進化した異業種交流型ワーケーション
~地域創生とビジネス創出の機会~
2025年11月27日
富士通では、昨年度より従来のワーケーションの枠を超え、「地域課題解決」と「ビジネス創出」の両立を目指す革新的なプログラム「異業種交流型ワーケーション」を実施しています。この取り組みは、富士通が主導して、様々な企業、自治体、アカデミアと連携して行う3泊4日のワーケーションプログラムです。参加者は、ワーケーションをしながら地域の方々との交流やフィールドワークを通してリアルな課題に触れ、解決に向けた新たなビジネスの創出を目指します。
昨年度、長崎県にて開催した第1弾の企画では、参加企業様及び地域の皆様より多大なるご好評を賜ることができました。この成功を受け、今年度は第2弾として島根県松江市にて実施いたしました。本事稿では、昨年度の取り組みからさらに進化を遂げた本企画の詳細、そこから生まれた具体的な成果、そして今後の展望についてご紹介します。
富士通におけるワーケーション
富士通は、2021年から「Well-being向上」「キャリア形成」「地域課題解決」「チームビルディング」を目的にワーケーションを推進し、現在は全国13自治体と「ワーケーションパートナーシップ協定」を締結しています。
当初はワーケーションの社内文化醸成を目的として社員向けのモニターツアーのみ実施していましたが、2024年度からはワーケーションを実施することによる企業メリットの明確化のため、顧客やパートナー企業とのワーケーションを開始し、相互理解や関係強化、新たなビジネス検討の場として活用されています。特に2024年度に初開催した「異業種交流型ワーケーション」は企業・自治体・アカデミアから高い評価を得たため、今年度も実施することとなりました。
島根県松江市ワーケーションプログラムの内容
2025年10月、島根県松江市で3泊4日の異業種交流型ワーケーションを開催しました。富士通社員に加え、アサヒグループジャパン株式会社、株式会社イトーキ、カナデビア株式会社、雪印メグミルク株式会社の社員の方々、そして島根県立大学生の皆さんの計23名が参加しました。参加企業とそれぞれの企業を担当している富士通の営業社員、そして島根県立大学生がチームを組み、「松江市の関係人口創出・増加に向けた提案」を行いました。
事前に仮説を立てたうえで、現地では松江城や歴史館で地域特性を学び、松江市役所へのヒアリングやフィールドワークを実施し、地域住民とのディスカッションを通じてリアルな声を収集しました。
最終日には、仮説に対する検証結果を反映した提案を発表し、松江市役所の関係部署や地域住民、島根県立大学の小長谷教授から講評をいただきました。
昨年度からパワーアップしたポイント
①事前学習と仮説検討
昨年度は4日間の内、課題抽出から開始したため、提案検討や資料作成の時間が不足していました。そこで今年度は、事前に松江市の総合計画等のインプットと、各チームで課題と提案の仮説を立ててもらいました。これにより現地では仮説検証に集中し、提案検討の時間を十分に確保することができました。
②チームごとの行程カスタマイズ
全てのチームが同じ行程だった昨年度とは異なり、各チームの仮説内容をもとに、その仮説を現地で検証することができるよう、チームごとに一部の行程をカスタマイズしています。事前に仮説内容やヒアリング項目を共有してもらうことで、各チームの仮説検証に最適なヒアリング先やフィールドワーク先を、自治体と連携して調整しました。これにより、深い議論と質の高い提案が可能になりました。
③提案先とテーマの明確化
提案先を協定締結先の松江市とし、松江市の総合計画達成に貢献するテーマ「松江市の関係人口創出・増加に向けた提案」とすることで、参加者が松江市の抱えている課題を知る機会とするとともに、具体的な課題解決とワーケーションとの関連性を明確にしました。
④チームビルディング・リレーション構築を目指したイベントの実施
初日の懇親会は参加企業と富士通社員、事務局メンバー(富士通側と松江市側)に絞って実施することで、チームビルディングを促進しました。また、地域特性を学ぶ時間や懇親会では、チームの枠を超えた交流を促し、異業種間のリレーション構築を図りました。
⑤営業との連携
営業部門を通じて参加企業を募集することで、顧客との関係構築や新規案件検討の場として営業ニーズに応える取り組みとなりました。
⑥人材育成
人材育成の観点で、富士通の平松取締役執行役員専務CHROとの「キャリアオーナーシップセッション」の時間を設けました。富士通の働き方についてだけではなく、これからの社会で求められている人材像等についてもディスカッションし、富士通社員だけではなく、参加企業や学生の皆さんにとっても有意義な時間となりました。
