サプライチェーン
方針
富士通グループは、「レジリエントで責任あるサプライチェーン」「 公正な取引機会」「パートナーシップの醸成」「最適条件での調達」を調達方針として掲げ、グローバルに調達活動を行っています。
サステナブル調達に関しては、2005年に「CSR調達指針」を制定し、国内外のお取引先に指針の遵守をお願いしてきました。2018年には、RBA(注1)の行動規範を「富士通グループCSR調達指針」として採用しました。2023年には同指針を改訂し、「富士通グループサステナブル調達指針」へ名称を変更し、国内外のグループ会社を含む調達額8割のお取引先から同指針への合意書取得を推進しています。さらに、口座開設プロセスにおいて指針への合意を確認したうえで、調達契約ひな形にもこれらの指針を盛り込み働きかけの幅を広げています。また、合意の内容には単なる遵守に留まらず、お取引先が自社のサプライチェーン上流企業にもこれらの要件を適用するよう働きかけることを含めることで、富士通の行動規範のサプライチェーン全体への徹底を図っています。
RBAは、行動規範の継続的発展および実施のためにステークホルダー(利害関係者)から定期的に意見を取り入れています。
現在、富士通グループのサプライチェーンに関わる多くの企業がRBAに加盟しており、加盟されたお取引先企業の労働者の意見が反映されたRBAの行動指針を「富士通グループサステナブル調達指針」に採用し、材料・部品・ハードウェア製品等のお取引があるお取引先に遵守いただきたい事項としています。
サステナブル調達活動・定期レビュー
富士通グループでは、全社方針のもと、関連部門が連携してサステナビリティ活動を推進しています。代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ経営委員会」を主管とする社内関連部門による体制を構築し、半期に一度、活動進捗と目標達成状況を確認しています。調達分野においては、グローバルサプライチェーン本部が関連部門と連携し、お取引先へのサステナブル活動を推進しています。
「サプライチェーンにおける、人権リスクの予防・軽減、温室効果ガス(GHG )排出削減の推進、多様性の確保」をかかげ、サステナブル調達指針により遵守項目を明確に示すとともに、お取引先にサステナブル活動を要請します。次に、お取引先におけるサステナブル活動の包括的な実施状況を確認するため、サステナブル調査(人権、労働、環境、倫理)、情報セキュリティ、BCM等に関わる各種調査票への回答をお願いしています。なお、2025年度より第三者評価ツールであるEcoVadisを導入し、サプライチェーンのサステナビリティリスクを可視化・強化しています。サステナブル調達に関連したエンゲージメントの働きかけ対象のお取引先の選定は戦略的関係性、調達金額や継続取引等の観点を鑑み実施しています。
回答いただいた調査票は内容を診断のうえ結果をお取引先にフィードバックしており、基準に満たなかった場合は、改善に取り組んでいただきます。特に、確認が必要であると判断させていただいたお取引先には、監査を実施しています。監査での指摘事項については改善計画の提出を要請し、改善に向けお取引先と一緒に取り組みます。最終的に、お取引先においてサステナブル活動が適切に実施され、根付くことを目的にサステナブル調達の推進と改善プロセスを継続して実施しています。
高リスク鉱物への対応
富士通グループは、紛争を助長している、あるいは強制労働や人権侵害と関連しているリスクの高い鉱物を、富士通グループの製品や部品、およびサプライチェーンから排除していくことを方針としています(高リスク鉱物として、タンタル・錫・金・タングステンおよびコバルトを特定)。 また、調達活動におけるサプライチェーンの透明性確保と責任ある鉱物調達を推進するために「サステナビリティ経営委員会」を主管とする社内関連部門による体制を構築しています。
高リスク鉱物調査
富士通グループは、経済協力開発機構(OECD)の「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイドライン」を参考に、デューデリジェンスとして高リスク鉱物の調査を実施しています。調査では、Responsible Materials Initiative(RMI)の「紛争鉱物報告テンプレート(CMRT)」、「拡張鉱物報告テンプレート(EMRT)」を使用しています。
