ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

ありたい姿

多様性を尊重した責任ある事業活動(レスポンシブルビジネス)に取り組む。
誰もが一体感をもって自分らしく活躍できる、公平でインクルーシブな企業文化を醸成する。個人のアイデンティティに関わらず、誰もが違いを認め合い、活躍できるようにする。
インクルーシブなデザインやイノベーションを通じて、社会により良いインパクトをもたらすよう努め、エンパワーし合うことで、持続可能な世界の実現を目指す。

2025年度目標

全分野共通

年齢、性別、文化、民族、性的指向、アイデンティティ、能力に関わらず、一人ひとりが敬意と支援を感じられるようにする

  • 従業員エンゲージメントの 「個人の尊重」に関する質問に対する回答結果の平均を7ポイント向上(80ポイント)

誰もが一体感をもって、自分らしくいられるインクルーシブで公平な企業文化を構築する

  • 従業員エンゲージメントの「機会の均等」に関する質問に対する回答結果の平均を4ポイント向上(74ポイント)

ジェンダー

リーダーシップの役割に重点を置き、女性の参画を同等にする

  • リーダーシップレベルの女性比率を20%に向上

健康・障がい・アクセシビリティ

富士通の提供するソリューションやコミュニケーションを、すべての社員、お客様、および社会のステークホルダーにとってアクセスしやすいものにする

  • デジタルアクセシビリティをブランドコミュニケーション、顧客エクスペリエンス、ワークプレイスを含む企業戦略の1つとして推進および提唱

文化・民族

私たちが働く社会を顧みながら、お互いへの尊敬と寛容をもち、文化に配慮した偏見のない職場環境を実現する

  • グローバルかつ地域の取り組みを組み込んだ、文化・民族の総合戦略を構築

LGBTI+

LGBTI+インクルージョンのベストプラクティスを推進し、富士通のすべての拠点で社員とその家族をサポートする

  • LGBTI+の社員に平等な機会と一体感をもたらすため、FWEI (富士通ワークプレイス平等指数) を導入(注1)

注1:FWEIは、ヒューマン・ライツ・キャンペーンによる企業平等指数、ストーンウォールによる職場平等指数、Pride in Diversityによるオーストラリア職場平等指数などの包括的な基準に基づいており、富士通が支持している「国連LGBTIに関する企業行動基準」にも沿うものです。 FWEIでは、ビジネスを行う国々で法的・文化的に可能な場合は最小基準と拡大基準を設定しています。

方針

富士通グループでは、Fujitsu Wayのパーパス・ステートメントに記す「公正と平等を重んじ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進します」という考えに基づき、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みを進めてきました。
2022年には、「Global DE&I Vision & Inclusion Wheel」を刷新し、誰もがより一体感をもって自分らしく活躍できる、公平でインクルーシブな企業文化を目指すこととしました。このビジョンで示しているエクイティ(公平)は、全員に同じものを等しく提供する「平等」とは異なり、あらゆる人が異なる境遇にあること、状況に応じた多様なリソースや機会が必要となることを認識し、対応することを意図しています。こうしたDE&Iに対するより包括的・全体的なアプローチを通じて、富士通の技術やソリューションが社会に与える良いインパクトについても視野に入れ、持続可能な社会の実現を目指しています。

Global DE&I Vision & Inclusion Wheel
Global DE&I Vision & Inclusion Wheel

推進体制

DE&Iの活動進捗や目標達成状況の確認、新規活動の提案については、社長を委員長として半期ごとに開催する「サステナビリティ経営委員会」において討議し、その結果を経営会議と取締役会に報告しています。
富士通のマテリアリティの中で「人材-DE&I」は持続可能な発展の土台であり、その責任者としてCHRO(人事最高責任者)を任命しています。
具体的な施策検討の場として、全リージョンのDE&I推進者が参加する定期会議を設け、DE&Iリードのもと、リージョンにおける課題や施策を共有するとともに、グローバルで連携した推進施策の企画立案を行います。
また、全体的な推進状況を把握するため、毎年グローバルに実施しているエンゲージメントサーベイにDE&Iに関する設問を設け、社員の意見をふまえて取り組みの進捗を確認しています。
さらに制度面では、女性幹部社員の登用に向けたパイプライン拡大のための育成プログラムのほか、組織長の評価の中に非財務指標としてDE&I項目を設定するなど、組織のコミットメントのもと、より積極的にダイバーシティリーダーシップやインクルージョンを推進する仕組みを構築しています。

