シリーズ:Trust in AI「接続」編あなたのAIは「シルクロード」になれますか?

Article | 2026年7月6日
古代の東洋と西洋は、それぞれ高度な文明を持ちながらも決して交わることのない分断の世界だった。広大な距離と文化の壁を越え、2つの世界をつないだのが「シルクロード」である。
単に絹や香辛料といったモノを動かす道ではない。製紙法や火薬などの技術、新たな思想、そして天文学や数学といった知識。多種多様なデータがこの道を行き交い、お互いの文明に「気づき」と「変革」を伴ったイノベーションの循環を生み出した。他者と真に接続する道が、繁栄の時代を築いたのだった。
古代の交易路が紡ぐ歴史は、形を変えて現代の経営に鋭い問いを投げかけています。
現代の経営課題:分断されたデータとサイロ化する組織
AI活用を進める全ての企業は、かつてのシルクロードなき世界と同じような課題に直面しています。
部門ごとに異なるデータのフォーマットやシステム。個別に最適化され、全体像が見えない業務プロセス。データの分断と組織のサイロ化が企業全体の連携を阻み、大きな非効率と機会損失を生んでいます。
データ流通量が膨らみ続ける今、送配信の遅延はビジネスの大きなボトルネックになりかねません。最適なネットワーク環境を整える、リアルタイムにデータを送受信する、自動運転やロボット制御の不具合をゼロにする。これらの課題を放置すればビジネスに無数の断絶を引き起こします。組織のサイロを壊し、業種や業界の垣根を超え、データと知見、物理的なモノの流れまでもリアルタイムにつなぐこと。すなわち、全体最適を生むネットワークの構築こそ、AI時代の競争力の源泉なのです。
Trust in AIとは「接続」できること
富士通は1935年の創業以来、人と情報をつなぐ「通信」と、データプロセスを担う「コンピューティング」の融合に挑み続けてきました。単に技術を開発するだけでなく、製造や物流、金融、公共といった多様な現場で知見を積み重ね、社会の重要インフラとして安定稼働させることを使命としています。「つながり」の本質を求め続けてきた歴史こそが、富士通のDNAなのです。
この歴史は、私たちが「Trust in AI」の5要素として掲げる「接続」の土台です。接続とは「無数のAIが同時に稼働しても、不整合や誤差、遅滞を抑え、大量の情報が連動し、異なるAI・システム間でも接続できること」を意味します。
この思想は、さまざまな先進的ネットワーク技術の組み合わせによって具現化されています。
中でも中核となるのが、次世代通信のインフラ技術「AI-RAN」です。これまで分離していたRANの無線通信ソフトウェアと、AIによる高度なアプリケーションを共通の基盤上で融合した革新的なアーキテクチャは、設備投資を効率化し、広域での安定したカバレッジ、高密度接続、シームレスなモビリティ、高度なセキュリティ、そして柔軟な優先制御を実現します。
さらに、オープンネットワークを中核とする1Finityの取り組みのもと、戦略的パートナーシップ*1を締結したArrcus社のAI時代に最適化された高性能ネットワークOSを活用することで、エッジからクラウドまでを同一ソフトウェアで接続・制御し、様々なプラットフォームにおいて柔軟で一貫性のあるネットワーク運用を実現します。
加えて、All Photonics Network(APN)をはじめとする先端光ネットワーク技術によってAI時代に求められる超低遅延・大容量・低消費電力なデータ連携を実現し、AI間を直接光で接続する分断のない真の「接続」を可能にします。
これらにより、通信インフラが単なる情報の通り道ではなく、現場の状況をリアルタイムで理解し、自ら判断・制御する「AI時代のシルクロード」へと進化していきます。
