Career & Growth Well-being

方針

「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」という当社のパーパス実現に向け、社内外の多才な人材が俊敏に集い、社会のいたるところでイノベーションを創出する企業となることを目指して社員の成長機会拡充に取り組んでいます。サステナブルな世界を実現するために、これまで富士通が得意としていたテクノロジー領域を活かし、専門性や経験を有する多様な人材が集う組織づくりに力を注いでいます。また、会社から一律の研修を提供するのではなく社員一人ひとりの自律的な学びと成長を支援するために、グローバル共通の施策をベースとして、学びやキャリアの選択肢を広く提供しています。社員のやりがい・働きがいの向上を重視し、制度の見直しや事業ポートフォリオの変革に即した社員のリスキリング・アップスキリングなどを一層推し進め、一人ひとりが充実して自律的に行動できる環境を整備することにより、社員のありたい姿の実現をサポートします。

キャリアオーナーシップ実現に向けて

2022年4月、社員一人ひとりの挑戦と成長を後押しする「ジョブ型人材マネジメント」の考え方に基づく、人事制度を国内グループに導入しました。富士通のパーパスと、社員一人ひとりが「Purpose Carving」を通じて言語化した個人のパーパスとを共に実現するために、社員と会社が「自律と信頼」の関係に基づき共に成長していけるようにしたいという考えから、人事・人材育成制度のフルモデルチェンジに至ったものです。
本制度の下、社員各個人のキャリアオーナーシップ醸成と、これに基づく挑戦・成長を支援するプログラム群「FUJITSU Career Ownership Program(FCOP)」を提供しています。

社員と会社の関係
社員と会社の関係
 社員一人ひとりのキャリア実現を支援する仕組み
社員一人ひとりのキャリア実現を支援する仕組み

FUJITSU Career Ownership Program(FCOP)

富士通の社員一人ひとりがキャリアオーナーシップを発揮しながら、充実したキャリアを実現していくための支援プログラム『FUJITSU Career Ownership Program(FCOP)』を展開しています。
例えば、キャリアについて同世代と対話しキャリアのヒントを得る場である「キャリアCafe」には日本国内の社員34%が参加しています。また、2022年度から導入した「キャリアオーナーシップ診断」では各人のキャリアオーナーシップの現状を診断することができ、3人に1人の社員が活用しています。
さらに、成長に向けた学びの機会を拡大することを目指し、2023年4月からグローバルラーニングプラットフォームとしてLinkedIn(注1)ラーニングを導入しました。全従業員の96%以上が活用し、自律的な学びの文化が醸成されつつあります。
このほか、自身の目指すポジションにチャレンジできる社内ポスティング制度によって国内では、年間約3,000人の社員が異動しています。さらに、社内インターンシップや社内副業を導入することで、社員の挑戦を支援するとともに、組織を超えて様々な経験を得る機会を提供しています。
社内キャリアカウンセラーによるキャリア面談では、相談者数が年間1,300人を超え、自身のキャリア実現に向けた社内外での活躍を支援しています。これに加えて、オープンなキャリア対話をさらに後押しするために、他部門の先輩社員とのメンタリングの場を提供しました。また、上司との1on1でキャリア対話を円滑に実施できるよう、上司向けの研修も拡充しています。
このように、FCOPの各プログラムを通して、社員のキャリアオーナーシップに関する認知や理解、実践が着実に進んできています。

  • 注1 : LinkedInはLinkedIn Corporationの商標または登録商標です。

Fujitsu Uvanceを支える取り組み

富士通がサステナブルな世界の実現を目指して掲げている事業ブランド「Fujitsu Uvance」を実現していくために、社会やお客様の課題に向き合い解決することができる専門性と変革実行力を備えた人材が求められています。様々な取り組みにより「Fujitsu Uvance」とパーパスの実現を人材面から支えています。