企業文化の醸成に向けて

DE&I Session

誰もが自分らしく活躍できる企業文化の醸成に向けて社員の行動変容を喚起することを目的とし、毎年グローバル全体に向けDE&I Sessionを開催しています。
2024年度は「多様で異なる価値観を持つ社員の活躍 ~Fujitsu Wayと共に~」(社員一人ひとりが互いの違いや文化を理解・尊重し、行動していくことについて考える)というテーマで開催しました。社長をはじめ経営層によるパネルディスカッションを行ったこのイベントには、グローバル各リージョンより多くの社員が熱心に参加しました。

DE&I Session 2024
DE&I Session 2024

また、各リージョンの社員がDE&Iに関する体験や考察を社内メディアで発信するほか、各リージョンがDE&Iの企業文化の浸透を図って積極的に活動しています。

アンコンシャスバイアスと上手く付き合おう!

富士通グループでは、「アンコンシャスバイアス」と上手く付き合い、コミュニケーションを向上させることを目的とした動画コンテンツを作成し、グローバルで展開しています。社外講師による事例を用いた対談を通じて、多様性を受け入れるインクルーシブな職場づくりにつなげていく内容となっています。
この動画コンテンツを活用し、さらなるDE&Iの理解促進に向け、一人ひとりが自身のアンコンシャスバイアスに気づくための独自のワークショップを開催している職場もあります。

コミュニケーション向上を目的としたアンコンシャスバイアス動画コンテンツ
アンコンシャスバイアス動画コンテンツ

国際規範への賛同やイニシアティブへの参加

富士通グループは、国連グローバル・コンパクトとUN Womenが共同で作成した「女性のエンパワーメント原則」のCEOステートメントに2017年度に署名し、同原則への賛同を表明しました。また、2018年度には、同じく国連が公表した「LGBTIに関する企業行動基準」に日本企業として初めて賛同を表明するなど、グローバルなダイバーシティ推進の動きを積極的に取り入れています。
また、経済・ビジネスにおいて主要な役割を担う女性の増加とエンパワーメントのための民間セクターによるアライアンス「G20 EMPOWER」、企業の意思決定機関における健全なジェンダーバランスを目指す「30% Club Japan」に参加しています。

ジェンダー

国際女性デーの取り組み

富士通グループでは、毎年3月8日の国際女性デーの機会をとらえ、経営トップからのメッセージ発信、ソーシャルメディアでの発信を行っています。また、富士通グループのジェンダーのテーマカラーである緑色でグループ内の統一感と一体感を創りつつリージョンごとにウェビナーや講演会など様々なイベントを開催し、企業文化の変革を加速させています。
2024年度は、国際女性デーを契機とし、誰もが自分らしく活躍できる企業文化の醸成に向けて、「Breaking the Barriers Conference」をグローバルで開催しました。複数名の経営幹部が登壇し、「インクルージョン」について参加した社員と共に考えました。
富士通グループでは、リーダーシップレベルの女性社員比率の増加を目標に掲げ、取り組みを推進しています。
富士通では、各部門のリーダー層から管理職登用候補を人選し、職場・経営層・人事・DE&I担当チームが連携しながら、個人に合わせた育成プログラムを策定、実施しています。また、管理職登用候補となるリーダー層だけでなく、すべての層に対してキャリアの振り返りや今後のキャリア形成につながるワークショップ、イベントを開催することで、女性社員の登用を促進するためのパイプラインを拡充・整備するとともに、女性社員一人ひとりの活躍を支援しています。

Breaking the Barriers

Breaking the Barriers (BTB)は特に"ガラスの天井"を認識、解消するための議論の場であり、気づき(インサイト)を提供することを目的とした一連の活動の名称です。具体的な活動として、以下の二つの柱を中心に展開しています。

