複雑化するシステム運用を変革する「統合ITOps」とは
~AIを活用した運用状況把握・意思決定・振り返り~

モダナイゼーションやDXが進展する中、以下のようなシステム運用の課題に頭を悩ませていませんか?

  • 「障害が発生したけれど、連携が複雑すぎてどこに原因があるか分からない」
  • 「特定のベテラン担当者に頼り切りで、対応が属人化している」
  • 「目先の障害対応に追われ、毎回その場しのぎでナレッジが蓄積されない」

本記事では、AIを活用してこれらの課題を解決する「統合ITOps」という新しいアプローチを、活用シナリオもまじえてわかりやすく解説します。統合ITOpsとは、AIを活用して運用状況把握・意思決定支援・振り返りを一体的につなぎ、障害対応の迅速化と継続的な運用品質向上を支援するアプローチです。

1. モダナイゼーション・DXで発生するシステム運用の課題

業務システムのモダナイゼーションやDXの推進により、システムの構成や求められる要件が大きく変化しています。従来、独立して動作し単体で完結することが多かったシステムが、クラウドサービスやオンプレミスシステム、SaaSやデータ基盤などを用途や適性に応じて組み合わせ、互いに連携させるシステムに変わってきています。また、ビジネスの変化に迅速に対応するため、システム稼働後も機能強化や拡張、構成変更を継続的に行うことも当たり前になってきました。

こうした変化の一方で、運用現場は依然として業務やシステム単位で分断されており、その変化のスピードに追随できていません。システム連携が複雑化し、変更の頻度も増えていく中で、従来の運用を続けると、以下のような問題が生じます。

①全体状況が見えない

複雑化したシステムの全体状況が把握できず、障害発生時に影響範囲の確認や根本原因の特定に時間がかかるようになります。

②判断や対処に迷う

個々の担当者の経験やノウハウへの依存、対応品質のばらつきや属人化といった従来からの課題がますます深刻化し、判断や対処に時間がかかるようになります。

③結果を次に生かせない

障害対応に追われて対応結果や得られた知見を十分に整理・活用することが困難になり、運用の効率化や品質向上が進んでいきません。

こうした問題の影響は、運用現場だけにとどまりません。トラブルの長期化による顧客影響や機会損失、さらに本来の目的である変革に十分なリソースを割けなくなるなど、ビジネス全体に波及していく恐れがあります。モダナイゼーションやDXを安定的に推進するためには、システムの変化に合わせて運用そのものも変えていく必要があります。

2. 統合ITOpsとは?運用のモダナイゼーションを支える仕組み

統合ITOpsは、AIを活用して、問題検出、影響確認、意思決定、対処実行、復旧確認、結果整理、改善という一連の運用プロセスをつなぐ考え方です。分断されていた情報と作業を一体的に扱うことで、障害対応の迅速化と、運用品質の継続的な向上を支援します。こうした運用プロセスの変革を、本記事では「運用のモダナイゼーション」と呼んでいます。

統合ITOpsによる障害対応と運用改善の概念図
図:統合ITOpsが支援する運用プロセスの全体像

統合ITOpsは、システムの多様化や連携の複雑化に伴って発生する①「全体状況が見えない」、②「判断や対処に迷う」、③「結果を次に生かせない」という課題の解決を、以下の3つの機能で支援します。

①運用状況把握

システム全体の構成や構成要素間の相互関係、連携処理の流れを一元的に可視化し、運用状況や問題の影響範囲の把握を支援します。連携処理の効率的な開発を支援し、処理を統合制御することも可能です。

②意思決定支援

トラブル対応時に必要となるさまざまな情報や判断材料を、AIを活用して提示することで、対応の属人化を低減するとともに、迅速な問題解決を支援します。

③振り返り

AIを活用して対処内容や結果を整理し、再利用可能なナレッジとして蓄積します。過去の対応を次の判断や対処に生かすことで、継続的な運用効率化と品質向上を支援します。

導入効果

統合ITOpsの導入により、関連する作業に必要な時間を大幅に短縮することができます。モデルケースおよび検証結果では、以下の効果を確認しています。

統合ITOpsの導入効果。【運用状況把握(可視化)】異常影響を迅速に特定。 【運用状況把握(統合制御)】最大80%削減。【意思決定支援】36%削減。【振り返り	】50%削減。
※モデルケースまたは検証結果に基づく数値であり、環境によって効果は異なります。

