Fujitsu IR Day 2026
中長期経営ビジョン2035への道筋

富士通は2026年9月16日、投資家・アナリスト向けにIR Dayを開催しました。中長期経営ビジョン2035の下でテクノロジーをいかに「稼ぐ力」へ転換し、企業価値向上を実現するのか。IR Dayでは、5人の副社長が担当テーマごとに、定量目標にも言及しながら成長の持続性と継続的な収益性向上への道筋についてご説明しました。

執行役員副社長CTO(システムプラットフォーム担当)* Technology
ヴィヴェック マハジャン

独自の価値を創出するテクノロジーで推論AI需要を捉え、中長期的な競争優位性を確立します。

執行役員副社長 CTO(システムプラットフォーム担当)* Technology ヴィヴェック マハジャンの写真

当社はAI Sovereigntyというテクノロジー戦略を打ち出し、その実現に向けたイノベーションに挑戦してきました。AIプラットフォーム、それを支えるコンピューティングとネットワーク。この3つのすべてを手掛ける会社はグローバルでも限定的です。

コンピューティングでは、当社製CPUのFUJITSU-MONAKAを中心にビジネスを展開します。Agentic AIの時代に需要が爆発的に拡大すると予想されるAI推論に必要とされるのがCPUです。FUJITSU-MONAKAは中規模LLMのAI推論をCPU単体で実行可能であり、高い電力効率とSovereigntyを兼ね備えます。2026年11月のグローバル販売開始は、AI用途を追求したCPUとして非常に良いタイミングだと考えています。

当社はFUJITSU-MONAKAを、当社製サーバにCPUを搭載して販売するFujitsu MONAKA Serverビジネスとしてだけでなく、CPUそのものとしても国内外に向けて販売していきます。2027年度のCPU売上収益は350億円を想定し、2035年度には5,000億円を目指します。Fujitsu MONAKA Serverについては、2027年度から2030年度の累計で出荷台数6万台を目指します。

AIプラットフォームFujitsu Kozuchiでは、Physical AI領域も含め、エンタープライズのお客様の様々なニーズに応える機能を進化させてきました。また当社は量子コンピューティング、ネットワークにおいても中長期的な技術トレンドを見据え、独自のテクノロジーを開発しています。2035年度に向けて新規事業領域を支えるテクノロジーを進化させ続け、新たな市場を創出していきます。

執行役員副社長CRO(コンサルティング担当)* Revenue
大西 俊介

「攻めと守り」の両輪で、AI時代に合致したバリュープライシングへの転換を推進します。

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2025年度の国内市場において、当社は公共、金融、防衛、製造、流通の5つの業種で、市場成長率を上回る力強い結果を出しました。今後の市場の変化・拡大が見込まれるAIサービス市場は、2026年度から2030年度の5年間に年平均成長率(CAGR)25%で成長し、2030年度には60兆円規模に達すると推定しています。

Uvance Wayfindersのコンサルタントのリードの下、テクノロジーの進化などに伴う業種別のデジタル・ITデマンドの変化を捉え続けます。当社独自のテクノロジーや業種ごとの深い知見・ノウハウといった強みを活かし、お客様への提供価値の創出と事業成長を加速させていきます。

現在のテーマは、従来のコスト積算型のプライシングから、AI時代の提供価値を見据えたバリュープライシングへの転換です。バリュープライシングが実現する収益モデルには、大きく分けて利益率改善型の「守り」のモデルであるOutcome Baseと、スケール拡大(売上成長)型の「攻め」のモデルであるUsage Baseの2つがあります。

この2つのモデルを両輪として、2025年度時点で20%のバリュープライシング比率を、2030年度に60%、2035年度に80%に引き上げることを目指します。この転換による売上総利益率(GM率)の押し上げ効果は、2030年度に3%以上、2035年度には5%以上と想定しています。

執行役員副社長COO(ソリューションサービス担当)
高橋 美波

暗黙知をAIの力に変えて提供価値を高める循環を確立し、Uvanceの成長の質を追求します。

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2030年度までの売上収益CAGR20%超を維持し、Uvanceを1.7兆円以上の事業規模に育てていきます。同時に質的な転換も重視し、2030年度のUvanceのリカーリング率70%超、およびリカーリング領域におけるGM率55%超を目指します。