調査において、回答期限を過ぎても未回答のお取引先には、回答の督促を行い、回答内容に不備がある場合には再提出を依頼しています。また、お客様より「リスクのある製錬所」に関する指摘を受けた場合には、その製錬所を使用しているお取引先に、取引実態の再調査を依頼しています。現時点では、武装勢力と関わりのある情報は確認されていませんが、引き続き製錬業者特定やサプライチェーン透明化への取り組みを行っていきます。
グリーン調達の推進
富士通グループは、地球環境に配慮した部品・材料や製品の調達に関する基本的な考え方を「富士通グループ グリーン調達基準」として定め、お取引先とともにグリーン調達活動を推進しています。
活動テーマの1つであるGHG排出量削減については、お取引先に対し、GHG削減目標を設定したうえで削減活動を推進いただくよう働きかけるとともに、富士通と関連する上流企業に対しても、GHG排出量削減に向けた取り組みを展開いただくよう要請しています。また、水資源保全については、活動の第一歩として水リスク評価の実施をお願いし、サプライチェーンにおける水リスクの低減に向けた取り組みを推進しています。
さらに、富士通グループでは、お取引先から調達する購入品を対象に、含有化学物質に関する調査を実施し、各国・地域における法規制や業界要求への対応を進めています。こうした取り組みを支えるため、「富士通グループ 指定化学物質の非含有管理に関する指針」を開示し、お取引先に対して適切な化学物質管理の実施を求めています。
今後も環境負荷低減に向けた取り組みをサプライチェーン一体となって推進していきます。
サプライチェーンにおける温室効果ガス排出削減目標設定の推進
富士通グループは、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速するため、これまで2050年度に100%削減としていた目標を20年前倒し、2030年度に富士通グループが自ら排出するCO₂をゼロエミッション達成とする目標を掲げ、SBTiよりネットゼロ認定を取得しました。さらに、サプライチェーンを含むバリューチェーン全体(Scope3)では2040年度にネットゼロを実現するため、サプライチェーン全体を含めた推進に取り組んでいます。
サプライチェーンにおけるGHG排出削減をお取引先とともに推進するため、主要お取引先に説明会を開催し、国際基準に沿った削減目標の設定したうえで削減活動を推進いただくよう呼びかけています。2024年度より社会へのインパクトを明確にするため、調達額ベースではなく排出量ベースで8割のお取引先とし、対象の企業の削減目標設定を受領することが出来ました。
製品単位のCO₂排出量可視化に向けたデータ連携の実践
富士通グループは、2040年度にバリューチェーン全体でネットゼロを実現する目標に向け、2024年より国内外45社のお取引先と連携し、製品単位のCO₂排出量(カーボンフットプリント)データの共有を開始しました。本取り組みでは、富士通のオファリングサービス「Sustainability Value Accelerator」を活用し、国際および国内の算定ルールに準拠したPCFの算出および企業間でのデータ連携を実現しています。併せて、データ機密性に配慮した設計や自動計算機能の提供に加え、複数言語への対応を行うことで、国・地域や言語の違いを超えた円滑な情報連携を可能として、企業間の信頼構築と参加促進を図りました。
国や地域ごとの特性や言語の違いを踏まえ、各エリアの推進主体と海外のお取引先との協働を通じて、原材料や部品など上流段階に遡ったカーボンフットプリントデータの収集・連携を推進しています。これにより、サプライチェーン全体を通じたCO₂排出量の可視性向上と、より精緻な製品単位の排出量把握を可能とし、バリューチェーン全体での脱炭素に向けた取り組みを加速しています。
サプライチェーン多様性の推進
富士通グループは、多様な人材が平等に機会を持ち、異なる価値観や能力を活かしあえる環境がイノベーションの創出、ひいては持続可能性を備えた強固なサプライチェーンの構築・展開の実現に不可欠であると考え、サプライチェーン全体での多様性の確保に取り組んでいます。
社会課題は、国・拠点により異なることから、サプライヤーダイバーシティに関する取り組みは、それぞれの特性に基づく施策を立案し、遂行しています。例えば、日本においては、女性活躍が大きな社会課題となっていることを鑑みて、サプライチェーンにおける女性活躍の推進をテーマに活動しています。具体的には、主要お取引先に対して、取り組み状況の可視化と意識醸成を促す第一歩として、厚生労働省が開設した「女性の活躍推進企業データベース」へ各社の女性活躍に関する情報を登録していただくよう依頼しています。
情報セキュリティ対策の推進
