パナソニックグループ様とのGDC共業
新たな戦略的パートナーのフォーメーション

富士通株式会 伊藤 英紀、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 多田羅 智史氏、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 刀根 住久氏、富士通株式会社 島津 めぐみ

Article | 2025年7月25日

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富士通は、お客様へ高品質なサービスデリバリーを提供するため、世界7拠点のグローバルデリバリーセンター(GDC)を通じて、標準化・自動化・人材育成等により、デリバリーのケイパビリティを高め、お客様への更なる価値提供を推進しています。
パナソニック インフォメーションシステムズ様には、2023年のマレーシア、フィリピンのご視察に続き、今般さらにインドのGDC拠点をご訪問いただきました。今回、なぜ同社がGDCの活用に踏み切られたのか、その理由や今後の富士通との共業の形についてお伺いしました。

※GDCは、富士通の技術・オファリング・業種ノウハウを有するCOE(Center of Excellence)、アプリケーション開発・運用、多言語対応サービスデスク、リモートインフラ管理、BPOを提供します。

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 取締役 専務執行役員 刀根 住久氏 パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 流通SCMソリューション本部 本部長 多田羅 智史氏 富士通株式会社 執行役員副社長 COO(サービスデリバリー) 島津 めぐみ 富士通株式会社 グローバルカスタマーサービスBG パナソニックグループユニット Global Account Director 伊藤 英紀

~お客様によるGDC訪問体験談~

百聞は一見に如かず︕富士通の新たなデリバリー拠点、GDC訪問をご提案

島津:パナソニックグループ様と富士通は長年にわたり、深い関係を築いてきました。私が入社した当時から専任のSE部隊が存在するほど、重要なパートナーでもあります。

刀根氏︓パナソニックグループのメインフレーム導入から続く富士通との関係は、当社のIT化の歴史を語る上で欠かせません。現在、私が管理している部門では多くのSIerとの取引がありますが、富士通は単なるシステム開発の「委託先」ではなく、事業戦略を共に推進する「戦略的パートナー」だと考えています。

島津︓そうした関係性がある中、当社ではシステム開発における標準化や内製化の向上を目的に、海外開発拠点であるGDCの活用を促進するデリバリートランスフォーメーションに取り組んでいます。パナソニックグループ様向けのプロジェクトでもGDCの活用をご提案させて頂き、そのことをきっかけに刀根さんと多田羅さんにマレーシアとフィリピン、そしてこの度、インドGDCを訪問頂きました。

刀根氏と多田羅氏

モダナイゼーションプロジェクトでGDCを活用

刀根氏︓パナソニックグループでは、システムのモダナイゼーションを急ピッチで進めています。実現には、新規システム開発、IT人材確保が不可欠です。加えてシステムの保守・運用も抱えており、深刻な人材不足に直面していました。そういったタイミングで伊藤さんから、パナソニックグループのとあるシステムのモダナイゼーションに、マレーシアとフィリピンのGDCを活用してはどうかという提案を頂きました。ただ、当初はオフショアへの不安が少しあり、正直戸惑いました。ただ、その一方で国内だけでは人手が圧倒的に足りず、思うようにシステムを作れないこともわかっていました。中長期的な視点に立てば、グローバルに視野を広げてリソースを確保し、それをきちんと活用できるという成功事例をいち早く作ることが、当社にとっても富士通にとってもメリットが大きいのではないかと考えました。

伊藤︓GDCではどのようなメンバーが、どのような意識で働き、組織としてどうQCDを担保しているのか、こうしたことはリモート会議を重ねるよりも「たった一度でも」直接現地を訪問していただいたほうが確実に伝わると考え、GDC訪問をご提案したという経緯です。

不安から信頼へ︕パナソニックグループ様がGDC現地訪問で掴んだDX推進の突破口

刀根氏︓対象のプロジェクトは約2年前から始まり、その当時からGDC活用の提案があったのですが、今回なぜGDCの活用に踏み切ったのか。それは訪問をきっかけに、GDCは「オフショア」ではない、とはっきりと確認できたからです。GDCには「オフショア」という用語を使ってはいけない、と思いました。
その理由として、GDCメンバーは皆さん「自分がお客様のシステムを作っている」という当事者意識がとても高く、「良いものを作ろう」という熱意に溢れていました。委託されたシステムを淡々と作っている下請けではない、「自分たちがお客様とやり取りして作り上げる」という熱い気持ちがストレートに伝わってきました。

多田羅氏︓実際に私がこのプロジェクト担当として感じたことは、我々とGDCとの間に入って調整を行ってくれる富士通の日本側のジャパン・グローバルゲートウェイ(以下、JGG)という組織のメンバーとGDCとの「強い一体感」です。GDCと一緒に動いている日本メンバーは、常に現場に入り込み、課題解決に積極的に関わってくれました。そういった面での安心感があります。

刀根氏︓パナソニックグループ、富士通の日本サイド、そして富士通GDCによる「新しいフォーメーション」をよく作り上げてくださったと感じています。

島津︓以前のシステム開発では、富士通がパートナーに開発を委託するケースが多く、時には「人月商売」といったご指摘をいただくこともありました。しかし、国内のIT人材不足等もありそのやり方ではもう生き残れません。GDC設立当初は富士通社員としての理解不足やコミュニケーションの課題もありました。そこで、GDCを活用した開発を「発注」ではなく「共業」という言葉を用いて、共にシステムを作り上げていくという意識改革を推進してきました。そうした取り組みの成果を感じ取っていただけたのなら、とても嬉しく思います。

GDCの取り組みがきっかけで、パナソニックグループ様のシステム見える化も実現

刀根氏︓実は、GDC訪問をきっかけに新しいプロジェクトも動き出しました。先程、膨大な数の既存システムを運用しているというお話をしましたが、その運用をServiceNowで「見える化」しようとしています。
GDCでは同様の取り組みがすでに実践されており、その仕組みを当社にも導入したいと相談したのです。これができれば、一つのプラットフォームに全てのシステムを乗せて、運用状況を一元管理できます。パナソニックグループにとってはとても大きな価値になります。

インドGDCのケイパビリティを評価

刀根氏:マレーシア・フィリピンGDC訪問に続き、今回インドGDCを訪問しました。インドにおける国内開発案件における体制構築の実現性やインドGDCの組織体制、リーダーの資質等といったケイパビリティも実際に自分の目で確認したく、現地を訪れました。
現地では、インドGDCメンバーの責任感の高さや豊富なリソースなど期待以上に高いケイパビリティを体感でき、前向きにインドGDC活用の検討を進めています。

インドGDC訪問の様子
インドGDC訪問の様子

パナソニックグループ様と富士通の日本メンバー、GDCメンバーによる新たなパートナーシップの形へ︕

刀根氏︓当社には、パナソニックグループ全体の新たなDXなど、まだまだ取り組まなくてはならないプロジェクトがあります。GDC訪問を契機に、GDCから当社にエンジニアを受け入れる取り組みも始まっていて、これからは人的交流を含めて、さらにパートナーシップが深まっていくでしょう。こうした取り組みを通じて、プロジェクトを一つひとつ富士通と一緒に作り上げ、成功させていきたいと考えています。

富士通はお客様への提供価値を高めるために、GDCとの共業を推進し、デリバリのケイパビリティ向上に取り組んでいます。GDCでは、徹底的な品質管理とリアルタイムマネジメントで、国内と同等の品質とセキュリティを担保しています。現地のセキュリティルーム監査や現地メンバーとのディスカッションなどお客様の要件にあわせた現地視察も可能です。お気軽にご相談ください。

富士通株式会 伊藤 英紀、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 多田羅 智史氏、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 刀根 住久氏、富士通株式会社 島津 めぐみ

~デリバリー変革による生産性の向上~

デリバリー変革による生産性の向上

当社においてサービスデリバリーとは、お客様ITシステムの構築・運用・保守を包括するすべての工程・作業を指します。従来型のSI案件だけでなく、 Fujitsu Uvanceのオファリングのデリバリーも、サービスデリバリーが担っています。

数年前までの当社のデリバリー体制は、お客様・組織ごとにデリバリー手法が過度に最適化され、ノウハウが属人化するほか、社内で不足するスキルや工数を賄うために、外部の開発パートナーへのリソース依存度が高い状態が続いていました。これらに起因する、プロジェクトマネジメントや技術スキルを含めたノウハウの社内蓄積と継承、作業効率の課題を解消すべく、2021年度のシステムインテグレーション子会社の統合を皮切りに、当社はデリバリー変革を加速しています。

変革のゴールは、デリバリー工程における標準化・自動化の推進や、GDCの活用の拡大により、内製化率、生産性、品質、セキュリティのすべてを高めることです。お客様固有の手法や属人化されたノウハウに基づく開発を可能な限り縮小し、サービス提供やオファリング実装に至るまでの設計・開発・テスト業務に関わるすべての作業工程を標準化することで、グローバル共通で高い品質のサービスをスピーディに提供することが狙いです。また、生成AIの活用などによりデリバリー作業の自動化を図ることで、生産性向上を徹底的に追求しています。

デリバリー体制の強化

GDCとJGGを合わせたデリバリー体制を、中計最終年度の2025年度に4万人にする目標に対し、2023年度末時点の体制は3.2万人に達し、要員数は計画をやや上回るペースで進捗しています。人員増強に加え、ケイパビリティ強化も図るべく、GDC要員のリスキリングを推進しています。具体的には、注力領域をSAP・Salesforce・ServiceNow(3S)、モ ダナイゼーション、クラウド、アジャイル、ならびにプロジェクトマネジメントと定め、GDCにおいて注力領域を担える要員の比率を、2022年度の10%から2025年度には45%に引き上げることを目指しています。

GDC/JGGとは

GDCとJGGを合わせたデリバリー体制を、中計最終年度の2025年度に4万人にする目標に対し、2023年度末時点の体制は3.2万人に達し、要員数は計画をやや上回るペースで進捗しています。人員増強に加え、ケイパビリティ強化も図るべく、GDC要員のリスキリングを推進しています。具体的には、注力領域をSAP・Salesforce・ServiceNow(3S)、モダナイゼーション、クラウド、アジャイル、ならびにプロジェクトマネジメントと定め、GDCにおいて注力領域を担える要員の比率を、2022年度の10%から2025年度には45%に引き上げることを目指しています。GDCとJGGは、デリバリーに必須の技術・ノウハウを持つ専門人材・ノウハウを集結した拠点です。このうちフィリピン、インド、ポーランド、コスタリカなどに設置されているGDCは、日本向けだけではなく、海外の各リージョンとも連携し、Fujitsu Uvanceのオファリング実装、ソフトウェアやアプリケーション開発、運用サービス、コールセンター受託など幅広い業務を担います。GDC/JGGは、標準化・自動化で生まれた余力を人材のリスキリングに振り向け、より高度な専門スキルの獲得につなげるなど、ケイパビリティを継続的に強化します。同時に、人員リソースのスキルマッピング、プロジェクトに必要な人材をマッチングする自動化技術の活用 も進め、需要のあるプロジェクトに無駄なく要員を配置することで、より一層の生産性向上を追求します。

30,000+ Global Delivery Members across the World

お客様によるGDC拠点訪問につきましては、担当セールスもしくは下記お客様総合センターにお問い合わせください。

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