Report | 2025-09-04
今日のビジネスリーダーは、地政学的緊張と経済の不安定性によって引き起こされる、かつてないレベルの不確実性に直面しています。企業は、 社会、環境、人々のウェルビーイングの向上への長期的なコミットメントを維持する一方で、 短期的にはこの複雑な環境の中で生き残るために自社の戦略を柔軟に変化させる必要に迫られています。絶えず変化するビジネス環境に企業がどのように対応し、短期的な戦略と長期的なコミットメントのバランスをどのように維持しているかをよりよく理解するために、富士通はフロスト&サリバンに委託して、様々な業界のCxOに対するグローバル調査と詳細なインタビューを実施しました。
今回の調査では、企業を取り巻くビジネス環境の変化、企業変革にAIが与える影響、これまでのサステナビリティを越えてネットポジティブな成果を生み出す取り組みへのシフトについての調査結果を分析しています。特に、当社の調査結果では、83%のビジネスリーダーが、経済成長のみを追求するビジネスから、環境やウェルビーイングの価値も追及するビジネスに移行すると考えていることが明らかとなりました。
このレポートでは、ビジネスリーダーが、AIを活用した変革を推進し、社会と地球にポジティブな影響を与えつつビジネスを成長させる組織を構築する上で取り組むべきアクションを提言としてまとめています。
主な調査結果
1. AIが働き方を変革
2030年に向けて、AIが企業の形や働き方を大きく変えていくことが調査から明らかとなりました。ビジネスリーダーの81%は、自社のビジネスプロセスの過半数以上にAIが組み込まれると予想し、79%は、AIが自社の経営やあらゆる業務に浸透し、AIで駆動される企業に変革すると考えています。また、82%ビジネスリーダーが、AIの活用が自社の労働力不足を緩和する鍵になると考えています。このAIへの大きな期待は、企業の変革や人の働き方の変革に AIが果たす大きな役割を反映していると言えます。今回の調査データは、今後AIが企業のあらゆる領域に埋め込まれ、プロセスを最適化し、労働力の減少といった重要な課題を解決していく未来を映し出しています。
2. AIがより高い成果を創出
AIリーダー企業は、財務面でのより高い価値の創出に加えて、非財務面でも優れた価値を創出しています。調査結果では、AIリーダーの97%が売上を増やし、94%が営業利益を改善しています。そして、92%が顧客満足度と従業員満足度の両方が向上したと回答しています。
AIは企業が「ネットポジティブ」なビジネスモデルにシフトする上での重要な要素であることも明らかとなりました。これらの調査結果は、戦略的にAIを活用することが、業績を改善するだけでなく、人々のウェルビーイングや環境・社会により大きな価値を提供することに繋がっていくことを示しています。AIは、ビジネスと社会の価値創出に不可欠な要素となっていると言えます。
3. エコシステムと多様なコラボレーションの重要性
クロスインダストリーのパートナーとエコシステムの重要性も明確になりました。調査では、約50%の企業がエコシステムを活用しており、そのうち16%はクロスインダストリーのパートナーとの協業を積極的に行っています。業種を越えたエコシステムを活用している企業の70%以上が、サステナビリティの課題からビジネスとして売上を生み出すことに成功しています。この結果は、複雑な社会課題の解決やサステナビリティの目標の達成に、エコシステムを活用した協調的な取り組みが必要であることを示しています。クロスインダストリーのパートナーとエコシステムを構築することは、新たな価値の創出、イノベーションの促進、そして企業単独では実現が困難な規模の大きいサステナビリティの課題からビジネス価値を創出するために不可欠です。
4. 未来志向の変革に向けて
最後に、この調査レポートでは、AI、エコシステム、サステナビリティを統合し、未来志向の経営変革を進めることが、今日の複雑な経営環境において企業が競争力を維持し、社会にポジティブな価値を生み出すために不可欠であることを示しています。このような包括的な取り組みを推進することによって、企業が現在の不確実性を切り抜けるだけでなく、すべてのステークホルダーにとって持続可能で豊かな未来の実現に貢献することに繋がっていきます。
本レポートでは、企業の変革を成功に導く4つの変革推進要因である「社会の要請と合致したパーパス」「AIを活用するための組織能力の強化」「業界を越えたエコシステム」「データを駆使した成果測定」に注力することを提言しています。

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