  • BTB ポッドキャスト

    富士通社内のリーダーたちをポッドキャストのゲストに迎え、キャリアにおいて経験した課題や壁、それらをどのように乗り越えたかなど、パーソナルな経験談を共有しています。

  • BTB カンファレンス

    グローバル全社員向けのイベントで、経営幹部が登壇し、経営課題の視点から社員一人ひとりの活躍に関する課題を議論しました。富士通の多様な社員がより活躍できる会社になるためには、どのような変化が必要か、パネルディスカッションを実施し、参加者全員でインクルージョンについて考える時間となりました。

社長との対話セッション

富士通は、経営層と社員の相互理解を深め、多様な視点を取り入れた組織づくりを推進するため、「本音で語れる対話の場」を継続的に設けています。
この対話セッションでは、富士通の今後の戦略や社員のキャリア形成について、女性幹部やその周辺の社員が日頃から感じている課題や変えるべき点について、社長とカジュアルに対話します。セッションは女性社員に限らず男性社員にもオープンにすることで、多様な視点から女性活躍に関する課題を理解する機会を提供しています。
これにより、経営層ならびに関係者のアンコンシャスバイアスに気付き、相互理解を深め、女性活躍全体を底上げすることを目指します。

縁en Fujitsu WOMEN Leaders ~つながろう、未来のわたしたちのために~

富士通では、女性リーダーより、組織を超えた女性幹部同士のネットワーキングの機会が欲しいと多くの要望を受け、「縁en Fujitsu WOMEN Leaders」立ち上げました。
本コミュニティは組織を超えた(部門横断)女性リーダー同士のネットワーク形成、エンパワーメント促進を目的としています。交流イベントでは、経営層からのメッセージに加え、参加者同士が自由に交流できる場を設けました。これにより、継続的なネットワーキングを促進し、女性リーダーたちが互いに刺激を受け、学び合い、支え合うことで、さらなる成長を遂げることが期待されます。

交流イベントの様子(社長との交流)
交流イベントの様子(社長との交流)

女性社員向けキャリアワークショップ

富士通および国内グループ会社のリーダークラスの女性社員を主な対象とした、自分らしいキャリアやその実現のためのアクションを考えるワークショップを開催しています。
2024年度は自己理解を深めるセッションなどを取り入れ、キャリアオーナーシップの要素を強化しました。また、外部講師の講演および複数のロールモデルとの対話を通じて多様な働き方や幹部社員像を知ることで、女性社員特有の課題を含めた今後のキャリアに対する迷いや不安を軽減し、幹部社員として力を発揮することを視野に入れる等、キャリアの選択肢の拡大につなげています。
2024年度参加人数:749名(富士通および国内グループ会社)

リージョンの取り組み

Europeリージョンの富士通ドイツでは、次世代の研究職・技術職に進む女性の増強を目的に、小学5年生以上の女子生徒に対してSTEAM分野への関心や理解を促すべく、産官学が連携してドイツ全土で職業体験を行うGirls' Dayのイベントで、2つの3D Web-Workshopを提供しました。
富士通オーストラリアと富士通ニュージーランドは、より多くの女性や多様な人々を採用することを目的に「Gender Equity Strategy 2024-26」を策定しました。私たちの社会を反映した多様なチームこそがイノベーティブであることから、富士通の事業でもジェンダーの構成を改善していきます。野心的なゴールを掲げ、女性に選ばれる雇用者を目指しています。
Global Delivery Business Groupでは、Women in Businessというプログラムを提供し、女性社員の専門的な成長に関する講演や、女性リーダーにスポットを当てたイベントを通して、キャリア形成の観点などから女性社員をエンパワーし、サポートしています。

健康・障がい・アクセシビリティ

障がい者活躍推進の取り組み

富士通では、特に日本における障がい者雇用についての社会的要請の高まりを受けて、また責任あるテクノロジーカンパニーとして障がい者インクルージョンに取り組むため、「障がい者活躍ストーリー」を策定しました。障がいのある社員にとって、より働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、社会的障壁の解消にテクノロジーで貢献することに取り組み、インクルージョンとイノベーションの実現を目指しています。

