コミュニティ
ありたい姿
社員一人ひとりが幅広いステークホルダーとの共働・共創を通して社会課題への共感性を高めて活動に取り組み、社会にスケールあるインパクトをもたらすことで、富士通の成長機会を創出し、パーパス実現に貢献している。
2025年度目標
コミュニティ活動(注1)に対する社員のマインドセット変革・組織風土醸成、および社会へのインパクト創出
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コミュニティ活動に参加した従業員 富士通グループ従業員数の20%
上記の目標数値は、2022年度中期経営計画策定時に設定されたものです。2024年度には、様々な施策により多くの従業員がコミュニティ活動に参画し、目標数値を前倒しで達成しました(実績:30.7%)。2025年度はより高い目標を目指し、引き続き取り組みを進めていきます。
注1:コミュニティ活動とは:
重要なステークホルダーの1つである地域社会とグローバルで協力し、社会が抱える課題解決に取り組み、価値創造をめざす活動
コミュニティ活動の考え方
富士通グループは、重要なステークホルダーの1つである地域社会(コミュニティ)に対し、寄付や社会課題に取り組む団体への投資、従業員のスキルを活かしたボランティア活動等をグローバルで展開し、「地球環境問題の解決」「デジタル社会の発展」「人々のウェルビーイング向上」の実現と、持続可能な社会づくりに貢献します。さらに、これらのコミュニティ活動を通して財務・非財務の両面でアウトプット、アウトカムを生み出し、それを企業活動に投じるサイクルを継続することで、社会課題解決につなげ、地域社会への価値を創出していきます。
重点注力分野
コミュニティ活動においては、マテリアリティの必要不可欠な貢献分野である「地球環境問題の解決」「デジタル社会の発展」「人々のウェルビーイングの向上」につながる活動を重点注力分野とし、GHG排出量の削減やデジタルアクセシビリティの改善、ICTスキル教育の活動等を通して、ポジティブなインパクト拡大に貢献します。
推進体制
サステナビリティ経営委員会の下に、コミュニティ推進室とGlobal Sustainability Engagement team(以下、GSEチーム)を各地域の窓口として設置しています。各地域に、コミュニティ活動推進責任者を配置し、各国の活動はそれぞれの地域の実情に合わせて企画・推進しています。それぞれ、Japanおよびその他海外地域と双方に連携する体制をとり、またグローバルレベルの施策についてはコミュニティ推進室がGSEチームと連携を取りながら企画を行い、各地域で推進する体制を取っています。コミュニティ推進室は、主要評価指標(KPI)に向けて、地域単位での活動結果を四半期ごとに取りまとめ、定期的にGSEチームおよび各地域間で連携し、現場の状況を踏まえて双方で活動の改善のためのディスカッションを実施しています。また、これらの活動が創出したインパクトを定量的に把握していくとともに、年に2回、サステナビリティ経営委員会にて定期報告を行い、活動を改善するため検討を行っています。

従業員のコミュニティ活動支援制度
富士通グループは、社会に対する従業員一人ひとりの積極的な貢献活動を支援するため、コミュニティ活動支援制度を整備しています。
-休暇制度‐
富士通は青年海外協力隊/シニア海外協力隊参加のための休職制度(最長3年間)や、年5日・最高20日まで積立可能なボランティアのために活用できる休暇制度を設けています。
-従業員の寄付‐
従業員の社会課題に対する意識向上、寄付を通じたボランタリーマインドの醸成を目指し、従業員専用の寄付サイトを設置しています。さらに、災害・人道支援に関する寄付で特定の条件を満たした場合は、会社が一定の割合で寄付金額を上乗せする「マッチング寄付」も実施しています。
-データ収集基盤の導入‐
コミュニティ活動の効果や成果の見える化を目的として、データ収集基盤を導入し、マネジメントの最適化を図っています。また、従業員がコミュニティ活動を行うことによるエンゲージメントへの相関等、非財務指標に与える影響の測定に取り組んでいきます。
富士通グループの取り組み
富士通グループでは、以下のようにグローバルでコミュニティ活動を推進しています。
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従業員主導の活動
社内SNSを活用してコミュニケーションし、アイデアを出し合いながら、選択したSDGsに対して従業員自ら活動を企画し、計画を立てて実施するプログラムや、社会課題解決を目指す企業・NPO・諸団体への支援活動(プロボノ)、様々な企業やNGO・NPOの方々による講演や従業員とのパネルディスカッション、ワークショップなど、従業員が主体となってコミュニティ活動を行っています。
また、従業員が講師となり、富士通が事業を推進するうえで実践しているデザイン思考や、テクノロジーをテーマとした問題解決型学習など、様々な教育支援プログラムを提供しています。 -
NGO・NPOへの助成
富士通のパーパス実現に向けて、従業員が応援したいNGO・NPOの具体的な取り組みに金銭的助成を行うプログラムを実施しています。従業員とNGO・NPOが社会課題解決に向けて共創することで、持続可能な社会の実現に貢献しています。2024年度は4カ国から選ばれた5団体に対して助成を行いました。 -
活動のインパクト測定および開示
2023年よりBusiness for Societal Impact (B4SI)(注2)のメンバーシップに加入しており、自社の活動実績とインパクトの正確な測定・開示に取り組んでいます。
注2:企業による社会貢献のインパクトを測定する国際基準
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スポーツを通じた社会貢献活動
富士通グループでは長年、スポーツを通じた「挑戦の支援」「地域との共生」を目的にした社会貢献活動を展開しています。富士通グループ運動部の選手を交えたイベントや、バリアフリーマップの作成・配布、障がいのある方やウクライナ避難民へのスポーツ観戦体験の提供などを行っています。
活動事例
マテリアリティの各貢献分野における、2024年度の主な活動事例をご紹介します。
地球環境問題の解決 Planet:人と自然が共存・共栄し、地球の未来を共に創る
デジタルで育む緑。富士通従業員の貢献(中国)
従業員による植樹の様子
中国では、国土の13.6%(130.8万平方キロメートル)が砂漠化の影響を受け、約5,000万人がその影響を受けています。砂漠化への対策として、植林は非常に重要な取り組みです。中国では多くの従業員が、オンラインプラットフォーム「Ant Forest(アントフォレスト)」を活用してこの課題に取り組んでいます。Ant Forestは、Alipay(アリペイ)が提供する、持続可能性をゲーム感覚で体験できる画期的なプラットフォームです。ユーザーは、環境に配慮した行動を通じて「緑のエネルギー」を獲得し、そのエネルギーを使って中国の乾燥地域での植林を支援します。植えられた木は、衛星を通じて追跡することができます。
2023年だけでも平均して月2.5時間を費やし、合計6,500万歩以上を歩き、1,954本のサクサウール(砂漠に強い木)を寄贈しました。2024年には甘粛省にある「富士通の森」を訪問する機会を得ました。この活動を通じて、これまでに3,231本の木が植えられ、32,310平方メートルの土地が砂漠化から守られています。参加者の総活動時間は9,947時間に達しました。
- 植樹活動に参加した従業員数:3,958
この植林プロジェクトは、Society of Entrepreneurs and Ecology (SEE) Foundationによって管理されています。
SEE Foundationの詳細については、こちらをご覧ください。