Uvance WayfindersとForward Deployed Engineers(FDE)の連携が、提供価値最大化のカギを握ります。コンサルティングで定義したお客様の課題を解決するために、FDEが中心となって複数のAIモデルを組み合わせ、アプリケーション実装まで落とし込みます。テクノロジーとサービスを一気通貫でお客様に価値を提供できる当社の強みを発揮します。

富士通は長年、ミッションクリティカルな領域の業種業務の知見を蓄積してきました。こうした暗黙知をAIが活用できるような業種ごとのコンテキストとして体系化することで、高度なプロフェッショナルサービスを展開します。

重要なのは、FDEとコンサルティングが一緒にお客様のAIトランスフォーメーション(AX)に伴走するとともに、そこで得た実践知を当社のテクノロジーに還元していくことです。フィードバックループを回す仕組みを構築し、お客様への提供価値を継続的に高めていきます。

執行役員副社長COO(サービスデリバリー担当)
島津 めぐみ

AIドリブンデリバリーの深化とモダナイゼーションで、成長と収益性向上を加速します。

執行役員副社長 COO(サービスデリバリー担当)島津 めぐみの写真

当社は過去数年間、サービスソリューションのGM率を毎年約2%向上させてきました。今後も2035年度まで、継続的に毎年2%超のGM率改善を目標にしています。

サービスソリューション全体をスコープとするAIドリブンデリバリー変革がその具体策の1つです。生産性を高めコストを改善するだけでなく、お客様に圧倒的なスピードという価値を提供します。今後は裾野拡大から深化をテーマに、AIエージェントを活用した開発を加速します。

生産性向上を理由にした値下げ要求がお客様からあることは織り込んでいます。一方で、エンジニア不足でこれまで辞退していた商談の獲得余地が生まれるため、AIドリブンデリバリーで回転率を上げ、売上収益を拡大する計画です。

モダナイゼーションに関しては、2025年度に売上収益約3,900億円を達成し、2026年度は4,700億円を目指します。当社レガシーのモダナイゼーション需要がピークを迎える2028年度以降も、他社レガシー、あるいはオープンレガシー市場を開拓して成長を続けます。これにより、2030年度に売上収益7,000億円超、モダナイゼーション領域でのGM率50%超を目指します。さらに2035年度に向けては、Modernization for AIとして新領域創出にも挑戦します。

代表取締役副社長CFO
磯部 武司

成長投資と株主還元を両立するキャピタルアロケーションを通じ、持続的な成長と企業価値向上を実現します。

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中長期経営ビジョン2035の下で、売上収益については2025年度の約3.5兆円から2035年度に約2倍の7兆~8兆円、営業利益については2025年度の0.4兆円から2035年度には2兆円超、営業利益率は25~30%程度を目指しています。

利益の拡大と同時に、事業の効率と資金効率の改善も図り、コア・フリー・キャッシュ・フロー*1は2025年度比で4~5倍程度への拡大を計画しています。キャピタルアロケーションの原資となるベース・キャッシュ・フロー*2は、今後10年間合計で約10兆円という想定です。

この10兆円を、成長投資に6兆円、株主還元に4兆円配分する計画です。成長投資6兆円のうち半分の3兆円は、サービスソリューションの事業拡大に向けた投資です。2025年度は単年度で約2,000億円を投下したので、今後は1.5倍程度に拡大する計算です。残りの3兆円がテクノロジーによる新規事業創出への投資です。どちらの領域も、成長スピードを上げるために、規律を持って適時適切なレバレッジを活用することも辞さない考えです。

株主還元は4兆円規模の計画です。従来の還元方針から大きな変更はなく、総還元性向は60%程度を目安としながら、利益成長に沿った還元の総額の拡大を目指していきます。

企業価値を持続的に拡大させるには、積極的な成長投資と、資本効率を意識した株主還元のバランスが必須です。事業成長を実現するための投資を実行するとともに、株主還元を安定的に拡大します。この両立こそが財務KPIである調整後EPSのCAGR15%超と調整後ROE20%超の実現につながると考えています。

*1 事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う一過性の収支を控除した、経常的なフリー・キャッシュ・フロー。
*2 成長投資前のフリー・キャッシュ・フローにリース料支払等を加えたキャッシュ・フロー。