富士通調査 2026AIで成果を出す企業の4つの共通点

Article | 2026年9月29日
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AIを業務に本格的に導入する企業が増えています。しかし、目論見通りの成果を上げている企業ばかりではありません。AIで実際に効果を上げるのは、思ったより難しいと感じているビジネスパーソンが多いのではないでしょうか。
富士通は10か国1,000人のCxOを対象に調査を行い、AIの利活用の現状と課題を探りました。その結果、AIをうまく生産性の向上につなげている企業には、4つの共通点があることが見えてきました。
※所属・役職は取材当時のものです
AI活用は「実践フェーズ」へ 企業の9割が導入を予定
富士通は2026年2月、グローバル企業の1,000人のCxOを対象に調査を実施しました。(*1)そして企業経営者が直面するテクノロジーに関する課題やAIの活用状況について分析しました。
その結果、オフィス業務においてAIを活用する企業は全体の4割(41%)を超えました。また、製造や配送などのフィジカルな業務における活用は3割(34%)を上回りました。分析ではAIの活用領域がデスクワークから現場へ拡大していることが明らかになりました。
調査プロジェクトをリードした富士通 技術戦略本部 テクノロジーマーケティング戦略統括部の西川 博シニアディレクターは、AIの普及について「真の実践フェーズに入った」と分析します。
「業務利用の流れはますます加速することが確実です。今後3年以内にオフィス・現場の双方で、AI・ロボットを適用する予定と回答した企業は、9割近くにのぼりました」
ただし、注意しなければならない点もあるといいます。
「AI導入がバブル的で加熱気味であること、セキュリティが不十分であること、AIそのものが未成熟であること、それに雇用への悪影響といった課題について、依然として不安があることがわかりました」と西川は述べています。
「一方で、約8割は、『AIの進化に対応できない企業は、競争力を維持できなくなる』とも回答しています。つまり、CxOや従業員は様々な不安を持ちつつ、テクノロジーの進化に取り残されてしまう危機感に押され、AIを使用している状況だと考えられます」

AIで生産性は上がるのか?広がる企業間の格差
AIに期待される「生産性の向上」についても、分析を行いました。
AIの経済への影響については、国際的な議論は分かれています。例えば、国際通貨基金(IMF)は2025年のWorking Papers(*2)の中で、「全要素生産性(経済の効率性を示す指標)の成長率をめぐっては、激しい議論が交わされており、研究によって大きな差がある」と指摘します。
また、ノーベル経済学賞を受賞したマクロ経済学者のダロン・アセモグルは、AIによる全要素生産性の伸び率は、今後10年間で0.53%未満にとどまるとの慎重な推計を発表しました。論文は多くの国際機関に引用され、企業がAIへの投資を成果につなげる難しさに悩む現状がうかがえました。(*3)
こうした中、富士通は、AIの価値をうまく引き出している企業から、成功のヒントを得たいと考えました。調査対象から、オフィスと現場に広くAIを導入し、かつ生産性を一定以上向上させたグループに絞り、どのような特徴がみられるか分析しました。
成功企業の「4つの共通点」
生産性向上を実現できているリーダー企業には、どのような共通点があるでしょうか?富士通が分析したところ、以下の4点で高いスコアを示していることがわかりました。
1:「戦略」
AI戦略と経営戦略の融合
2:「人材」
AIを根付かせる人材の育成
3:「テクノロジー」
AIの活用を広げるテクノロジー基盤
4:「セキュリティ」
攻撃者視点で強化したセキュリティ
それぞれについて解説します。
1つ目の共通点は「戦略」です。AI戦略を経営の中心に置き、パーパス経営とともにトップダウンで取り組んでいます。これが、持続的な企業成長のカギです。AIの価値を引き出すにはトップの理解が欠かせません。
2つ目は、「人材」の育成です。従業員がAIを活用しやすい文化を築くことが重要です。利用を奨励し、一人ひとりがAIの適切な使い方やリスクを理解できるよう環境を整備しています。
3つ目は「テクノロジー」、特に基盤が整備されていることです。既存システムとAIを連携する基盤は、AIの価値を最大化するために必要です。また、質が高い回答を得るには入力データの品質管理が重要です。そのための仕組みづくりも不可欠です。
最後の4つ目は、「セキュリティ」を強化していることです。AIの登場でサイバー攻撃は高度化し、これまでの対策では防ぎきれなくなっています。全社でセキュリティ強化に取り組むことが大切です。
調査では、AI導入時の課題として「情報漏洩・セキュリティへの不安」が最も多く指摘されました。分析した西川は、「セキュリティは単なる技術的な対策にとどめず、企業価値や競争力に直結する経営課題として捉える必要があります」と話します。
富士通が社内実践する「全社AI活用」
「戦略」、「人材」、「テクノロジー」、そして「セキュリティ」―この4つの要素が、AIによる企業変革のカギとみて、富士通では実際に取り組みを進めています。
この内「人材」の分野では、一人ひとりの従業員がAIを使いこなすことを目指し、社内プロジェクト「全社AI実践イニシアティブ」を2025年から推進しています。
AIの利用状況や影響を定量的に把握するため、ダッシュボードを整備しています。このダッシュボードは、生成AIやAIエージェントの利用者数、残業時間、商談件数など様々な指標の推移を可視化し、リアルタイムで提供しています。
また、オンラインの社内コミュニティでは従業員が、便利な使い方や開発したアプリなどを投稿し、活発な情報交換が行われています。取り組みのひとつが、活用事例を全社で共有しようと、優秀なプロジェクトを表彰する「AI Award 実践事例コンペティション」の開催です。2025年度は220件以上の応募がありました。
プロジェクトの成果もあり、6月時点でほぼ全従業員に相当する約10万人がAIを活用するようになりました。
富士通では、こうしたAIを使って得た「実践知」について、お客様へ積極的に還元しています。