デジタル社会の発展 Prosperity:若者の起業家精神と創造性を育むアプリ開発ワークショップを開催
(ニュージーランド)


ニュージーランドでは、地域の若者の潜在能力を引き出し、信頼に基づくデジタル社会の実現に貢献することを目的として、ニュージーランドのウェリントンでアプリ開発ワークショップを開催しました。このワークショップは、若者のビジネスと人生における可能性を啓発する非営利団体Young Enterprise Scheme(YES)およびTech Stepとの協働で実現しました。地域から38名の学生と4名の従業員が参加し、学生たちはアプリ開発のプロセスを学び、特定の基準に基づいて独自のユーザーフローやワイヤーフレームを作成する機会を得ました。
協働先のYESは、高校生向けのプログラムや教材を提供し、起業家精神と創造性を育んでいます。今回のアプリ開発ワークショップに参加した従業員らは、オセアニア地域で導入されている「ボランティア休暇制度」を活用しました。この制度により、従業員は年間最大3日の有給休暇を取得し、コミュニティ活動に参加することができます。富士通はこのような制度を通じて、従業員の社会貢献活動を支援し、サステナビリティへの取り組みを推進しています。
- 活動に参加した従業員数:4
- 受益者数:38

人々のウェルビーイングの向上 People:「川崎市ふれあいスポーツ教室」で子どもたちにスポーツを通じた学びを提供(日本)

富士通は川崎市と20年以上にわたり連携し、スポーツを通じた子どもたちの成長を支援しています。特に「川崎市ふれあいスポーツ教室」では、女子バスケットボール部レッドウェーブ、アメリカンフットボール部フロンティアーズに加え、チアリーダー部も参加し、これまで2万人超の子どもたちにスポーツの楽しさを伝えてきました。現在では、男子バレーボール部と男子バスケットボール部も活動に加わり、陸上競技部は千葉市で同様の活動を展開しています。2024年度には、川崎市内の小学校のべ20校を訪問しました。また、2022年度からは、スポーツの多面的な体験を通じて子どもたちの成長を促す「Fujitsu Sports Kids Learning Program」を開始しています。2024年度は、「食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー」に合わせ、食品ロスに関するクイズや、フロンティアーズが試合会場で行っている「フードドライブ」活動の体験を通じて、食品ロス削減への理解を深めました。アメリカンフットボール部とチアリーダー部が中心となり、37名の子どもたちが参加しました。
富士通は、スポーツを通して困難に立ち向かう精神や豊かな人間性を育み、社会に貢献できる人材育成を支援します。今後も社会との連携を深め、スポーツを通じた社会貢献活動を継続し、子どもたちの成長を全力でサポートしていきます。
受益者数:1,601人
活動参加従業員数:182人(活動参加従業員数は延べ人数)

2024年度実績
富士通グループが2024年度にコミュニティ活動に関わる費用として支出した金額は、以下のとおりです。

災害・人道支援
富士通グループは、世界各地の災害や紛争で緊急援助を必要とする方々に対し、寄付を通じて支援しています。
2024年度は、会社からの支援金、従業員からの寄付、およびマッチング寄付(従業員からの寄付と同額を会社からも寄付)により、総額53,931,580円を寄付しました。