外部団体との協業
社会や環境において様々な課題が山積する昨今、企業は、お客様や投資家の皆様へはもちろんのこと、社員やサプライヤー、大小様々なコミュニティなど、あらゆるステークホルダー(利害関係者)に対し責任を持つべきという考え方が国際的に浸透しています。
富士通はこの考え方に共鳴し、国際団体や志を同じくする様々な企業と連携しながら、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。
世界経済フォーラム(WEF)への参画
世界経済フォーラム(WEF: World Economic Forum)は、経済学者であるクラウス・シュワブ氏により設立された非営利財団で、グローバル・シチズンシップの精神に則り、パブリック・プライベート両セクターの協力を通じて、世界情勢の改善に取り組んでいます。そして、あらゆる主要国際機関や経済界、政界、学界、そして社会におけるリーダーと緊密に連携し、世界・地域・産業のアジェンダを形成しています。
2025年1月に世界経済フォーラム(通称「ダボス会議」)の年次総会がスイスのダボスで開催されました。2025年は「インテリジェント時代における連携」をテーマに、地経学的分断や地政学的二極化による「断片化の時代」を回避し、代わりに「インテリジェント時代」に向けた、実現可能かつ人を中心とした課題解決にどのように協力し合うことができるのか、また、現在の低成長・高債務のグローバル経済から脱却し、気候変動からAIの倫理的な利用に至るまで、共通の課題に対処するために、どのように協調的なイノベーションの力を再構築できるのかなどについて議論されました。
また現地では、富士通として3年目となる日本企業としては数少ない自社施設「Fujitsu Uvance House」を設置し、Economist Impact社と共同開発した「ネットポジティブ推進プログラム」の発表や、パートナーと共催したパネルディスカッションを実施。これらを通じて、各国政府関係者や企業トップとのネットワークを広げるとともに、重要なお客様の経営層との関係強化を図りました。
富士通グループは、フォーラムメンバーシップの一員として、2025年1月の年次総会で議論されたテーマの実現に向けて、グローバル・アジェンダと富士通グループのマテリアリティと連動し、ネットポジティブを実現するテクノロジカンパニーとして、グローバルコンセンサスの形成をリードしていくよう取り組んでいきます。
持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)への参画
WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)は、世界各国から250社以上の企業が加盟する国際団体です。富士通は2013年に同団体へ参画しており、2018年からは当社役員が副会長や理事も務めるなど、WBCSDの掲げるビジョン(注1)のもと、ビジネスを通じた変革の加速に向けて参加企業の皆様と協働しています。
富士通はWBCSDの幅広い取り組みへの参加を通じて、様々な団体・企業と分野を超えて相互に知見を高め合い、持続可能な開発への最良な手法を検討し、それを実践する活動を展開しています。
主な取り組み
- マルチモーダル(注2)で持続可能かつ回復力のある輸送とモビリティの促進:富士通はWBCSD、オランダのコンサルティング会社Arcadisと交通データやシェアモビリティデータなど、様々な情報源から得たデータを活用し、モビリティハブの予測精度向上、投資リスクの軽減、効率化といった効果を実証しました。モビリティハブの配置を最適化した結果、CO₂排出量を最大12.6%削減し、ハブの利用率を13.5%向上させる効果が明らかになりました。
- CO₂排出量の算出方法論や企業間データ連携におけるルールメイキング:富士通はバリューチェーンのネットゼロ実現に向け、WBCSDのPartnership for Carbon Transparency(PACT:炭素の透明性のためのパートナーシップ)に参加しています。2023年度には製品カーボンフットプリント(以下、PCF)情報の企業間データ連携の実現に向けた世界初の社会実装プログラム「PACT Implementation Program」を通じて、リアルなサプライチェーン全体のCO₂排出量の見える化に成功しました。また、2024度よりグローバルサプライヤー12社と実データを活用したPCFのCO₂排出量の企業間データ連携を実施し、自社が購入する原材料のCO₂排出量の可視化と削減に向けた実践を行っています。
- Circular Products and MaterialsのWorking Groupに参画し、サーキュラーエコノミーに関連する企業の取り組みの可視化指標の策定やデータ連携、Global Circularity Protocol (GCP)の作成に貢献しています。
引き続き、富士通グループのパーパスと方向性を同じくするWBCSDの活動に積極的に取り組み、持続可能な未来の実現に貢献していきます。
- 注1:WBCSDの掲げるビジョン:2050年までに90億人以上がプラネタリーバウンダリーの範囲内で真に豊かに生きられる世界を実現する
- 注2:マルチモーダル:徒歩、自転車、公共交通機関、シェアモビリティなど多様な移動手段を組み合わせること
- 持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)
- Collaborative pathways for building resilience in transport: insights from ITF 2025
- 企業間データシェアリングによる脱炭素交通実現に向けた実証の実施
- 富士通、グローバルサプライヤー12社と、実データを活用したCO2排出量の企業間データ連携による脱炭素に向けた実践を開始
- バリューチェーン"ネットゼロ"に向けて
- A Journey of Change: How Fujitsu uses PACT to partner with suppliers and drive value chain decarbonization
その他
富士通では、気候変動(カーボンニュートラル)、資源循環(サーキュラーエコノミー)、自然共生(ネイチャーポジティブ)の課題解決に向け、以下のルールメイキングのイニシアチブに参画しています。ルールメイキングから積極的に関与することで、国際的なルールやグローバルスタンダードをベースとする商品を開発して市場適合性を向上させることを目指します。そういった商品の提供を通じて、1社では解決できない、業界横断・社会課題の解決を実現していきます。
グローバル及び国内のSX領域
グローバルにおけるデータスペース(産業‐X)領域
国内のデータスペース(サプライチェーン)領域
欧州のサーキュラーエコノミー領域
国内のAI・分析、データマネジメント領域