エシカルなサプライチェーンとは?~社会・環境・地域への貢献から見える改善点

2024年4月26日
近年、グローバル化した社会においてサプライチェーンを取り巻く環境はますます複雑化しており、透明性の高いサプライチェーンの重要性がより一層高まっています。もはや製品をA地点からB地点へ運ぶだけの仕組みではなく、製品の原材料や、それが誰によって、どのような状況下で生産されているのかといった情報が求められるようになっています。つまり、「安くて良い商品」が求められた時代から「社会・環境・地域に貢献する商品」が求められる時代へと変わりつつあるのです。企業はいま、エシカルサプライチェーンをどのように捉え、取り組むべきでしょうか。富士通の事例も交えご紹介します。
環境や社会に配慮されたサプライチェーンの重要性
エシカルサプライチェーンとは環境や社会に配慮されたサプライチェーンのことです。近年では、単なる道徳的な義務以上に、現代ビジネスにとって欠かすことのできない要素になっています。消費者は自分の購買行動が社会や環境に与える影響について意識を高めており、若年層を中心に倫理的な取り組みを行う企業を好む傾向にあります。
アメリカのサプライチェーンマネジメント協会(ASCM)のCEO、Abe Eshkenazi氏は、「消費者は今や、自分が購入する製品が経済的、倫理的、そして環境に配慮した方法で製造されていることを求めている(注1)」と述べています。これを裏付けるように、サプライチェーンの専門家の83%がこの考え方の重要性に同意(注2)しています。
また、エシカルサプライチェーンは、長期的なコスト削減効果も期待できます。持続可能な調達は非再生資源への依存を減らし、価格変動や供給不安のリスクを軽減することができます。そして公正な労働基準は、従業員の士気と生産性を向上させ、人材の流出と採用コストを抑える効果も期待できます。その他、例えば不必要な二酸化炭素の排出や製品の廃棄、あるいは無駄な業務の存在などを見直すことも、エシカルサプライチェーンの重要な要素として捉えられています。

エシカルサプライチェーンの実現に向けた課題
明確な利点がある一方で、エシカルサプライチェーンの実現は簡単ではありません。課題の一つは、グローバルサプライチェーンにおける透明性の欠如です。日本では1990年代以降にコスト低減を目的にグロバール・バリュー・チェーンと呼ばれる国際分業体制が構築されました。異なる法制度を持つ国々に拠点を持つ企業が増えた結果、各国の法制度を理解してサプライヤーの行動を監視することは容易ではありません。
また、コスト面も課題となります。公正な賃金の支払いや持続可能な素材への切り替えなど、倫理的な取り組みはコストが増える傾向にあります。そのため、これらの取り組みは長期的な利益をもたらす一方、短期的な利益に影響を及ぼす可能性があり、特に中小企業にとっては導入が難しい場合があります。
エシカルサプライチェーンを実現するための道筋
ASCMの報告(注3)によれば、これらの課題を解決するためには三つの主要な要素が必要とされています。










