Article|2025-09-08
新たな視点:量子力学で実用的な問題を解く
サンパウロ大学物理学科に入学した頃、私は天体物理学者になろうと考えていました。そのきっかけは、高校時代に出会ったペルーからの移民である物理と数学の先生が、素晴らしかったことです。先生の丁寧に準備された板書や、概念と公式を根気強く教えてくれる指導のおかげで、私は物理学に興味を持つようになったのです。
しかし、大学3年の初めにすべてが変わりました。シルビオ・カヌート教授(元サンパウロ大学副総長(研究担当)、現Brazilian Physical Society会長)が教える量子物理学の入門コースで、初めてこの分野に触れたのです。それが私にとって初めての量子力学との出会いであり、波動と粒子の二重性、トンネル効果、「発音が難しい名前の科学者のゾンビ猫」(シュレーディンガーの猫のことです)、そして自然がいかに確率的に振る舞うかを学びました。
ある講義の終わりに、教授は私たちにこんな挑戦的な問いを投げかけました。「シュレーディンガー方程式には、温度に依存する項が明示的に含まれていません。では、温度の影響をどうやって組み込めば良いでしょうか?」私はこれを素晴らしい問いだと思いました。なぜなら、温度を考慮していない量子力学と、微視的な視点で熱と物の関係を扱う統計力学を組み合わせれば、現実世界を正確に扱えるかもしれないと気づいたからです。私はその考えにすっかり魅了され、この情熱が、量子力学、統計力学などを組み合わせ、コンピュータシミュレーションを活用することで実用的な問題を解決するという、私の現在の研究テーマへと繋がっていったのです。
量子アプリケーションの推進:富士通研究所とFujitsu Research of Europeの架け橋になる
博士号を取得し、日本のトップクラスの大学で数年間研究者として働いた後、私は化学や材料科学の分野で新しい量子コンピュータアプリケーションを開発する機会を探し始めました。富士通は、理化学研究所をはじめ、様々なパートナーと協力して、国産の量子コンピュータを開発するための産学連携コンソーシアムを設立していました。そのコンソーシアムが64量子ビットの超伝導量子コンピュータを発表した時(今ではもう256量子ビットになっています!)、もし量子コンピュータのプロジェクトに携わりたいのであれば、行くべき場所は富士通研究所だと確信したのです。
入社以来、私は主に2つの業務に注力しています。1つ目は、化学、材料科学、創薬に関連する課題を解決するために量子技術の開発と利用に関心を持つ、他の日本企業との協業です。量子コンピューティングはまだ始まったばかりの技術なので、他社と協力することで、彼らが直面している具体的な課題を理解し、そのニーズに合わせて量子技術をいかに最適に活用できるかを考えることが重要です。特に、近い将来、パートナーやお客様に堅牢で実用的なハイブリッド量子コンピューティングプラットフォーム(量子コンピュータと量子シミュレータを連携させ、最適な量子計算を可能にするプラットフォーム)を提供したいのであれば、こうした連携は不可欠なのです。

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二つの情熱:語学とゲーム
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化学と材料分野における量子アプリケーションを開拓
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関係者からのメッセージ
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本稿中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものです












