CHROが本音で語る 人的資本経営実践の鍵、HRBP活動とは?

Report | 2025年8月6日
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人的資本経営は今、事業成長につなげる実践フェーズへと移りつつあります。一方、人材を資本として捉える試みは、それぞれの企業文化や事業戦略に紐づくゆえに正解がなく、表面的な人事施策に陥っている企業を生み出しているのも実情です。富士通は、2022年から3年間にわたり、より多くの企業が企業価値向上につながる人的資本経営を実現することを目指してCHROラウンドテーブルを開催し、業種業態の垣根を越えた参加企業のCHRO(最高人事責任者)の方々と議論を重ねてきました。総括となる第3回では富士通を含む参加企業5社のHRBP(Human Resource Business Partner)活動のあるべき姿を導き出す取り組みの共有と議論を行い、日本企業として共通するアプローチがあることが見えてきました。
本編に先立ち、人的資本経営を実践するにあたり必要なHRBPの役割と人事との関係性について、紹介します。
写真は左から、ENEOSホールディングス 布野 敦子氏、日本郵船 鈴木 康修氏、三井住友フィナンシャルグループ 小林 喬氏、レゾナック・ホールディングス 今井 のり氏、富士通 平松 浩樹 ※所属・肩書はすべて取材時のものです(2025年6月)
なぜ人的資本経営の実践にHRBPの役割が必要なのか?
人口減少による労働力不足が懸念される昨今、注目を集めているのが人的資本経営です。人的資本経営に正解がない中、経営戦略を遂行する人事戦略の策定、実行するCHRO(最高人事責任者)の設置など、多くの企業が試行錯誤しながら取り組みを進めています。しかし経営戦略に沿うよう展開される様々な人事戦略上の取り組みも、事業を推進する現場に資する形で届けられなければ意味がありません。さらにビジネス環境の急激な変化に、戦略やビジネスモデルを臨機応変に対応させていくためには、人事がそれぞれの事業、部門のニーズに合わせて迅速かつ柔軟に対応していくことが求められます。
そこで人的資本経営の実践で鍵となるのが、データドリブンで進めるHRBP活動です。HRBPとは事業部責任者のパートナーとして、人的な側面から事業戦略の実現をサポートする、経営戦略に連動した人事戦略を具体的に実行する役割を持つ機能です。
CHROラウンドテーブルに参加した5社は、業界も業態も異なり、事業環境も経営課題も様々です。HRBPを導入している企業もあれば、今後検討するフェーズの企業もあります。組織のステージによっては事業トップがHRBPを兼ね、自らがHRBP活動の担い手となる、といったことも考えられます。
ただHRBPという組織を作れば終わりということではありません。私たち日本企業は、グローバル活動を見据えながらも日本型の経営に合ったHRBP体制を構築し、人材を育成し、ケイパビリティの向上を図っていく必要があります。

CHROラウンドテーブルでは、各社が人的資本価値向上モデルを用いて「人的資本経営ストーリー」を構築し、「企業価値向上に資する人事・HRBP活動のあるべき姿」を整理。組織変革におけるデータ活用のあり方などを模索した
HRBP活動はどのように進めていけばよいのか?
全社と事業をつなぐチェンジエージェントであるHRBPとは、事業単位での経営効率向上に貢献する役割を担います。では、人材を経営と照らし合わせながら組織全体で捉え、戦略と人事を現場に落とし込み、事業成果につなげるために、HRBP活動はどうあるべきなのでしょうか。またその際、データをどう活用していくべきなのでしょうか。
今回のCHROラウンドテーブルで共有された各社事例からHRBP活動を整理していくと、各社それぞれのやり方がある一方で、共通するアプローチがあることも見えてきました。
(詳細はPDF資料をご覧ください)
布野 敦子
Atsuko Funo
ENEOSホールディングス株式会社 常務執行役員 CHRO 秘書部・人事部・広報部 管掌

鈴木 康修
Yasunobu Suzuki
日本郵船株式会社 取締役 常務執行役員 CCO CHRO 総務本部長
※CCO=Chief Compliance Officer

小林 喬
Takashi Kobayashi
株式会社三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCHRO

今井 のり
Nori Imai
株式会社レゾナック・ホールディングス 取締役 常務執行役員 最高人事責任者(CHRO)

CHRO Roundtable Report 2025
本レポートでは、第1回、第2回CHROラウンドテーブルの知見、および総括となる第3回テーマ「データドリブンで進めるHRBP活動による人的資本経営の実践」における参加企業5社の事例と討議を通じて見えてきた新たな示唆をまとめています。


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