富士通グループは、経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に基づき、お取引先とともに「情報セキュリティ事故撲滅」を掲げ、情報セキュリティ事故の予防、再発防止のための教育・啓発・監査・情報共有などの施策を継続的に実施しています。
近年では、クラウドなどの外部サービスやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の業務利用が拡大傾向にあり、スマートフォンやタブレットPCなどのスマートデバイスの使用機会も急増しています。情報漏えいリスクについても、メール誤送信、PCやスマートデバイスの盗難・紛失だけでなく、内部犯行、サイバーテロなどの新たなリスクも抑止する必要があります。こうした現状を踏まえ、お取引先に業務を委託する際には、海外のお取引先も含め、富士通グループと同レベルの情報セキュリティ管理、個人情報の取り扱いを規定し、教育・啓発を推進しています。さらに、お取引先の情報セキュリティに重大な問題が発覚した場合は、直ちに是正活動を実施し、改善が見られない場合には取引の見直しなどの対策を行います。
サプライチェーンBCMの強化
富士通グループでは、「大規模災害など不測の事態においても製品・サービスを安定的に供給するためには、サプライチェーン全体のBCM(事業継続マネジメント)強化が不可欠である」、という考えのもと、サプライチェーン全体のレジリエンス向上に継続的に取り組んでいます。その一環として、お取引先との連携のもと、拠点情報を調査・集約し、平時よりサプライチェーンの可視化を進めています。これにより、有事には迅速なリスク検知および影響範囲の特定を可能とし、早期の状況把握と対応につなげています。さらに、ツールによるリスク影響のシミュレーションを整備し、有事における影響の予測を迅速に行うとともに、平時よりお取引先と協働したレジリエンス強化に取り組んでいます。
お取引先とのコミュニケーション
お取引先評価制度における評価結果のフィードバック
富士通グループでは、プロダクト関連のお取引先やソリューション開発関連のお取引先に向け、お取引先評価制度(注2)を用いて主要なお取引先を中心に、評価・フィードバックを行い、基準に満たないお取引先には、改善を要請しています。
- (注2) お取引先評価制度 : 調達品のパフォーマンスや企業の基本姿勢を「品質」「技術」「価格」「供給」「CSR」などの項目で評価する富士通の独自制度
総合的リスクマネジメント基盤の構築
富士通グループでは、情報セキュリティリスク、与信・コンプライアンスリスク、制裁を含む地政学リスクへの対応も進めています。外部機関が公表しているサプライチェーンリスク情報およびその耐性の評価データを一元的に集約・可視化し、そこに富士通で保有している販売・生産・調達データ・調査実績等の情報を連携する方針です。多角的にリスクを一括検知し、分析、早期アクションへとつなげる統合的なリスクマネジメント基盤(Third Party Risk Managementプラットフォーム)の構築を進め、ガバナンスを強化していきます。
今後も、高度なデジタル技術を駆使しながら、外部環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるレジリエントなサプライチェーンの構築に注力し、継続的な価値創造と持続可能な社会の実現に貢献します。
調達コンプライアンスの徹底
調達部門教育
富士通グループでは、調達部門がお取引先に対してサステナビリティに配慮した調達活動を実施するよう、サステナブル調達、グリーン調達のほか、中小受託取引適正化法(取適法)や派遣法などのコンプライアンスおよびリスク管理(BCM活動)の教育を実施し、調達担当者の意識向上を図っています。
中小受託取引適正化法(取適法)および労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針への取り組み
富士通グループでは、Fujitsu Wayの「行動規範」およびGBSの規程に則り、グループ全体として法令遵守を徹底しています。また、富士通グループ全体で中小受託取引適正化法(取適法)および労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針に関わる教育を実施しています。
「パートナーシップ構築宣言」を公表
富士通は、お取引先や価値創造を図る事業者との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築するため、「パートナーシップ構築宣言」を策定・公表しました。
