“真に信頼できるAI” とは何か企業変革を支えるTrust in AIの条件

Article | 2026年8月31日
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AIの真価が問われるのは、これからだ。AIが経営判断や業務実行の中核に入り込むほど、企業に問われるのは「どのAIを使うか」ではなく、「AIにどのように信頼を組み込むか」になる。AIは個人業務を支援するツールから、業務プロセスそのものを担う存在へと進化しつつある。一方、企業のAI活用は多くの場合、個人業務の効率化にとどまり、業務全体の変革に至っていない。なぜそうなるのか? この根源的な問いに対し、AIを真に企業の競争力へと昇華させるための鍵となるのが「Trust in AI」だ。半世紀以上にわたってAI研究に取り組んできた富士通の技術知見と、顧客の企業変革に向き合う同社のコンサルティング事業Uvance Wayfinders(以下、Wayfinders)の実践知。その両面から、「Trust in AI」の本質を読み解く。
Trust in AI―真に信頼できるAIとは何か。Wayfindersを率い、顧客の企業変革に向き合う習田晋一郎が、ナビゲーターとして自社のキーパーソンに問いかける本企画。コメンテーターには、日経BP 総合研究所フェローの桔梗原富夫氏を迎える。第1弾では、富士通研究所長の岡本青史とともに、企業がAIを信頼し、業務に組み込むための条件を探る。
※本記事は、日経ビジネスの特集シリーズに掲載された記事を、許諾を得て転載したものです。
なぜAIは「PoC止まり」になるのか? 企業導入が進まない本当の理由
習田:多くの企業が生成AIのPoCに取り組んでいますが、実際に業務プロセスや意思決定まで変えられているケースは、まだ多くありません。
なぜAIは業務に組み込めないのか。その背景を考えるには、まずAI技術そのものがどのように進化し、企業に何を可能にしてきたのかを押さえる必要があります。
岡本さん、富士通は長年AI研究に取り組んできましたが、AI技術の進化とともに、企業が考えるべき「信頼」の条件はどう変わってきたのでしょうか。
岡本:Artificial Intelligence (AI)という言葉自体は1956年のダートマス会議で使われたのが始まりとされています。半世紀以上前の1970年代から、富士通も文字や音声の認識技術を研究してきました。AIはこれまで何度も期待と限界を経験してきた技術です。近年はディープラーニング、そして生成AIの登場によって、企業での活用可能性が大きく広がりました。一方で、AIを業務に組み込むには、従来のITとは異なる信頼の設計が必要になっています。

富士通 執行役員常務 富士通研究所長 博士(理学)
1991年に富士通研究所へ入社。機械学習、推論、自然言語処理、知識検索などの人工知能の研究開発に従事。2011年より3年間は富士通にて、ビッグデータ新規事業開拓およびデータサイエンティスト育成業務に従事。人工知能研究センター長、人工知能研究所長、富士通研究所フェローを経て、2023年4月より執行役員EVP、富士通研究所所長。2025年4月より現職。東京大学客員教授、東京医科歯科大学客員教授を歴任し、現在は東京科学大学客員教授。







