Agentforce国内最速稼働!実運用から見えた現在地と未来

AIエージェントによる業務効率化

Report|2025年4月16日

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人と協調して自律的に高度な仕事をこなすことができる「AIエージェント」。富士通はAIエージェントを活用した様々な取り組みを進めていて、Salesforce社のプラットフォームを活用しているサポートデスクに、同社の最新AIエージェント機能である「Agentforce」を採用しました。富士通は、2025年3月に行われたイベントで、国内企業では最も早いAgentforceの運用で得られた知見を紹介しました。

“どこよりも早く検証を” Agentforceを採用

2025年3月12日(水)に東京で開かれたセールスフォース・ジャパン主催のイベント「Agentforce Innovation Day Service」で、富士通は基調講演にゲスト登壇しました。このイベントは、Salesforceの自律型AIエージェント「Agentforce」を活用したソリューションや事例を紹介するもので、富士通は、Agentforce導入の実証を通して得られた課題や知見を紹介しました。

富士通は、2025年1月からAgentforceをSalesforceサポートデスクに採用しています。イベントでは、富士通グローバルビジネスアプリケーション事業本部の本部長※である桐生卓が基調講演に登壇し、導入の成果などについて説明しました。

Agentforce採用の経緯について、桐生は、「マーク・ベニオフ氏の講演を聞いて、『これは早めに採用したほうがよさそうだ』と思い、日本のパートナー企業の中で最も早く検証しようと、その日のうちに名乗りを挙げました」と振り返りました。
桐生の言葉通り、富士通は日本企業では最も早いパイロット検証を行い、従来のチャットボットや人による応対と比較して、どれほど効率よく対応できるかを検証しました。その結果、Agentforceを活用した際の平均の応対時間は、チャットボットよりも71.5%、人による対応よりも67%、それぞれ短くなりました。

桐生は、「Agentforceには3つの強みがあると感じています。まずは、Salesforceの製品に組み込まれたAIエージェントですので、我々が何か手を加えるよりもそのまま活用することで良い結果が出せること。また、言語に依存せず、英語でデータを打ち込んでも日本語で回答が出せること。そして、24時間365日休むことなく対応できることです。もしAgentforceを使ってみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけいただき、支援をさせていただけたらと思います」と呼びかけました。

桐生卓

実運用から見えた現在地と未来 さらなる活用へ

イベントでは、富士通のAgentforceの運用について、より詳細に説明するブレイクアウトセッションも行われました。このセッションには、Salesforce事業部※の田口智也と福井麻里奈が登壇し、Agentforceの実運用を通して見えてきた現在地と未来について語りました。

まず説明に立った田口は、桐生による基調講演の内容を補足するように、パイロット検証の結果を詳しく紹介しました。この中で、「チャットボットによる顧客対応よりも大幅に応対時間を短縮できた背景には、顧客との『ラリー数』が削減できたことがあります」と示唆しました。たとえば、顧客がボタンで入力する回数がチャットボットでは8回~10回だったのに対し、Agentforceを使用した場合は、具体的な質問内容を入力することで、顧客はわずか1回のやり取りで問題を解決することができました。田口は、「まずは単純かつ典型的な業務からAIエージェントを活用していき、徐々に範囲を拡大していきたい」と述べました。

田口智也

続いて福井が、本番運用を開始した富士通のSalesforceサポートデスクでのAgentforceの活用方法や検証から見えてきた課題、そして、今後の展望について語りました。

富士通のサポートデスクでは、2つの工程でAgentforceを活用しています。1つ目は顧客からの問い合わせを受ける際の最初の接点。そして、2つ目は内部での活用で、サポート担当からマネージャーなどへの上申に際して、状況把握の手段として利用しています。

福井は、「お客様からの問い合わせの15%ほどをAIエージェントで対応するとともに、内部ではマネジメント工数の約10%を削減することを目指していきたい」と述べました。
その上で、まずは定型的な回答で対応できそうな問い合わせに優先的にAIエージェントを活用し、顧客固有の質問や技術的に瞬時の回答が困難な問い合わせに対してはオペレーターによる対応を行うことで、AIエージェント運用の体制を確立していく方針です。

福井は、「一般的な問い合わせに対してはAIエージェントが迅速に回答し、オペレーターにはより緊急度や難易度が高いケースへの対応に集中させることで、顧客満足度の向上や顧客との長期的な関係性の構築につなげていきたい」と話しました。

福井麻里奈

検証から見えてきた課題を踏まえ、富士通はAgentforceの活用をさらに進めていく方針です。多様化・複雑化するサポートデスクへの問い合わせにも応えられるよう、AIエージェントが対応できる範囲を拡張していくほか、アフターコールワークの自動化などを通した工数の削減に取り組んでいくことにしています。

講演の結びに、田口は、「私たちは自分の足でAgentforceの導入に踏み出しました。その知見を活かして、お客様のAgentforceの導入を、アセスメントから実装、データチューニングやマネジメントまで支援していきます。また、Agentforceの活用を進める上で必要不可欠となる他のSalesforce製品や機能の活用においても、これまでに培ってきた幅広いご支援の実績を活かした総合的なサポートをしてきたいと考えています」と述べました。

※所属・役職は2025年3月当時のもの