障がい者活躍ストーリー
障がい者活躍ストーリー

国際障がい者デーの取り組み

毎年12月3日の国際障がい者デーに際し、富士通グループの健康・障がいのテーマカラーであるパープルでグループ内の一体感を持たせ、経営トップからのメッセージ発信を行っています。各リージョンにおいて、DE&I推進チームと社員ネットワークグループが協力してウェビナーやラウンドテーブル等の障がい者理解促進のためのイベント開催や、社員への意識付けなどの様々な取り組みを行い、障がいに関しての理解を高めています。
日本では、合理的配慮の理解と浸透を考えるウェビナーを開催し、全国の拠点に配信しました。Europeリージョンでは「インクルージョンウィーク」や国際障がい者デーに伴うトークイベント等を開催しました。

働きやすい職場づくり

富士通では、障がい者の職域を限定することなく採用活動を行っており、営業、SE、開発、研究、コーポレートスタッフなど、様々な職種で障がいのある社員が活躍しています。
採用にあたっては、障がいのある求職者向けのパンフレットやWebサイトを用意し、障がい者雇用の考え方や社員インタビュー、入社後の働き方を掲載することで、障がいの有無に関わらずいきいきと働ける環境を伝えています。入社後も職場面談を実施しながら、能力を十分に発揮して働けるよう、育成から定着まで長期的なフォローを行っています。富士通はWork Life Shift のコンセプトのもとに、時間と場所に捉われない働き方でWorkとLifeのシナジーを追求し、一人ひとりのWell-beingの実現を目指しています。障がいのある社員からも、通勤の不安が軽減された、過ごしやすい環境での勤務が可能になったなど、特性に合った働き方ができるというポジティブなフィードバックを得ています。
職場向けのマニュアル「ワークスタイルガイドライン」では、障がいのある社員と同僚が、共に働くにあたって双方が考慮すべき点について障がいの状況ごとに記載し、職場での理解に役立てています。
また、富士通および国内グループ会社の共通サービスとして、ダイバーシティ・コミュニケーションツール「FUJITSU Software LiveTalk」を展開し、聴覚障がいのある社員を含めたコミュニケーションの円滑化と業務効率化をサポートしています。他リージョンにおいても国や地域の状況に応じ、採用、アクセシビリティ改善、社員ネットワーク活動等の施策を戦略的に実現しています。

障がい者雇用率の推移(富士通)
障がい者雇用率の推移(富士通)

障がい者雇用の促進に向けた特例子会社の設置

富士通および国内グループ会社では、障がいのある方々に働く場をより広く提供していくことを目的として、特例子会社を設立しています。各社では、一人ひとりの障がいの特性に配慮しながら活躍できる職場を目指しています。

<エフサステクノロジーズ太陽株式会社>(2025年4月20日時点)

  • 設立:1995年
  • 障がい者:37名
  • 主な作業:ATM・プリンタ関連・パソコンのリペア、富士通製品の保守サービスに関する各種業務、システムサービス業務
  • 事業所:大分県別府市

<富士通ハーモニー株式会社>(2025年4月20日時点)

  • 設立:2013年
  • 障がい者:245名
  • 主な作業:ヘルスキーピング業務、オフィス環境業務、リサイクル業務、データ管理業務、e-文書法対応、会議・イベントの運営サポート、 健診サポート、仕出し弁当の注文・販売、ノベルティ・事務用品の作成
  • 事業所:本社:神奈川県川崎市(中原オフィス)他、事業所20拠点

アクセシビリティ

富士通グループでは、多様な特性をもつすべての人に開かれた、アクセスしやすいコミュニケーションを目指しています。 ブランドコミュニケーション、製品サービス、職場環境にわたるアクセシビリティの実現のために、関連部門がコラボレーションを進めています。 新たな企業ブランドでは、多様性を意識したデザインを適用するとともに、読みやすさに配慮した独自のコーポレートフォントを開発するなどアクセシビリティを重視しています。

