イノベーティブな組織をつくるリーダーシップとは?イノベーションとリーダーシップ

プレゼンテーションをする男性

デジタルトランスフォーメーションが進行する中で、企業組織も大きな変化を迫られています。イノベーションを生み出し続ける組織運営の秘訣は何なのか?

富士通 グローバルマーケティング本部 チーフストラテジストの高重吉邦です。2019年7月30日、ザ・キャピトルホテル東急(東京都千代田区)で「ヒューマンセントリックな組織づくり~革新的な組織をつくるリーダーシップ~」と題して、経営者フォーラムを開催しました。今回お招きした講演者は、ハーバード・ビジネススクールでリーダーシップ、グローバリゼーション、イノベーションについて教えているリンダ・A・ヒル教授とANAホールディングスでアバタープロジェクトを指揮する深堀 昂さんです。

そもそもなぜこの経営者フォーラムをやっているのかと言うと、テクノロジーやビジネスモデルが急速に変化する先が見えない時代に、経営者の方々と一緒にビジネスの方向性や戦略について議論し、新しい考えを創造し、変革を加速していくためです。そのために、これまで一橋大学の野中郁次郎名誉教授、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授、UCバークレーのヘンリー・チェスブロウ教授、コロンビア大学のリタ・マグラス教授など、世界をリードする経営思想家から「何が重要なのか、何を考えて経営すべきなのか」についての洞察を共有いただき、議論を深めてきました。

今回フォーラムの起点となった問いかけは、昨年10月の経営者フォーラムの中での、元富士フイルム 副社長兼CTO(最高技術責任者)で同社の変革をリードされた戸田雄三さんとの会話の中から生まれてきました。それは、「私たちは、いまだに人間を組織という箱の中に閉じ込めていないだろうか?」という本質的な疑問です。

人間の創造性を活かしてイノベーションを生み出す、真のヒューマンセントリックな組織はどうあるべきか?これを議論するためには、昨年11月にウィーンで開催されたピーター・ドラッカー・フォーラムでご一緒したリンダ・ヒル教授が最も適任だと思いました。彼女は、「リーダーの役割は自らがビジョナリーなリーダーとしてイノベーションを牽引することではなく、従業員が率先してイノベーションを生み出すことにチャレンジしてそれを実現できる環境を創り出すことだ」と説きます。トイ・ストーリーなどのヒット作を生み出し続けるピクサー・アニメーション・スタジオの伝説的な創業者エド・キャットマル氏などの豊富な実例研究から、「Collective Genius (集合天才)」という腹に落ちるコンセプトを生み出しました。

ではそれを日本の大企業でどうやって実践すればいいのか?その大きなヒントを提供してくれるのが、社内起業家(イントラプレナー)としてとてもユニークな活動をされている、ANAの深掘さんです。物理的に移動しなくても世界中どころか宇宙までどこにでも行けてしまう「瞬間移動」という、どこでもドアのようなコンセプトを、アバターという人が操作するロボットで実現してしまう壮大なビジョン。これをメジャーな航空会社の中でプロジェクト化し、社内外の人を動かしてしまうとても純粋だけれども物凄いエネルギーを秘めた人です。

以下は私、ヒル教授、深掘さんのプレゼンテーションと3人によるディスカッションのサマリーです。最後のパネルでは、今最も重要なテーマである「両利きの経営(ambidextrous organization)」にどう取り組むかについてもディスカッションしています。

イノベーションを導くのは、目的志向型のコミュニティ

2017年から毎年、私たちは世界のビジネスリーダーを対象に、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する調査を行っています。この調査から浮かび上がってきたDXを成功に導いていくための組織能力をデジタルマッスルと名付けています。デジタル化を進め、イノベーションを生み出すためにはこれまでとは異なる筋肉が必要だという意味です。

高重 吉邦
高重 吉邦

デジタルマッスルには「リーダーシップ」「人材のエンパワーメント」「アジャイルな文化」「エコシステム」「データからの価値創出」「ビジネスとの融合」という6つの筋肉があります。DXの成果を実現している企業は、これら6つのデジタルマッスルで高い筋力を有していることが調査の結果分かっています。DXとは、単に技術を導入することではなく、継続的にこれらの組織能力を高め、事業を再創造していくプロセスなのです。

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集合天才:多数の従業員の天才のかけらをひとつにまとめる

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イノベーションを創出するために

イノベーションを創出するには3つの組織機能が必要ですが、そのためにまず知っておくべきことがあります。それはイノベーションの特徴です。次の4つになります。

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イノベーションを生みだそうと思うなら、こうした現実に対処できる組織を作らなければなりません。何度もイノベーションをおこすような組織は、そのために次の3つの能力をもっています。

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リーダーの仕事は人がイノベーションを取り組む環境をつくること

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航空会社のアバター開発、どこまで自分を信じ切れるか

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オンラインのモニターとスピーカーをもつ移動機器

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力触覚をもつ釣り竿

  • 海に出ずに、マグロなどを釣る楽しみを味わうことができる。力触覚の技術は、慶応大学ハプティクス研究センター所長の大西公平教授の研究室が開発。

二足歩行ロボット

  • 米国オレゴン大学のスタートアップとの共同開発。無人走行とアバター走行を並行して導入しロボットの普及を加速。街の警戒や災害救助などでの活用が期待される。

視線入力技術と人型サービスロボット

  • 日本財団、オリイ研究所とのコラボレーションで実現。視線で意思を文字入力する技術を活用。ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者がこの仕組みを利用して、カフェでの労働体験をする実験を2週間実施。

触覚をもつ高性能アバターハンド

  • ANAの低遅延システムと触覚技術とセンサーでそれぞれトップクラスのスタートアップ企業とコラボレーションして開発。ジェル状のセンサーをもち、手触りも伝達可能。

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日本の企業組織とイノベーション

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編集後記

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