バリューチェーン"ネットゼロ"に向けて

ルールメイキングから自社実践、お客様へのオファリング提供へ
富士通は、2040年までにバリューチェーン全体のCO2排出量(Scope3)をネットゼロ(*1)にすることを目標に掲げています。この目標達成に向けて、グローバルスタンダードに基づくCO2排出量の算出方法論やデータ連携について、ルールメイキングの段階から関係機関との議論に参画してきました。それを基に自社の実データを用いて検証を行い、データ連携や方法論の標準化により得たノウハウを、社会課題を起点とした事業モデル「Fujitsu Uvance」のもと、ESG経営やサプライチェーンマネジメントのオファリングとして順次提供しています。
(*1)ネットゼロ:残存排出量と中和量を同量にすること。当社は、目標年度を2040年度として、基準年度である2020年度のCO2排出量を90%以上削減し、残存排出量の10%以下は、大気中のCO2排出量を直接回収する技術の活用や、植林などによる吸収で除去・貯留を予定。
グローバルスタンダードに向けた取り組み
バリューチェーン全体のCO2排出量のネットゼロに向けては、原材料のCO2排出量削減努力を可視化する算定方法の確立と、企業間のデータ連携のルールメイキング、そして社会実装が課題となっています。
富士通は、World Business Council for Sustainable Development(WBCSD:持続可能な開発のための世界経済人会議)(*2)が2021年6月に立ち上げたPartnership for Carbon Transparency(PACT:炭素の透明性のためのパートナーシップ)に2022年11月よりメンバーとして加わり、CO2排出量の算出方法論やデータ連携におけるルールメイキングの議論に参画しています。2023年9月には、プロダクトカーボンフットプリント(以下、PCF)情報の企業間データ連携の実現に向けた世界初の社会実装プログラム「PACT Implementation Program」を通じて、リアルなサプライチェーン全体のCO2排出量の見える化に成功しました。
また、日本国内においても、一般社団法人 電子情報技術産業協会(以下、JEITA)が事務局を務める「Green x Digital コンソーシアム」では、「見える化WG(ワーキンググループ)」の副主査として、サプライチェーン全体でのCO2排出量の見える化による削減の仕組みづくりに携わっています。
(*2)World Business Council for Sustainable Development:ビジネス活動を通じて持続可能な社会を実現することを目的とした、グローバル企業約200社のCEOが率いる団体、富士通は理事を担う。
グローバルサプライヤーと挑む実データを活用した脱炭素に向けた実践
富士通は、PCF算定や企業間データ連携の国内外のルールメイキングにコアメンバーとして参画してきた経験およびその実践の知見を活かし、2024年度からサプライヤーとのエンゲージメントを深化させ、実データを活用したPCFのCO2排出量の企業間データ連携を実施し、自社が購入する原材料のCO2排出量の可視化と削減に向けた実践を行っています。
本取り組みでは、富士通のオファリング「ESG Management Platform」を活用しており、グローバルスタンダードであるWBCSD/PACTの最新バージョンと、JEITA Green×Digitalコンソーシアムのルール、両方に対応していることから、グローバル標準にのっとった実データを活用したPCF算出とCO2排出量のデータ連携を実現しています。サプライチェーンの上流からサプライヤーのCO2排出量がつながることで、サプライチェーン全体のCO2排出量の削減努力が価値として可視化され、削減シナリオの立案や施策の効果シミュレーションなどに反映できます。

また、富士通自身がScope3削減を目的に自社のオファリングを用いて実践を行うことで、運用面での課題やその解決策などの実践知を蓄えられます。このような情報は、サプライヤーやWBCSDを始めとする関係機関と共有するとともに、お客様への付加価値として提供していきます。
本実践を通して、富士通はお客様の産業におけるサプライヤエンゲージメント強化と共に脱炭素の仕組みづくり構築を目指しています。脱炭素の世界目標に対しては、一企業の取り組みは小さな一歩ではありますが、2023年のNY Climate Weekでは、GHGプロトコルやISSBのトップへ日本企業の取り組む意義や課題などを直接伝え、また、国内の産業での支援の在り方などについても積極的に政策提案なども行っております。富士通の知見をより多くの方に伝え、世に広げ、共感いただく皆様と共に、Sustainability Transformationを実現していきたいと考えております。
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