Uvance Wayfinders の拡充

Uvance Wayfindersは、テクノロジーをただのツールではなく、すべての土台として位置づけ、新しいかたちのコンサルティングを提供します。先端テクノロジーを成果につなげるような包括的な支援を通じ、お客様の経営層と並走し責任をもって変革の実現までやり切ります。そして「お客さまファースト」を行動で示し、変革を通じて社会全体にも持続可能な価値を広げていきます。そのため、コンサルタント人材の拡充においても、テクノロジーバックグラウンドを持つ人材などのリスキリングを通じ、彼らの強みをつなぎ合わせることで、他ファームとの差異化を図っていきます。

Fujitsu Innovation Circuit

2021年11月に開始したFujitsu Innovation Circuitは、誰もが挑戦の舞台に立つことができる会社になること、挑戦から学ぶという実践態度や、挑戦している人たちへの応援が当たり前になされる会社になること、これからの富士通を牽引し、Uvanceで目指す世界を実現していくイントラプレナー(社内起業家)を誕生させることを目標としています。
米国バブソン大学でアントレプレナーシップ(起業家精神)について教える准教授・山川恭弘氏に監修いただくとともに、実際に講師を務めていただく「Academy」では、第7期までに1,198人が参加して起業のマインドセットを学習しました。また、新規事業創出の実践の場である「Challenge」では、第5期までに37件のアイデアを受け入れました。2022年7月に新規事業のインキュベーションとローンチを行うために設立された株式会社富士通ローンチパッドで事業化されたものも含め、これまで6件の事業化に至っています。

Global FDE

「Global Fujitsu Distinguished Engineer」(以下、「Global FDE」)は、富士通の技術の顔として、その卓越した技術力を活用し、お客様のビジネス課題を解決する先鋒を担います。富士通グループのエンジニアの最高峰としてグローバル共通の基準で認定され、事業戦略や技術戦略の策定に参画します。
富士通グループにおいて将来の重要な技術領域である「ネットワーク」「サイバーセキュリティ」「AI」「データ」「コンピューティング」「ハイブリッドIT」「プロジェクトマネジメント」の7つの認定領域を設定し、2024年度までにグローバル全体で32人の「Global FDE」を認定しました。さらには、ジョブ型人事制度と連動させる形で、ビジネス戦略やお客様の価値創造に貢献しているエンジニアの処遇とキャリアパスを位置付けていきます。

リスキル研修

Fujitsu Uvanceにおける「クロスインダストリーを支えるテクノロジー基盤」のBusiness Applicationビジネス拡大に向け、リスキル研修を実施しています。特に需要の高い3S(SAP、ServiceNow、Salesforce)領域では、3S概要やリーダーシッププログラムを含めた座学研修とOJTを組み合わせた約半年の研修を通じて国内リソースを増強。これまでに数百人規模のリスキルを行い、現場部門での早期戦力化に貢献しています。
また、FY24では、デリバリーからテクノロジーコンサルティングへのロールシフト計画に連動し、デリバリーリソースの補強・増強を図るため、数百人規模でデリバリーの基礎やChat AI等を用いたプログラムを受講し、早期戦力化を目指しています。

プログラムの定量的事業インパクトとしては、
3Sリスキルプログラム:需要の高い3S(特にSAP)領域の早期戦力化、数百人
デリバリーRoleへのリスキルプログラム:デリバリーからテクノロジーコンサルティングへのロールシフト計画に連動し、デリバリーリソースの補強・増強、数百人

DataPractice

 DDM Award 2024 表彰式の様子

DataPracticeは富士通が目指すデータドリブン経営の実現に向けて、人・組織の行動変容を促すプログラム群の総称です。
主要プログラムの1つである「データドリブン経営体感型プログラム(Insight Carving)」は、リアルタイムデータを活用したデータドリブン経営を仮想的に体感することで、共通認識の醸成と、社員が自らデータドリブンの価値を語れるようになることを目指しています。2023年度末に経営トップが率先して実践することからスタートし、2025年度末までにミドルマネジメント層まで約2,000人が参加します。
また、「データドリブン変革への挑戦を促すと共に、社内の優れた実践事例を共有・表彰するプログラム(DDM Award)」を開催しています。データ分析コンペ部門の参加者数は2022年度の95人から2023年度は168人、2024年度には680人へと飛躍的に増加しており、組織や職種の垣根を越えた活発な取り組みが広がっています。2024年度は社外からの参加者も迎え、オンライン/オフラインのハイブリッド形式で開催した最優秀賞決定ピッチ・表彰式には約2,000人が参加。より一層の参加者の拡大、提供価値の最大化を目指し、2025年度の開催に向けた企画・設計を進めています。
さらに、「組織成熟度や行動変容の伸展をモニタリングし、ゴールに向けた具体的なアクションプランを策定するプログラム」を展開し、変革に向けた継続的な取り組みを後押ししています。
これらの社内実践で培われたプログラムや知見は、お客様への提供も視野に入れています。DataPracticeを通じて、お客様のビジネスにおけるデータ活用を支援し、新たな価値創造にも貢献していきます。

推進体制

パーパスの実現に向け、グローバル一体となった人材育成施策を推進するための体制を構築しています。全社人材育成ではEngagement & Growth統括部が、部門の戦略・ビジネスニーズに対する人材育成では各部門の人材開発部が主査となり、強化すべき人材やスキルの明確化、育成施策の企画などを行っています。2022年10月には、社員のスキル開発に特化した組織としてSkill Ownership Office(SOO)を創設。富士通のビジネスをドライブする人材がグローバルに活躍できるように、社内に点在しているリスキル・アップスキルの枠組みをセントラライズし、Fujitsu Uvanceの実現を目指しています。
また、グローバル各リージョンの人材開発部門と連携しながらナレッジシェアを推し進めるとともに、リージョンに特化したローカル施策も組み合わせながら、あらゆる社員が学び、成長できるための支援を実施しています。
なお、専門性の高い研修・教育の実行については、人材育成サービスを提供するグループ会社の株式会社富士通ラーニングメディアが担い、社員のキャリアオーナーシップを後押しする重点施策の実行とデータ分析に基づくフィードバックのサイクルを回しています。

リージョンの主な取り組み

GRiP Managers’ Well-being Workshop Series in Global Delivery Business Group

Mindfulness Lab Series の紹介

Global Delivery Business Groupでは、マネージャーの精神的および感情的な健康をサポートする「GRiP Managers’ Well-being Workshop Series」を開催しました。ストレスマネジメント、ワークライフバランス、レジリエンス(回復力)の向上、共感力あふれるリーダーシップといったテーマを取り上げ、約500人が参加しています。参加者には、セルフケアの実践、効果的なコミュニケーション術、そしてポジティブな職場文化の醸成に役立つ実践的なツールを提供しています。ワークショップを通じて、マネージャーが日々の業務課題を乗り越えながら、自身のウェルビーイングを大切にし、チーム全体のメンタルヘルスに対する意識を高め、より充実した働き方を実現することを目指しています。

マネジメント研修の実施 in China

GRiP Well-being Workshopのイメージ

Fujitsu (China) Holdings CO., Ltdでは、マネージャーのリーダーシップとキャリアアップを強化するため、2024年9月にマネジメント研修を実施しました。このコースでは、戦略的プランニング、チームマネジメント、イノベイティブ・シンキング(革新的なアイディアを生み出す思考法)をテーマに、実践的な学習と専門家による指導を行い、社内でのキャリア向上を支援しています。2024年8月と10月には、新任マネージャーを対象に、マネジメントスキルの向上、効率的なチームづくり、戦略的思考力の育成を目的とした研修を実施し、キャリアアップや昇進につながる取り組みを強化しています。

2024年度実績

一人当たりの年間平均学習実績、年間教育金額(富士通およびグループ会社(グローバル含む))

  

全体平均

年間平均学習時間

47.6時間

年間教育金額

100.2千円