人とAIが協働するDynamic transformation(ダイナミックトランスフォーメーション)
今回の調査や分析結果は、富士通がテクノロジーの進化や未来のビジョンをまとめた「Fujitsu Technology and Service Vision」(フジツウテクノロジー&サービスビジョン)に掲載しています。
2026年度版の「Fujitsu Technology and Service Vision」では、人とAIが実験と学習を繰り返しながら経営や業務を変革する “Dynamic transformation”(ダイナミック トランスフォーメーション)を提示しています。
この企業変革について、西川は「外部環境やテクノロジーの進化のスピードは、これまで以上に上がります。そうした中、人とAIがともに変革のサイクルを高速で回してビジネスを更新することが、経営のカギになると考えています」と話しています。
富士通は、自社の取り組みから得た知見を専門知識と融合させて、お客様とともにAI-drivenへの変革に取り組んでまいります。
「Fujitsu Technology and Service Vision 2026」では調査の結果や、AI時代の企業変革について、より詳しく紹介しています。是非ダウンロードのうえ、今後の経営や事業計画にお役立てください。

脚注
*1 調査は富士通がマーケティングリサーチ会社Dynataに委託し、北米・欧州・APACの10か国、1,000名のCxOを対象に実施。
*2 Eugenio M Cerutti, Antonio I Garcia Pascual, Yosuke Kido, Longji Li, Giovanni Melina, Marina Mendes Tavares, and Philippe Wingender. "The Global Impact of AI: Mind the Gap", IMF Working Papers 2025, 076 (2025), accessed 2026/8/24, https://doi.org/10.5089/9798229008570.001
*3 Daron Acemoglu, “The Simple Macroeconomics of AI”, Economic Policy, Volume 40, Issue 121, January 2025, accessed 2026/8/24, https://doi.org/10.1093/epolic/eiae042
西川 博
Hiroshi Nishikawa
富士通株式会社 技術戦略本部
テクノロジーマーケティング戦略統括部
シニアディレクター
富士通入社後、通信装置開発、サーバー製品のグローバルアライアンス、M&Aを通じた欧州ビジネス拡大に従事した後、2014年より富士通のテクノロジービジョンの制作をリード。Stephen M. Ross School of Business MBA、大阪大学 理学研究科 物理学専攻修士。


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