パートナーシップ構築宣言とは、経団連会長、日商会頭、連合会長および関係大臣(経済産業大臣、内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)、厚生労働大臣、農林水産大臣、国土交通大臣)をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、導入された仕組みです。
パートナーシップ構築宣言についての詳細および富士通の宣言内容は(公財)全国中小企業振興機関協会が運営するポータルサイトに掲載されています。
お取引先の通報窓口
富士通グループは、富士通グループの調達活動におけるコンプライアンス違反やその疑念がある行為に関する通報を受け付けています。社内・社外のそれぞれに窓口を設けて、通報いただいた内容の事実関係を確認、調査のうえ、速やかに対応しています。なお、通報いただいた方やそのお取引先に対して不利益な取り扱いをすることは、内部通報規定で禁止しています。
また、反社会的勢力による被害を防止する(活動の助長もしない)ために、お取引先との契約書に反社会的勢力などの排除条項を明記しています。富士通グループはお取引先を含め、反社会的勢力との関わりを一切持ちません。
業界標準のイニシアチブへの参画/活動の推進
富士通グループは、「責任ある企業行動」の国際アライアンスであるResponsible Business Alliance(RBA)に加盟し、RBAの行動規範を尊重するとともに、お取引先と協力しながらサプライチェーンにおけるサステナブル調達の推進に取り組んでいます。
また、電子情報技術産業協会(JEITA)やWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が主導するPACT(Partnership for Carbon Transparency)などの国際イニシアチブに積極的に参画・協力しています。これらの活動を通じて、サプライチェーン全体における環境・社会課題への対応や、製品・サービスのライフサイクルを通じたGHG排出量の可視化・削減に向けた取り組みを推進し、業界全体におけるサステナブル調達の高度化と普及に努めています。
2025年度実績
調達方針の合意の取得
- 調達指針「富士通グループサステナブル調達指針」に対して692社から同意書を取得
サステナブル調査の実施
-
国内外の主要お取引先からサステナブル調査回答受領(グループ会社調査を含む):1240社
基準未達のお取引先に対しては、サプライヤエンゲージメントを通じた是正支援を実施。今年度リスクが確認されたソリューション系お取引先については、二社監査により問題有無を確認したうえで、基礎的な体制整備・改善支援を中心に対応。リスクレベルおよび取引特性に応じ、第三者監査の実施も含めて検討し、是正・改善を推進。
【サステナブル調査 回答受領社数実績 2025年度】
国内602社
海外638社
【国内お取引先リスクレベル 2025年度】
High5%
Medium56%
Low28%
高リスク鉱物調査実績
- 調査対象の61.1%のお取引先より回答を受領
- 804社の製錬業者を確認し、そのうち338社がRMI認定の「責任ある鉱物保証プロセス(評価プロトコル)Responsible Minerals Assurance Process(RMAP)」に準拠していることを確認
サプライチェーンにおけるGHG排出削減の推進
- 2022年度の排出量ベースで80%を占めるお取引先での排出削減目標の設定が完了
サプライチェーン多様性の確保
- 日本国内に本店を有するお取引先を対象として、2022年の調達金額の80%を占めるお取引先に、厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」への登録を依頼(333社登録済)
- 海外子会社おいても、中小企業(SME)・女性経営・少数民族企業等、多様な属性を持つ企業からの調達KPIを達成
情報セキュリティ対策の推進
- 情報セキュリティ対策状況の自主点検実施(2025年11月) 2,321社
お取引先とのコミュニケーション
-
お取引先に向けた事業方針説明会を開催し、調達方針およびビジネス方針の共有と、セキュリティ・コンプライアンスリスクへの対応を依頼。328社が参加
- お取引先向けたオンラインセッションを開催し、担当役員よりサステナビリティ経営および人的資本経営に関する当社の方針と取り組みを説明し各社における人権やウェルビーイングの取り組みを推進を呼びかけた。約400社が参加
調達コンプライアンスの徹底
- グローバルの調達部員を対象に、調達における課題や取り組みを共有するセッションを実施