2024年にはアクセシビリティへの理解を深める eラーニングコンテンツを全社展開し、誰も取り残さないデジタル社会の発展に貢献するDX企業として、一人ひとりのマインドセットを醸成しています。
また、2024年11月には、富士通アクセシビリティサイトを開設し、アクセシビリティの取り組みへのコミットメントである「アクセシビリティアプローチ」を発表し、取り組み事例を紹介しています。

責任あるテクノロジーカンパニーとしての社会的障壁解消への貢献

富士通は、東京2025デフリンピック(注2)の協賛契約を締結しました。これまで、ろう・難聴者との共創・協働による「Ontenna(オンテナ)」「エキマトペ」を開発してきましたが、これらを通じて、「障がい=社会の中にあるバリア」が周知され、多くの人々に考えるきっかけを提供するとともに、デフリンピックの機会を活かして、DE&Iの理解促進を目指します。

駅のホームで、女性が自動販売機上のエキマトペを見ている。エキマトペのディスプレイには、電車の扉が閉まるイラストと「ピポンピポン」の手書き文字。アナウンスの手話映像と英語字幕も表示されている
「エキマトペ」はJR上野駅で実証実験を行った(2025年3月撮影)

リージョンの取り組み

Europeリージョンの富士通UKでは独自の「Be Completely Youパスポート」を活用して職場で必要なサポートを提供し、職務が変わっても継続的に合理的配慮が得られる仕組みを社員ネットワークグループとともに実現しました。
ニューロダイバーシティをサポートし、インクルーシブな機会を推進するという継続的な活動の一環として、Americasリージョンの3つの従業員インクルージョンネットワークグループ(WIN、ABLe、C2C)が、Microsoft社が協力するSTEAM Achieversが主催するイベント、HackAutismに参加しました。このイベントには自閉症スペクトラムの高校生160人が参加し、イノベーションと創造性を追求するためのプラットフォームを提供しました。富士通従業員は、メンターやビジネスアイディアコンテストの審査員を務め、STEAMでキャリアを追求する次世代の多様な才能の刺激となりました。

文化・民族

富士通グループは、多様な文化や民族を尊重する企業文化づくりのために、グローバルスケールで活動を始めています。各リージョンで、多様な文化や民族を理解するための社員ネットワークグループの活動、国や地域の文化を理解するイベント、特定民族の理解を深める活動、少数民族支援活動などが行われています。
富士通オーストラリアは、トレーニングと能力開発の支援を通じて、オーストラリア・クイーンズランド州のシェルブールにある先住民が運営するデジタルサービスセンター(First Nations Service Centre)を継続的に支援しています。3年間の運営を経て、ユーザー満足度においてアジア太平洋地域でトップクラスのコールセンターとなるなど、多くの成果を上げています。富士通オーストラリアは、関係性の構築、尊敬の念の醸成、公平な機会の創出に基づいた様々な活動を通じて、先住民(Indigenous)の人々の自己決定を支援しています。この分野でのインパクトをさらに高めるため、2025年には新たなリコンシリエーション・アクション・プラン(RAP)を発表する予定です。
日本では、インターナショナルな社員が富士通の職場環境や日本での生活に溶け込めるよう、メンタリングプログラム、情報の日英併記を進める社内活動、イントラサイトによる情報共有を実施してきました。英語で交流する社員ネットワークEnglish Clubは、オンライン開催を機に他リージョンからの参加者も加わる活発な交流活動に発展し、異文化理解に活力を与えています。

Cherbourg Digital Service Centre のスタッフ、地域住民、そして富士通を含むパートナーは、2024年8月にセンターの2周年と新たな研修生の卒業を祝いました
Cherbourg Digital Service Centre のスタッフ、地域住民、そして富士通を含むパートナーは、2024年8月にセンターの2周年と新たな研修生の卒業を祝いました

