【変革のキーテクノロジー】デジタルツインで持続可能な地域社会を実現

抽象的な光ファイバーネットワークイメージ

2023年7月13日

この不確実な時代、持続可能な社会に向けて、企業はどのように変革を起こすべきでしょうか。ビジネス変革を成功に導く5つのテクノロジーについてご紹介する連載企画。前回のAIに続き、今回はコンバージングテクノロジーに焦点をあてご紹介します。

人々が安心して暮らせる、持続可能な地域社会の実現に向けて、多様で複雑化する社会課題の解決に向けた施策立案により、社会がどのように変化してくのか予測することは困難な状況にあります。政策の実施によって人々がどのような反応や行動を起こすか仮説を立てることは可能ですが、あまりにも多くの要素があるため、粗い粒度での近似値程度しか算出することができません。そのため、地方自治体が取り組むスマートシティなどで意思決定に必要な情報が不足しています。未来を予測することはもとより、個々の人間が施策による影響を受けて、どのような行動へ変わるか見通すことが困難となっています。

施策効果の検証を可能とするためには、行動経済学とAIを組み合わせたデジタルリハーサル技術により、天候などの間接的な影響要因も含む実世界の人の行動に近いモデルをAIによる生成が必要です。実際の都市を再現したデジタルツインと融合させる先駆的な取り組みについて、デジタルトランスフォーメーションのコンサルティングをリードするKhong Sheau Yanに話を聞きました。

革新的なソーシャルデジタルツイン技術

富士通は、小規模な工場など構成要素が限られたデジタルモデルによるデジタルツインの開発を進めています。このデジタルツインから人文科学の知見を応用し、人と環境の影響を組み合わせたソーシャルデジタルツイン(SDT:Social Digital Twins)の構築を、都市全体、地域全体、さらには社会全体にまで活用を広げようと取り組んでいます。実世界をセンシングし、人文科学による洞察を加えることで、デジタル空間上に実社会を再現します。

例えば、デジタルリアリティソリューションのグローバルリーダーであるHexagonと提携し、ドイツ・シュトゥットガルト市の「Urban Digital Twin project」を支援するプラットフォームを提供しました(注1)。シュトゥットガルトの土木事務所では、このSaaSソリューションを利用して、街中にある水道、道路など様々なインフラ設備にIoTセンサー情報からモニタリングした結果を可視化・分析し、都市環境における適切な保守アクションをとることで60万人の住民の生活の質の向上に取り組んでいます。

また、富士通は、機能を向上させるためにActlyzerなどのAIテクノロジーを活用し、将来のソーシャルデジタルツインに不可欠な基盤を構築しています。Actlyzerは、人の行動や表情、人と人、物と物との関係、周囲の環境などをセンシングする技術の一つです。ヒューマンセンシングやコンテクストセンシングで得た人に関わるデジタル情報を用いて、人の心理状態を推定し、次の行動を予測することができます。

ソーシャルデジタルツインが描く未来

富士通は、米国カーネギーメロン大学(CMU)と、ソーシャルデジタルツイン技術の開発に焦点を当てた複数の研究プロジェクトで協業しています(注2)。社会実装に向けて、交通規制や車両移動状況などの実データを用いて、動的に人流の発着地を推定して交通量の管理や調整を行うことで、CO2排出などの環境問題や経済効率などの都市問題を解決するための施策による有効性の検証を進めています。グローバル社会における共同研究・技術の実用化を模索することに重点を置いています。

社会は、デジタルツインのようなテクノロジーと行動科学からの洞察を融合することで得られる潜在的な可能性に気づき始めました。富士通は、これらの分野に積極的に投資し、社会計画の未来を形作るツールとモデルを構築しています。

今後も、コンバージングテクノロジーによる交通ネットワークの最適化やスマートシティ化、およびその他のソーシャルシステムのデジタルツイン構想に、ソーシャルサイエンス主導のモデルがどのように組み込まれるかに注目してください。

富士通 APAC Uvance Vertical Offerings、シニア・ディレクター Khong Sheau Yan

富士通 APAC
Uvance Vertical Offerings、シニア・ディレクター
Khong Sheau Yan

ICT、デジタルソリューション、小売、モビリティ、製造、およびその他の業界向けDXコンサルティングで26年の経験を持つデジタルトランスフォーメーションリーダーであり、ヒューマンセントリックデザイン思考法と、データ分析、AI、IoT、RPA、クラウド、モバイルなどの高度なテクノロジーを活用しています。

(注)この記事はFujitsu Blogに掲載された「Social policy is on the edge of a digital revolution」の抄訳です。

関連情報

編集部おすすめ!

