自然共生(生物多様性の保全)
富士通グループのアプローチ
生物多様性の喪失は重大なグローバルリスク。カーボンニュートラルとネイチャーポジティブに向けた統合的対処が重要
世界経済フォーラム(WEF)の「Global Risks Report 2026」では、深刻度の高い長期的なグローバルリスクの2位に「生物多様性の喪失や生態系の崩壊」を挙げており、生物多様性の喪失は気候変動と並ぶ、喫緊の重大な問題であると認識されています。その問題の解決には「ネイチャーポジティブ」の達成が必須と考えられ、2021年6月に開催されたG7サミットでは「2030年までに生物多様性の損失を停止し回復させる」を含む「G7 2030 Nature Compact」に合意しました。また、2022年12月に開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(以下:CBD-COP15)第二部では、2030年の国際目標を含む「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、2030年ミッション「人々と地球のために自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させるための緊急の行動をとる(抜粋)」に向け、23項目の2030 年グローバルターゲットが設定されました。さらに、ビジネス団体(WBCSD等)や国際環境NGO(WWF等)の共同提案として、2030年のネイチャーポジティブ実現という目標が発表されています。このように、気候変動対応である「カーボンニュートラル」のみならず、「ネイチャーポジティブ」の達成に向けた統合的対処が重要と考えられています。
ネイチャーポジティブ達成に向け、国際目標に沿った、あるべき姿と2030年目標を策定
富士通グループは、ネイチャーポジティブの達成に向け国際目標(昆明・モントリオール生物多様性枠組)に沿った、2050年あるべき姿と2030年目標(第12期環境行動計画(5か年))を策定しました。
2050年あるべき姿:持続可能な社会の基盤である『自然・生物多様性』をデジタル技術により十分回復させ、自然と共生する世界を実現する。
2030年目標:バリューチェーンを含む自社の企業活動の領域において、生物多様性への負の影響を42%以上低減する(基準年度:2020年)。加えて、生物多様性への正の影響を増加させる活動を推進する。
今後、生物多様性への負の影響を低減する活動、および正の影響を増加させる活動を実施していきます。
2025年度実績
| 第11期環境行動計画 目標項目 | 2025年度実績 |
|---|---|
| サプライチェーンを含む自社の企業活動の領域において、生物多様性への負の影響を12.5%以上低減する(基準年度:2020年)。加えて、生物多様性への正の影響を増加させる活動を推進する。 | サプライチェーンを含む自社の企業活動の領域において、生物多様性への負の影響を36.3%低減(基準年度:2020年)。生物多様性への正の影響を増加させる活動として、ネイチャーポジティブ那須野が原アライアンスへ参画 |
企業活動による生物多様性への影響の見える化手法として、「エコロジカル・フットプリント」を指標とした算定方法を確立
CBD-COP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組の2030年グローバルターゲットでは、ビジネスセクタに関係が深い目標として、目標15「生物多様性への負の影響を徐々に低減し、正の影響を増やし、事業者(ビジネス)及び金融機関への生物多様性関連リスクを減らすとともに、持続可能な生産パターンを確保するための行動を推進するために、事業者(ビジネス)に対し以下の事項を奨励して実施。事業活動、サプライチェーン、バリューチェーン及びポートフォリオにわたって生物多様性に係るリスク、生物多様性への依存及び影響を定期的にモニタリングし、評価し、透明性をもって開示する。(抜粋)」が含まれています。そして、生物多様性条約第24回科学技術助言補助機関会合(以下:SBSTTA24)では、各目標の評価指標に関しても議論され、目標15の指標候補の1つとして、「エコロジカル・フットプリント」が提案されました。そこで富士通グループは、生物多様性への負の影響を評価する指標として選定した「エコロジカル・フットプリント」を用いた、企業活動全般を包括的に評価可能な算定方法を確立し、富士通グループの企業活動に関し、エコロジカル・フットプリント評価における重大な負の影響要因を特定しました。詳細を以下に示します。
富士通グループは、以下の理由により「エコロジカル・フットプリント」を評価指標として選定しています。
- 2030年グローバルターゲットの目標15の指標として、SBSTTA24から提案された、科学的知見に基づいて選定された指標であること。
- 企業活動全体を包括的に評価可能であること。