参加者の声
ワーケーション実施後、参加企業の皆様から以下のようなコメントをいただきました。
個人の成長
- 異業種交流を通して、様々な会社の企業風土、マインド、働き方などを深く知る機会であり、私たちの業務上のノウハウとして大変参考になった。
- 違う分野の人々との連携がとても新鮮で、考え方や捉え方の違いを感じ、周囲を巻き込んだ提案の重要性を感じた。
- 新規事業開発を推進する上で、現場の声の重要性を改めて実感する実りある機会となった。
地方創生
- 松江市の方へ参加企業のケーパビリティを発信できたので、企業の取組をよりアピールすることができた
- 自治体がどういうことを考えているのか、やろうとしているのかを、少しでも知ることができたのは貴重な経験だった。
その他
- 大学生と連携することで、Z世代ならではの発想、観点を学ぶことが出来た。
- ワーケーションというものは休暇がメインになる印象が強いが、業務としてフィールドを変えることでメリットがあるということが理解できた。
- ひとつのテーマに向かってチーム全員で取組むため、チームビルディングにはとても良いと思う。
- お客様とのリレーションが深められ、合間でお客様業務についてヒアリングをすることもできた。
また、松江市様や島根県立大学生、地域住民の皆さまからも以下のようなコメントを頂きました。
松江市
- 企業の方に、松江市の課題や魅力に触れて松江市のことを知っていただき、その中で魅力的な提案もいただき、非常にありがたく思っている。
- 松江市がとても魅力のある街だということを、市外の方から言っていただけたことは、地元の人間としても嬉しく思う。
- 今回のワーケーションを機会に、また何回も松江市には足を運んでいただいたり、いろんな面で関わっていただけたら嬉しいなと思う。
島根県立大学生
- 普段社会人の方と触れ合う機会がなかなか大学では設けられていないので、すごくいい経験になった。
- 松江市にずっと住んでいるが、今回のワーケーションを通して知らない松江市が出てきて、新たな視点で松江市を見ることができたと思う。
- 大学の学びでは学べないリアルな仕事の現場というのを学ぶことができて、とても学びの多い4日間だった。
地域の方
- 参加者が地域の生産者に熱心に課題感を聞かれていたりどういう取り組みをされているのかということを聞こうとされていたところが非常に印象に残った。
- 発表会では、詳しくヒアリングをされたことを踏まえて、一流のプロの視点を持って、即具体的に、かつ効果的なご意見・ご提案いただけた。
- これから地域と関わる上で、今回の提案内容を踏まえてより良い地域の活動をしていきたいと感じた。
- 自分たちは普通だと思っていることが外から見ると良いことに見えるということがわかった。
あわせて、平松取締役執行役員専務CHROからもコメントをもらっています。
平松取締役執行役員専務CHRO
異業種交流型ワーケーションの取り組みは本当に素晴らしい機会だと考えている。非日常の環境の中で参加者がリラックスもしくは刺激を得て、様々な発想や成長につながるような良いシチュエーションだと思うし、社会や地域の課題というのは、やはり現地に行ってその現地の方たちと話すことによって様々な気づきが得られるものだと、いうことに参加者に気づいてほしい。会社・組織・肩書きを超えてコラボレーションする良い機会なので、参加者の成長の場になると考えている。
松江市の方々には、本当に温かく迎えていただき感謝をしている。参加したメンバーからの様々な提案をさせていただいたが、これに終わらず、継続的にコミュニケーションをとっていきたい。また、今回の提案から新たなコラボレーションに発展できることを期待している。
ワーケーションの目指す先
異業種交流型ワーケーションの第2回となった今回も、「新規ビジネスの創出、自治体や顧客とのリレーション強化」の目的を十二分に達成できたと感じています。特に新規ビジネスの創出という点においては、早速、松江市さまから提案資料の共有依頼があったり、地域の方々からも、具体的に検討してみるという声をいただきました。
事後フォローを実施し、継続的なつながりを推進していきます。
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この記事を書いたのは
富士通株式会社 総務本部 ワークスタイル戦略室
私たちは、「距離をゼロに、つながりを無限大に」をゴールに定め、社員の生産性やWell-beingの向上につながるような働き方の改革を進めています。
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