LGBTI+

富士通は、日本企業として初めて「国連LGBTIに関する企業行動基準」への支持を表明しました。誰もが働きやすく能力を存分に発揮できる環境づくりのために、全社員に向けたトップメッセージを継続的に発信しながら、性の多様性への理解を深める取り組みを進めています。
日本では、同性パートナーについても慶弔見舞金の支給、休暇、休職などの社内制度の適用範囲を拡大しています。また性自認に基づく通称名の使用や健康診断時の個別対応など、職場環境への様々な配慮を行っています。
研修やセミナー、イントラネットでのメッセージ発信などにより、全社的な認知を進める一方で、多様なLGBTI+当事者と一緒に話し合うアライミーティングを開催し、“アライ”(Ally=理解者、支援者)の輪を広げる取り組みも実施しています。LGBTI+とアライをテーマとした映画上映や動画配信のほか、社員がオンラインミーティングにLGBTI+の尊厳を象徴するレインボーカラーの背景を使用するなど、自然に“アライ宣言”をする動きも広がっています。

社内有志が各地のパレードに参加
社内有志が各地のパレードに参加

また、富士通は多様で持続可能な社会づくりに貢献する活動にも力を入れています。
婚姻の平等を求める企業キャンペーン「Business for Marriage Equality」(注3)に賛同するほか、セクターを超えた団体・個人・企業が連携してセクシュアル・マイノリティに関する情報発信を行い、さらに次世代のLGBTQの若者が安心して集える常設の居場所づくりを目指す「プライドハウス東京(注4)」にパートナーとして協賛しています。6月のプライド月間には「Pride Action30」として有志企業とともにインクルージョンのための一人ひとりの具体的行動を呼びかけました。
これら一連の取り組みが評価され、任意団体work with Prideによる「PRIDE指標」において、最高位の「ゴールド」に認定されています。

Fujitsu Pride

グローバル共通ロゴ

「Fujitsu Pride」は、 富士通グループのLGBTI+当事者とアライの社員ネットワークグループの代表者が集まり、DE&Iチームの支援のもとグローバルスケールで連携して取り組む活動です。「Fujitsu Pride」が主催する「Global Pride Month」では、富士通および国内外グループ会社から役員や社員が参加し、バーチャルパレード、オンラインセミナー、パネルディスカッション、小さなグループ単位でLGBTI+について語るイベントを開催するなど、活発な活動を続けています。
富士通オーストラリアではパートナーであるPride in Diversityのために、オーストラリアの職場における平等指標(AWEI)のオンライン版を開発するプロボノプロジェクトを実施しました。AWEIは、LGBTQ+の職場におけるインクルージョンのためのベンチマークであり、MicrosoftとSnapformsを通じてデジタル化されることで、Pride in Diversityのスタッフによる提出物の評価を効率化し、会員企業のユーザーエクスペリエンスを向上させます。今後のプロジェクトの将来的な影響に期待しています。
Europeリージョンなどその他の海外リージョンや、各地域にまたがるGlobal Delivery Business Groupでも、LGBTI+の理解に関する研修やリーダーからのメッセージ発信、社内外の多様なコミュニティと協働したイベント等を開催しています。

世代間

富士通グループでは、すべての世代が尊敬され、成功する機会を持てる企業文化を目指しています。
その一環として、富士通では、世代を越えた社員の対話の場を設定し、それぞれの価値観や働き甲斐を語り合う中で、相互理解を深めました。
Europeリージョンでは、一般社員が幹部社員のメンターとなり、従来のメンター・メンティー関係と逆方向にメンタリングを行うリバースメンタリングプログラム「Perspective」を実施しました。合計32ペアが最大6回のセッションを行い、一般社員メンターにはリーダーシップについて深く考える機会、幹部社員メンティーには若手社員のマインドセットや文化を理解し、新しいITスキルを獲得する貴重な機会となり、Europeリージョン各地の組織文化にポジティブなインパクトを与える試みとなりました。
Europeリージョンの富士通ドイツでは、2015年に設立された次世代ネットワークに参加しています。このネットワークは、世代間の架け橋となり、キャリアの初期段階にある従業員にネットワークの可能性を提供することを目的としています。また、意見交換の場を提供するため、リーダーシップチームと緊密に連携しています。ネットワークはローカルな組織構造を持っていますが、一方ではグローバルに存在し、協力しています。さらに、世界清掃デーなどの持続可能性に関するトピックを頻繁にサポートしています。

