資源循環

外部動向

グローバルな資源循環の強化

2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、目標12に「つくる責任つかう責任」が掲げられ、天然資源の効率的な利用、製品ライフサイクルを通じた化学物質・廃棄物の適正管理および大気・水・土壌への排出の大幅削減、などが謳われています。また、欧州連合は、2024年6月に「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」を公布し、対象製品の拡大に加え、リサイクル性や耐久性・修理・再生材の利用、さらには製品ライフサイクルにおける環境影響評価(カーボンフットプリントなど)やトレーサビリティを確保するためのデジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入など、製品のサステナビリティに関する要求が高まっています。また米国では「修理する権利(Right to repair)」に関する法案を各州が次々と可決、日本では経済産業省が「サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム」構築に向けた検討を進めるなど、全世界においてより一層、資源をより有効的に利用していくための要求が高まっています。

プラスチック廃棄物問題

経済協力開発機構(OECD)の、世界のプラスチックに関する課題と政策提言報告書の発表(2022年2月)によると、世界全体におけるプラスチック廃棄物の量は2019年の353 Mtから2060年には3倍に増加すると予測されています。また、2022年2月に開催された第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)では、プラスチックの有用性については認識しつつも、海洋汚染を含むプラスチック汚染が地球規模の課題であることから、国際約束の作成に向け2022年後半に政府間交渉委員会を設立し、2024年末までに妥結を目指すことが決定されました。しかしながら、2024年末までにプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の合意に至らず、今後の再開セッションに協議が持ち越しとなりました。企業としてライフサイクル全体を通じてプラスチック資源循環に取り組む必要があるため活動を継続していきます。

富士通グループの状況

資源循環に向けて

富士通グループは、1990年代より長年にわたりプラスチックをはじめとした資源の3R(Reduce:使用量削減、Reuse:再利用促進、Recycle:再生資源利用促進)に取り組んでいます。その一環として、ICT製品の部品点数削減、小型・薄型・軽量化を従来から推進しています。また、使用済みICT製品や事業所から発生する廃棄物の資源再利用も進めています。使用済みICT製品の資源再利用においては、過去に環境行動計画の目標として取り組み、事業系使用済みICT製品の資源再利用率90%以上を達成したため、現在は管理目標として取り組みを継続しています。
近年、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」をめぐる動きは世界的に加速しています。特に、上述のとおりESPRの採択に伴い、廃棄物の資源としての再利用、製品のリサイクル性の向上、再生材の利用など、資源循環に関する議論が活発に行われるようになりました。またプラスチック廃棄物に関する課題解決に向けた対策が急務となっています。
こうした状況を踏まえ、富士通グループでは従来からの取り組みに加え、ICT製品への再生プラスチック利用、梱包材のプラスチックから紙材料への転換に注力しています。事業構造の変化により、廃棄物の発生量は減少傾向にあるものの、循環型社会へのさらなる貢献を目指し、廃棄物の削減と資源の循環利用を強化していきます。そのため製品の省資源化といった全社一律の取り組みに加え、今後はさらに、個々の製品特性にあったサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルを検討し、その新しいビジネスモデルにあわせた設計に重点を置いていきます。

プラスチック資源循環法への対応

国内外におけるプラスチック使用製品の廃棄物をめぐる環境の変化に対応して、プラスチック製品使用の合理化をはじめ、市区町村による再商品化、事業者による自主回収と再資源化を促進するための制度の創設など、プラスチック製品の資源循環を推進する取り組みが求められています。こうした考えを踏まえ、多様な製品に利用されているプラスチック素材に着目し、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理に至るまでの各段階において、プラスチックの資源循環の取り組み(3R+Renewable)を促進するため、2021年6月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が制定されました。
富士通は、法律の定める「多量排出事業者」として、プラスチック廃棄物の排出抑制および再資源化の目標を設定し、活動を推進していきます。

目標:プラスチック廃棄物のゼロエミッション活動およびリターナブル化の推進
2024年度廃プラスチックの排出量:1.5千t