最先端研究施設で産学連携の成果を体感し、多様な研究者と議論して得られた「気づき」とは?

第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会を、9月12日に東北大学で開催しました。本大会は、最先端技術に触れ議論することを目的とした技術発表・講演、先端研究施設見学と、研究開発や人材育成に関して率直に議論することを目的としたパネルディスカッションの二部構成で開催しました。
第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会集合写真

学術を探求するアカデミアや博士人材と富士通はどう向き合うか?~SRLパネルディスカッションで大学と富士通が白熱の議論~

第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会を、9月12日に東北大学で開催しました。本大会は、本大会で行われたパネルディスカッションでは、学術の探求や社会課題解決に向けた熱い思いが交わされ、SRLを軸に人材育成とイノベーション創出を推進する双方の意思が再確認されました。
第3回富士通スモールリサーチラボ全国会でのパネルディスカッション

UR都市機構×富士通
ゼロトラストで実現するセキュリティと利便性を両立した次世代基盤

UR都市機構と富士通は、ゼロトラストの概念に基づいたフルクラウドのセキュリティ基盤を構築し、堅牢なセキュリティと職員の利便性向上を両立しました。関係者インタビューを通して、取り組みや展望をご紹介します。
UR都市機構様と富士通担当者の集合写真

この記事を書いたのは

フジトラニュース編集部
「フジトラニュース」では、社会課題の解決に向けた最新の取り組みをお届けします。

フジトラニュース

編集部おすすめ!

最先端研究施設で産学連携の成果を体感し、多様な研究者と議論して得られた「気づき」とは?

第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会を、9月12日に東北大学で開催しました。本大会は、最先端技術に触れ議論することを目的とした技術発表・講演、先端研究施設見学と、研究開発や人材育成に関して率直に議論することを目的としたパネルディスカッションの二部構成で開催しました。
第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会集合写真

学術を探求するアカデミアや博士人材と富士通はどう向き合うか?~SRLパネルディスカッションで大学と富士通が白熱の議論~

第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会を、9月12日に東北大学で開催しました。本大会は、本大会で行われたパネルディスカッションでは、学術の探求や社会課題解決に向けた熱い思いが交わされ、SRLを軸に人材育成とイノベーション創出を推進する双方の意思が再確認されました。
第3回富士通スモールリサーチラボ全国会でのパネルディスカッション

UR都市機構×富士通
ゼロトラストで実現するセキュリティと利便性を両立した次世代基盤

UR都市機構と富士通は、ゼロトラストの概念に基づいたフルクラウドのセキュリティ基盤を構築し、堅牢なセキュリティと職員の利便性向上を両立しました。関係者インタビューを通して、取り組みや展望をご紹介します。
UR都市機構様と富士通担当者の集合写真

類似記事を探す

最先端研究施設で産学連携の成果を体感し、多様な研究者と議論して得られた「気づき」とは?

第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会を、9月12日に東北大学で開催しました。本大会は、最先端技術に触れ議論することを目的とした技術発表・講演、先端研究施設見学と、研究開発や人材育成に関して率直に議論することを目的としたパネルディスカッションの二部構成で開催しました。
第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会集合写真

学術を探求するアカデミアや博士人材と富士通はどう向き合うか?~SRLパネルディスカッションで大学と富士通が白熱の議論~

第3回富士通スモールリサーチラボ全国大会を、9月12日に東北大学で開催しました。本大会は、本大会で行われたパネルディスカッションでは、学術の探求や社会課題解決に向けた熱い思いが交わされ、SRLを軸に人材育成とイノベーション創出を推進する双方の意思が再確認されました。
第3回富士通スモールリサーチラボ全国会でのパネルディスカッション

富士通がコンバージングテクノロジーで社会課題に挑む。革新的アプローチを産学官連携の場から発信

複雑化する社会課題に対し、富士通は人文科学と技術融合の「コンバージングテクノロジー」を提唱。東洋大学にて第2回研究大会を開催し、技術開発と啓発活動を通して課題解決への道を模索しました。
第2回コンバージングテクノロジー研究大会の発表者写真