3. 統合ITOpsを活用した障害対応の流れ

統合ITOpsを活用した障害対応の流れを、シナリオベースでご紹介します。(実際の画面は、動画でご覧いただけます。)

統合ITOpsによる障害対応プロセスの画面例
図:統合ITOpsを活用した障害対応の流れ

①「見える」運用状況把握

1) 全体可視化で運用状況を把握します。全体可視化では、さまざまなシステムの構成や、データベース、インフラ、アプリケーションやバッチジョブなどの構成要素や相互関係の全体を、整理・階層化して表示することができます。

2) 各システムから通知された情報から問題を検出し、アラートが表示されます。

3) 業務影響を確認します。連携処理や業務を制御するバッチジョブについては、ジョブフロー全体の処理の流れを可視化し、影響範囲の詳細を確認することができます。

②「判断できる」意思決定支援

1) 問題発生状況をもとに、根本原因となる箇所の候補が優先度付きで自動表示され、原因の特定を支援します。

2) 発生事象と蓄積されたナレッジをもとに、AIが過去の類似事例や対応手順案、判断の根拠となる情報を提示し、迅速な対応を支援します。

3) 不明点や詳細情報は、AIチャットで確認することができます。復旧手順がすでにナレッジ化されていれば、素早く検索し、復旧作業を行うことができます。

③「蓄積できる」振り返り

1) 対応時のメールやチャット、作業メモなどの非定型なデータを、AIを使って整理することができます。

2) 時系列に沿って対応履歴が整理されたインシデント記録の案が自動生成されます。インシデント記録は、今後の対応において類似事例や対応手順案として活用されます。

3) 作業手順などの情報をAIが抽出し、ナレッジの案が自動生成されます。必要に応じて修正してナレッジとして登録することで、今後の対応で活用することができます。

統合ITOpsを活用した障害対応の流れを、動画でご覧いただけます。

4. まとめ:運用のモダナイゼーションにより継続的な運用品質の向上へ

モダナイゼーションやDXの進展により、システムを構成するサービスやシステム間の連携は複雑化しています。安定した運用を継続するためには、システムだけでなく、運用プロセスも変革していくことが重要です。

統合ITOpsは、AIを活用して分断された運用プロセスをつなぎ、「運用状況把握」「意思決定支援」「振り返り」を一体的に行うことで、問題発生時の迅速な対応と、継続的な運用品質の向上を支援します。

より詳しく知りたい方に

  • 統合ITOpsの概要資料を見る[PDF]

    統合ITOpsの概要や導入効果をご覧いただけるご紹介資料です。

  • Fujitsu Workload Operations Integratorを詳しく知る

    統合ITOpsを構成するサービスの一つであるFujitsu Workload Operations Integratorのご紹介記事やカタログ、各種資材を掲載しています。Fujitsu Workload Operations Integratorは、システム内外にまたがる業務処理を統合制御し、依存関係と実行状況を可視化するサービスです。

  • Fujitsu Decision Accelerator for ITOpsの概要資料を見る[PDF]

    統合ITOpsを構成するサービスの一つであるFujitsu Decision Accelerator for ITOpsのご紹介資料です。Fujitsu Decision Accelerator for ITOpsは、システムの全体構成と状況を可視化し、意思決定に必要な判断材料を提示・蓄積していくことで、障害発生時の復旧迅速化と継続的な運用品質向上を支援するサービスです。

  • 関連サービスを調べる

    ITインフラの運用変革を支援するHybrid IT Managed Servicesについてご紹介しています。

備考
本記事には一部開発中の機能が含まれます。機能名称・画面イメージ・動作仕様は今後変更となる場合があります。
記載されている会社名、システム名、製品名、サービス名などの固有名詞は一般に各社の登録商標または商標です。また、本文および図表中に記載されている会社名、システム名、製品名、サービス名などには必ずしも「TM」、「®」を付記しておりません。

関連情報

ガラス張りのオフィスで仕事をする人々のグループ。

クラウド上のシステム運用にお悩みの方必見!

システムを安定稼働させるためには、システムの可用性、状態監視、業務運用管理が重要なポイントになりますが、従来のオンプレミスとクラウドとで設計や運用は異なるのでしょうか。重要なポイントは変わりませんが、クラウドの機能・特徴を意識した設計や運用が必要です。
特集「クラウド運用管理」ではクラウド運用の基本的な考え方を解説するとともに、システムを安定稼働させる方法についてわかりやすくご紹介します。