仕事と育児・介護の両立支援

富士通は、仕事と出産・育児、介護などを両立するための仕組みの整備を進めています。テレワーク制度の導入・浸透に加え、コアタイムなしのフレックス勤務体制の拡充や男性の育児休暇取得可能日数の拡大など、制度の一層の充実を通して育児・介護との両立を促進しています。

出産・育児

「次世代育成支援対策推進法」に則った「行動計画(注5)」を策定し実行しているほか、事業所内保育所の設置・運営やカフェテリアプランにて育児関連のメニューを2倍ポイントとして費用補助する制度を整備しています。
また、イントラネットにて「出産育児に関するガイドライン」や育児に関する今後の計画を考える「育メモ」の展開等、円滑な育休取得に向けたツールを展開しています。さらに、育休期~復職後までの働き方やキャリアを考える際の参考となる「育児と仕事の両立ハンドブック」の公開や先輩パパママに社内SNSにて相談できる環境も整え、育児との両立を全面的に支援しています。

育児と仕事の両立ハンドブック
育児と仕事の両立ハンドブック
出産育児に関するガイドライン
出産育児に関するガイドライン

介護

介護に関する基礎知識や社内外制度を学ぶ研修を全社員に実施するとともに、介護と仕事の両立を支援するツールも展開しています。また、研修と並行して介護状況アンケートを行い、介護事情を抱える社員数や、介護に直面した場合に富士通での長期就業の見通しを把握しています。さらに、介護ステージに応じた知識・行動や社内制度をまとめた「仕事と介護の両立ハンドブック」を提供。富士通グループ介護相談窓口と連携し、社員一人ひとりの悩みに寄り添い、ウェルビーイングの実現を目指しています。

「仕事」と「介護」の両立ハンドブック
「仕事」と「介護」の両立ハンドブック

社外表彰・認定

富士通のダイバーシティ活動に対して社外からいただいた過去の評価・表彰の詳細(注6)をご覧ください。

<2024年度の表彰・認定>

  • Americasリージョン: 

    富士通アメリカは the Human Rights Campaign(“HRC”) Award: Equality 100 Leader in LGBTQ+ Workplace Inclusion 2024/2025を受賞

  • 富士通オーストラリア:

    Australian Workplace Equality Index (for LGBTI+ inclusion)で、Gold Level Awardを受賞

  • 富士通ニュージーランド:

    Rainbow TickによりLGBTI+ インクルージョンについて認証

  • Europeリージョン:

    ドイツでは、FKi (Frauen Karriere Index)女性キャリアインデックスに参加し、ジェンダーダイバーシティのTop10企業に選出されました。

  • エストニア:

    Peaasiによるメンタルヘルスを重視する企業のゴールドラベルに認定されました。
    高い多様性を認定するラベル「We respect differences」をエストニア人権センターより受賞しました。

  • Global Delivery Business Group:

    ポーランドでは、責任あるビジネスフォーラム (Forum Odpowiedzialnego Biznesu) より、ダイバーシティ経営のトップ企業として表彰されました。

富士通ニュージーランドRainbow Tickのロゴ
富士通ニュージーランドRainbow Tickのロゴ
ドイツFKi (Frauen Karriere Index)のロゴ
ドイツFKi(Frauen Karriere Index)のロゴ
エストニアのEstonia Mental Health.ロゴ
エストニアのEstonia Mental Health.ロゴ
エストニアWe respect differencesのロゴ
エストニアWe respect differencesのロゴ

2024年度実績

従業員エンゲージメント

  • 「個人の尊重」 73ポイント(前年比+0)
  • 「機会の均等」 72ポイント(前年比+1)

リーダーシップレベル女性比率 16.8%(グローバル)

  • 女性社員比率:21.4%(以下、富士通)
  • 女性幹部社員(管理職)比率:11.5%
  • 新任女性幹部社員(管理職)比率:31.1%
女性社員比率・女性幹部社員(管理職)比率(富士通)
女性社員比率・女性幹部社員(管理職)比率(富士通)