解説 Fujitsu Technology and Service Vision 2025(第3回) AIの活用、そして業種を越えた企業間連携の事例

多様な通勤者:子供、自転車、歩行者、スクーター。

Article | 2025年8月6日

この記事は約4分で読めます

テクノロジーはどのように人やビジネスを変革していくのかーー。富士通は毎年、Fujitsu Technology and Service Visionを発表し、未来のビジョンを皆様と共有しています。

本記事では、Fujitsu Technology and Service Vision 2025(以下、FT&SV 2025)の中から一部、クロスインダストリーのパートナーと連携し、お客様の課題解決を支援している事例をご紹介します。ぜひ本編をダウンロードし、皆様が思い描く未来に思いを馳せながらご覧いただければと思います。


※所属・役職は取材当時のものです

AI

AIの計画策定から導入まで、エンド・ツー・エンドで支援

AIがこれから進化を続けていけば、私たちは定型的な業務をAIに任せることができるでしょう。そして、より創造的な業務に専念できるようになるでしょう。FT&SV 2025では、人とAIエージェント(*1)が、それぞれの強みを活かして協力しあい、生産性を高めていく近未来を描きました。

そのような未来を実現するには、企業が積極的に AIを導入し活用を推進することが求められます。

AIの導入には、大きく4つのプロセスがあります。

1.目的設定
2.データ準備
3.AI導入
4.本格活用・継続学習

富士通は、1.「目的の設定」においては、お客様の用途に応じた最適なAI技術をご提案します。例えば、小規模言語モデルがよいのか、大規模言語モデルが適しているのかなど、豊富な実績を活かして最適なモデルを提供します。

2.「データ準備」、3.「AI導入」においては、お客様が保有するデータを、AIが使える形に整えるデータ変換や拡張といった作業をご支援します。

そして4.AIの「本格活用・継続学習」フェーズでは、より進化した AI エージェントの導入や、安心してご利用いただくためのセキュアな環境の構築などを、エンド・ツー・エンドでご支援します。


( *1)AIエージェント:大規模言語モデル、推論モデルや機械学習などのAI技術を使用して、ユーザーに代わって自律的に意思決定やタスクまたはワークフローを実行するシステム

AI導入プロセスと富士通の技術・サービス

AIが実現するフォークリフトの安全意識向上:豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニーの事例

AIを導入し、人と協調して価値を高めている企業のひとつが、豊田自動織機トヨタL&Fカンパニー(以下、トヨタL&F)です。トヨタL&Fは、フォークリフトなどの産業車両や物流システムを提供する豊田自動織機の社内カンパニーです。トヨタL&Fと富士通は、倉庫を行き交うフォークリフトの運転の安全性について、AIが評価するサービスを開発しました。

この「運転動画AI解析」は、これまで人が行っていたドライブレコーダーの映像確認を、AIが実行することで、評価に時間がかかっていた問題や、評価内容のばらつきといった課題を解決します。

フォークリフトの動きやオペレーターの安全確認動作などを学習したAIが、ドライブレコーダーの映像を解析します。フォークリフトが「急旋回」など危険な動きをすると自動で検知します。また、各オペレーターの動作を分析し、運転の成績表を表示して、安全な労働環境の実現に貢献しています。

トヨタL&Fと富士通はフォークリフトの運転の安全性をAIで評価するシステムを開発
トヨタL&Fと富士通はフォークリフトの運転の安全性をAIで評価するシステムを開発

エコシステムで社会課題解決へ

現代の複雑な社会課題を1社だけで解決するのは困難です。富士通は、大きな社会課題を解決するには、業種を越えたパートナー連携が必要だと考えています。FT&SV 2025では、人とAIが中核にあるエコシステムが生まれ、協力して課題を解決する近未来を提示しました。

現在、富士通は、社会課題の解決に取り組む事業モデル「Fujitsu Uvance」において、多様なパートナーとのデータ連携を推進しています。

業界の垣根を越えた物流効率化:Sustainable Shared Transportの事例

Sustainable Shared Transport株式会社(以下、SST)は、2024年、企業間の垣根を越えた物流効率化に貢献するため、ヤマトホールディングス株式会社の傘下に新設されました。

物流業界は、ドライバー不足への対応や温室効果ガスの削減などへの貢献が強く求められています。そうした中、同じ目的地に向かうトラックを他社と共同で使い、効率化をはかりたいという声は高まっていました。

ただ、課題になっていたのが、荷主や事業者ごとに規格やシステムが異なることです。SSTは、共同輸送する荷主企業と物流事業者が、情報をマッチングするオープンプラットフォームを稼働させました。このプラットフォームのベースになったのは、SSTと富士通が共同開発したデータ連携のための基盤システムです。また、富士通のブロックチェーンやサイバーセキュリティの知見と技術を活用し、業種を跨ぐデータ連携の安全性を確保し、車両の積載率の向上やドライバーの負担軽減を実現しています。

ヤマトホールディングス傘下のSustainable Shared Transport株式会社は規格が異なる会社と共同で荷物を配送する
ヤマトホールディングス傘下のSustainable Shared Transport株式会社は規格が異なる会社と共同で荷物を配送する

「異なる産業に属するステークホルダーが協力し、成果を生み出すために必要なものは何でしょうか?その鍵となるのは、多様なステークホルダー間の信頼です。特にAIのセキュリティが鍵です」と、富士通技術戦略本部テクノロジーマーケティング戦略統括部の西川博シニアディレクターは強調します。

富士通のセキュリティ技術は、データスペース上の安全なデータ共有を可能にし、企業が力を合わせて社会課題の解決を目指すことを可能にします。FT&SV 2025では、ビジネス成長と社会貢献の両方を実現する再生型エコシステム(Regenerative Ecosystem)へとつながる多数の実践事例を紹介しています。

2025年度のFujitsu Technology and Service Visionをぜひ、こちらからダウンロードください。

Fujitsu Technology and Service Vision 2025

上空から見た、緑豊かな公園の曲がりくねった道を歩く3人の人々。
上空から見た、緑豊かな公園の曲がりくねった道を歩く3人の人々。

関連コンテンツ

Fujitsu Technology and Service Vision

Fujitsu Technology and Service Vision 2025では、人とAIの協働により、ネットポジティブな未来につなげるアクションを示しています。クロスインダストリーのエコシステムでAIを活用し、複雑な社会課題への対応を加速させる未来を提案します。
緑豊かな公園を抜け、街の端まで道が続く近未来的な風景

富士通が描く「人とAI」中心の未来ビジネスとは

AIは私たちのビジネスをどのように発展させるのか。Fujitsu Technology and Service Vision は富士通が提示する未来のストーリーです
夕焼けの砂浜に立つ女性と虹色の光る壁

AIエージェントと共存する未来の職場と新たなリスクとは

AIエージェントはビジネスをどのように変えるのか。Fujitsu Technology and Service Vision は富士通による未来のストーリーです
夜の砂浜に立つ人影、遠くに街の灯りが見える風景。

株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー 様

物流現場の改善を支援するサービス群FORKLOREのさらなる拡充を目指し、富士通のKozuchiと自社の物流ノウハウを組み合わせ、フォークリフトの安全運転のレベルを評価する国内初のサービスを開始。
作業員がフォークリフトを運転している様子