サプライチェーン全体の脱炭素化への取り組み、その現在地と将来展望

2025年3月18日
2050年のカーボンニュートラルに向けた動きが世界規模で加速しています。今、求められているのは企業の経済活動における「サプライチェーン全体におけるCO2排出量(Scope3を含む)」削減の取り組みを「いかに早く社会実装するか」。こうした中、一般社団法人電子情報技術産業協会(以下、JEITA)が事務局を務める「Green x Digitalコンソーシアム」では、サプライチェーン全体でのCO2排出量の「見える化」から「削減」に向けた取り組みを進めています。同コンソーシアムの座長を務める東京大学 大学院 情報学環 教授でユビキタス情報社会基盤センター長の越塚 登氏に、世界規模での取り組みの現状、新しく見えてきた課題、そして、脱炭素化の取り組みをさらに加速するために必要なことについてお話しを伺いました。
(注)トップ画像:Green x Digital コンソーシアム 座長 越塚 登氏(東京大学大学院 情報学環 教授)[右]と、プロジェクト担当者の富士通 Strategic Planning Unit マネージャー 永野 友子[左]
2050年のカーボンニュートラルに向けて「大局観」を持つことが重要
――2050年のカーボンニュートラルに向け、国際的なデータ標準化や共通プラットフォームの構築といった動きが加速しています。現状をどのように捉えていらっしゃいますか。
越塚氏:ひと言で示すと、まさに「過渡期」にあると感じています。世界規模でのカーボンニュートラルの取り組みを俯瞰すると「データを可視化し活用する」という方向性は合致しているように感じます。ただ、具体的なアプローチはさまざまです。
グローバルでは、欧州がリーダーシップを発揮し、グリーンディール政策のもとカーボンニュートラルを目指すさまざまなルールの整備が進んでいます。本コンソーシアムと関係性の深い、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議) が主導するPACT(Partnership for Carbon Transparency:炭素の透明性のためのパートナーシップ)のイニシアチブは、グローバルバリューチェーンの透明性を加速するために、バリューチェーン全体で製品レベルのCO2排出量データ計算および交換するための合理化された方法論作成と社会実装に取り組んでいます。同時に、欧州からは「データスペース」という重要なコンセプトが提示されており、この議論も活発です。データスペースは共通の仕様に従ったデータ連携や共有の取り組みを意味するもので、サプライチェーン全体のCO2排出量可視化との親和性も高いため、今後より注目して議論をフォローする必要があると考えています。

ユビキタス情報社会基盤センター長
越塚 登氏