- (注1) 出典 : CBD/SBSTTA/REC/24/2 27 March 2022
算定方法の検討にあたって、生物多様性への影響項目と依存項目を「企業と生物多様性の関係性マップ®」(JBIB)を参考に抽出し、各項目に対応する活動量項目を以下の通り設定しました。

そして、これらの活動量項目をインプットとする、エコロジカル・フットプリント(以下:EF)算定方法を確立しました。
資源使用量等の一部の活動量項目は、ライフサイクルインベントリ(LCI)データを用い、EF係数に対応する「企業活動」項目に変換しています。また、水資源利用等の一部EF係数が直接使用できない「企業活動」項目は、科学的知見に基づいた追加的な変換ロジックを用い、本来のEFから拡張してEF算定に反映しています。

富士通グループの企業活動におけるエコロジカル・フットプリント評価の結果、自社およびサプライチェーンにおける「CO₂排出」が要因の92%を占めることが分かりました。また、「水資源利用」が残りの8%を占めますが、これは主に「エネルギー利用」に起因していることが分かり、「CO₂排出」と「エネルギー利用」で要因の99%を占めることが特定できました。このことは、省エネルギーや再生可能エネルギー導入等のGHG排出の削減に向けた活動によって、エコロジカル・フットプリントも低減できることを意味します。富士通グループの場合、生物多様性への負の影響を低減するためには、気候変動対策が有効であることが明確になりました。

2025年度の取り組み詳細
サプライチェーンを含む自社の企業活動の領域において、生物多様性への負の影響を36.3%低減(基準年度:2020年)
サプライチェーンを含む自社の企業活動の領域において、「エコロジカル・フットプリント」を指標として評価した結果、生物多様性への負の影響が2020年度比36.3%低減し、2025年度の目標値である2020年度比12.5%以上低減を達成しました(注2)。この要因はCO₂排出量の削減であり、特にサプライチェーン下流のCO₂排出量(Scope3 category11)の大幅減によるものです。
- (注2) : エコロジカル・フットプリント係数は、固定して比較

ネイチャーポジティブ那須野が原アライアンスへの参画
富士通は、ネイチャーポジティブ那須野が原アライアンス(NPNA)に発足初期から参画する主要企業の1つであり、那須地域に立地する自社拠点(那須工場)を基盤として活動に参加しています。本アライアンスは企業・自治体・研究機関などの連携により生物多様性の回復を目指す枠組みであり、富士通は地域企業として現地の自然保全活動や調査、社員参加型の取り組みに関与しています。また、単なる現場活動にとどまらず、富士通の強みであるAIやデータ分析などのデジタル技術を活用し、生物多様性の可視化や管理高度化への貢献も期待されています。このように富士通は、「地域に根差した実践」と「技術による高度化」を両輪とする存在として、ネイチャーポジティブの社会実装を推進する役割を担っています。
関係者コメント
1980年の創設以来、那須工場は地域社会に支えられながら事業活動を続けてきました。
私たちは、その基盤である那須野が原の豊かな自然環境を未来へ引き継ぐことも企業の重要な責任であると考えています。
2025年10月に「ネイチャーポジティブ那須野が原アライアンス」に参画し、ワークショップやエクスカーションなどを通じて地域の自然環境への理解を深めるとともに、関係者の皆さまと対話を重ねてきました。
今後は富士通ならではのテクノロジーとデータ活用の知見を生かしながら、地域との共創を通じて那須野が原の自然環境への理解をさらに深め、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

関連情報
- 生物多様性の保全




