はなるべく減らしたい」という当社からのリクエストもありましたので、研修内容の設計は非常に難しかったかと思います。しかしFLMさんは重点スキル3つのエッセンスをそれぞれ凝縮した、高密度な研修設計を行なってくださいました。
もちろん高密度ゆえに、受講者にとっては難易度も負荷もかなり高かったと思います。しかし講師の飯田さんと拝野さんは、研修当日の受講者の様子や反応を観察し、状況に合わせて、研修内容をその都度最適な形にアレンジしてくださいました。そんなきめ細かさがあったからこそ、厳しいスケジュールのなかでも、すべての受講者が高い意欲を持って取り組めたのだと思っています。

部門の壁を越え「横連携」が加速。研修がもたらした組織のポジティブな変化
――研修を実施してみて、受講者や組織にはどのような変化があったのでしょうか? 特に手応えを感じたポイントがあれば、教えてください。
山本様:研修内容は非常にハードでしたが、そのおかげもあって、研修終了後は「このようなプロンプトを作ってみました」というような発信や、「こういった業務を生成AIで行いたいのであれば、このようにやってみると良いのでは」というサジェスト、あるいは「こういう場合はどうしたらいいでしょうか?」というような質問などが、社内チャット上で活発に交わされるようになりました。

そしてそういったチャットが個々の業務へと落とし込まれた結果、現在は部署内でチャットボットのテストを行ってみたり、「これを多くの従業員に提供するにはどうしたらいいか?」「部門の枠を越え、鉄道領域や再開発領域でも使えるようにするにはどうするべきか?」などのさまざまな議論が生まれたりしています。このような盛り上がりのきっかけとなったのは、「DX人材育成プログラム STEP2」研修だったと思っています。
デジタル人材の裾野を広げることで、新しい価値が生まれる
――東急株式会社様のDX推進における今後の展望と、その実現に向けてFLMに期待していることをぜひ教えてください。
白井様:「社員全体の何%をX人材とする」といった目標も設けていますので、そこに向かうにはどういった手段が最適かといった議論を含め、FLMさんにはぜひ、引き続きお付き合いいただければと思っています。

山本様:FLMさんには今後も今回のような熱量と情熱をもって臨んでいただけることを期待しております。
STEP2の研修時に印象的だったのは、講師の飯田さんも拝野さんも「受講者と一緒に汗をかいている」という姿でした。スライドを説明されているとき以外は、常に受講者一人ひとりの間を熱心に回り、絶えず声をかけて寄り添ってくださっていました。
今後もさまざまな要求をさせていただく機会は多いかと思いますが、より一層、当社との関係を深めていただけることを期待しています。
大橋様:多くの方は、東急という会社にデジタルのイメージはお持ちでないと思います。「東急は、実はデジタルによって人々の暮らしをより良いものにしている」ということをお客様に実感いただくためには、各事業領域において「X人材」を今以上に増やしていかなければなりません。
そのためには、STEP3に該当する高度なデジタル推進人材を育成することももちろん大切ですが、まずはSTEP2の母数を増やし、「熱意あるデジタル人材」の裾野を広げていく必要があると考えます。そしてそれにはFLMさんのご協力が不可欠です。今後とも当社をご支援いただけることを期待しています。
関連情報
富士通ラーニングメディア担当者からのメッセージ

講師
(左)デジタル人材育成ソリューション事業本部
マネージャー 拝野 晃希
DXコア人材育成を専門とするチームのマネージャー職を担当。AIやデータ分析に関する知見をもとに、各社で拡充が求められる変革人材を育成する。
(右)デジタル人材育成ソリューション事業本部
イントレプレナー / マネージャー 飯田 哲也
事業創出と業務変革を専門とするチームのマネージャー職を担当。人材育成を起点に伴走支援し、最終的なアウトカムにつなげることを得意としている。
お打ち合わせの際、東急株式会社様からは本当に数多くのご質問を頂戴しましたが、それはそのまま「熱量の現れ」ですので、その熱量に見合うだけの研修をご提供できるよう、最大限の努力をさせていただきました。
今回の研修は内容的にも日程的にも非常にハードで、途中で離脱される方が出たとしてもおかしくないものでした。それでも全員で無事完走できたのは、受講された一人ひとりの能力がきわめて高いことに加え、社員の皆さまの「横連携」がしっかり取れていて、フラットに聞き合うことができる組織であったからだと感じました。
今後も、そういった東急様の強みをより増幅できる研修をお届けできるよう、努力してまいります。

営業
カスタマーサクセス本部
(左)弘 淳、(右)マネージャー 松本 真知
営業担当としては、受講者の皆さまと当社の講師陣がうまく噛み合うか気になっていましたが、東急株式会社様の「熱意」と当社講師陣の「情熱」とが良い意味でぶつかり合い、素晴らしい化学反応が起きてくれたと思います。
DXにはさまざまな形がありますが、鉄道を中核に、沿線の都市開発・不動産・商業まで一体的に展開されている東急株式会社様のような事業形態においては、複数事業にまたがる顧客接点やデータを横断的につなぐことで、新たな価値創出の余地が大きいと感じています。
一方で、事業領域の広さゆえに、部門を越えた連携やデータ活用が課題となりやすい面もあると存じますが、本研修が今後に向けた議論のきっかけになったと伺い、変革の一助となっていることを大変嬉しく思います。
※ 本記事の登場人物の所属、役職は記事公開時のものです。
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