情報価値が企業ブランドに直結する時代オープン化戦略を、モダナイゼーションでやり遂げる 「カギはパートナーシップ」三菱食品、富士通が熱く議論

Article | 2024年4月11日
食品卸大手の三菱食品は、約6500社のメーカー、約3000社の小売事業者を主な取引先とし、年間約12億件のデータを扱う。独自の基幹業務システム「MILAI」を、時代に合わせてモダナイゼーションしてきた。2024年度から本格的にクラウドへの移行を開始する。大きな目的の1つが、経営の舵を「オープン化戦略」へ切ることだ。三菱食品の京谷社長、石崎CIO、そして富士通の時田社長が、経営環境の変化と企業成長の条件について、熱く語り合った。
(聞き手:日経BP 総合研究所 フェロー 桔梗原富夫)
(注)所属、役職名は取材当時のものです。
三菱食品株式会社
業種:食品卸
本店所在地:東京都文京区小石川一丁目1番1号
企業ブランド価値の源泉は「データ」にあり
京谷:2021年に社長に就任したのと同時に「中期経営計画2023」を作り、「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」というパーパスを打ち出しました。このタイミングでパーパスを発表した背景には、2つの大きな要因があります。
1つは社会の変化です。日本の人口減少が、この時期から加速しました。食品ビジネスにとって、人口減少は大きな課題です。加えてコロナ禍の中でデジタル技術の進化もあり社会が大きく変化しました。もう1つは、社会の価値観が変わり始めたことです。環境問題、多様性、ESGなどの新たな価値観が浸透し始めました。その中で、企業は何を目的にビジネスをしていくのか、姿勢と立ち位置を明確にすることが求められました。
三菱食品は、4つの食品卸会社が2012年に統合されて誕生した会社です。経営形態も取扱商品も違う4社の統合は、容易ではありませんでした。関連会社の整理なども含め、約10年を経てようやく完全に統合できたことを実感できたタイミングでもありました。
三菱食品には、「食のサプライチェーンを守る」という大きな使命があります。当社が誕生した2012年は、東日本大震災の直後でした。当社は被災地に向けて、懸命に食品供給を行い続けました。食のサプライチェーンは日常生活に欠くことのできない機能であり、社員一人ひとりがその責任感を持ち、食品供給の面で大きく貢献していると自負しています。そのマインドをさらに外へ向け、新しいことに挑戦する社内カルチャーを醸成したいという思いも、パーパスに込めました。
人口減少により、当社のビジネスの「量」的側面が頭打ちになることから、今後は「質」的側面が重視されます。「質」とは「新たな価値を生み出すこと」です。新たな価値には「情報価値」と「物理価値」が含まれます。
情報価値とは、平たく言えば企業の「ブランド価値」のことであり、その源泉はデータにあると考えています。デジタル技術が進化し、データを多彩な形でビジネスに生かせるようになってきました。この部分は、まさに富士通さんと一緒に作り上げてきたものです。
一方、物理価値の中心には物流があります。頭打ちとなった「量」の価値を、どうやって「質」の価値へ転換していくのか。1つの企業で取り組むには、やはり限界があります。多くのメーカー様や小売業様、同業他社と協力することで領域が広がり、新たな物理価値を生み出すことができるでしょう。それには一緒に仕事をするためのデジタル基盤が必要です。
三菱食品と一緒に仕事をすると、新たな価値を生み出せる。それこそが三菱食品のブランド価値になります。多くのパートナー企業と協力して社会課題の解決に取り組むことが、成長の源泉になっていくと考えます。
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時田:同感です。外部とのコラボレーションは、企業の成長を支える重要な柱になっていきます。
富士通は、あらゆる業種業態のお客様を持つことを強みとし、従来型のSIビジネスでは、1社1社のお客様に向き合ってきました。今後は企業や業種を横断して力を合わせ、大きなエコシステムを作っていく必要があります。当社もそこに目を向け、クロスインダストリーの新たな事業モデルとして「Fujitsu Uvance」を立ち上げました。この取り組みを通して業種間の垣根を取り払い、お客様同士をつなげる役割を担っていきます。そのために、当社でも「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」というパーパスを定めて、事業の方向性を示すことで、社員一人ひとりの行動変容を促していく必要があると考えています。
全社一体で取り組まなければモダナイゼーションは成功しない
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ただ「変われ」と言っても人は変われない
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商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
本記事は、日経クロステック Specialに、2024年5月に掲載された記事を再掲したものです。所属・役職は取材当時のものです。記事・写真・動画など、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。
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