日本初、富士通の「卓越社会人博士制度」とは
~アカデミックな研究と社会課題解決を両軸で支える

2023年10月27日
日本では博士課程に進学する学生が減少傾向にあり、欧米諸国と比べても博士号取得者の数が少ないという現状があります。専門人材の不足による研究開発力の低下は、日本の国際競争力や世界におけるプレゼンスの低下など深刻な問題につながることが懸念されます。こうした状況の中、富士通は九州大学、東京大学と連携し、日本初の「卓越社会人博士制度」を開始しました。富士通株式会社 執行役員 EVP 富士通研究所 博士の岡本 青史に、制度を制定した背景や制度の概要、今後の展望などについてお話を聞きました。
日本における「博士離れ」に危機感
博士課程に進むモチベーションを上げる仕組みを
――日本では博士課程を修了した人材が不足していると指摘されています。現状をどのようにお考えですか。
岡本:日本と世界を比較した場合、日本は2003年をピークにして博士課程に進学する学生の数が減少し、いわゆる「博士離れ」の現象が起きています。一方、欧米諸国をはじめ世界的には博士人材は増加傾向にあり、日本の博士人材は相対的に少ないといえるでしょう。これは、日本にとって深刻な問題です。博士人材の不足は基礎研究を含めた研究開発力の低下をもたらし、ひいては企業の国際競争力、日本の国際的なプレゼンスの低下にもつながります。ある調査によると、国連の機関のトップは、おもに博士課程の修了者で占められ、全世界的に知の高度化が進んでいるともいわれています。その中で日本だけが逆行している。Society 5.0といった将来の日本の社会を支える優秀な人材が減少してしまうことが懸念されます。
――世界的には博士課程への進学者が増加傾向にあり、知の高度化が起きているのに、日本では博士離れ、逆行しているとはちょっとショックです。この背景には何があるのでしょう。
岡本:背景には複雑な理由があります。学生の立場で考えると博士課程にかかる学費など経済的な理由、博士を取得した後のキャリアをどう築いていけるのかという不安があります。大学に残って研究者になる道も厳しく、企業に就職しても博士を取得していることが処遇に直結しない現実もあります。これでは博士課程で研究しようというモチベーションも低下してしまうでしょう。実際、理工系の工学部に限定すると学部を経て9割以上が修士課程には進むものの、博士課程に進学するのは5~6%といわれています。博士に進む割合が圧倒的に低いのが実情です。

30年近く前から社会人博士の育成に注力
これまでに172名もの社会人博士が誕生
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博士課程で研究する専門人材と
富士通の専門人材との化学反応に期待
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