PRESS RELEASE
大規模言語モデル「Takane」を活用し、ソフトウェアの要件定義から設計、実装、結合テストに渡る全工程をAIエージェントが協調し実行するAIドリブン開発基盤を開発し、運用開始
2026年度中に法改正に伴う医療・行政分野全67の業種ソフトウェアの改修に適用
2026年2月17日
富士通株式会社
当社は、システム開発の在り方をAIドリブンへと変革し、お客様および社会の持続可能な発展に貢献するため、ソフトウェアの要件定義から設計、実装、結合テストに渡る全工程をAIで自動化する開発基盤(以下、AIドリブン開発基盤)としてAI-Driven Software Development Platformを開発しました。本AIドリブン開発基盤は、大規模言語モデル「Takane」(注1)と富士通研究所が開発した大規模システム開発向けAIエージェント技術(注2)を活用することで、企業や公共団体が所有する変化し続ける複雑な大規模システムをAIエージェントが理解し、ソフトウェア開発の各工程を複数のAIエージェントが協調して実行、人が介することなく全工程の自動化を実現します。
当社は、富士通Japan株式会社(注3)が提供する全67の医療および行政分野の業務ソフトウェアの法改正に伴う改修に2026年度中(当社の決算期は3月末日)に本AIドリブン開発基盤の適用を目指し、2026年1月より2026年診療報酬改定(注4)に伴うソフトウェアの改修に適用を開始しました。なお、2024年度の法改正に伴うソフトウェアの改修に本AIドリブン開発基盤を適用した実証実験において、約300件の変更案件の内1案件について、従来のソフトウェア開発手法(注5)で3人月要していた改修期間が4時間に大幅に短縮でき、生産性を100倍に向上できる効果を確認しています。
当社は、本AIドリブン開発基盤を活用することで、法改正や制度改定に伴うソフトウェア改修スピードを劇的に向上し、改修におけるシステム確認に要していた負荷が大幅に軽減され、ひいては患者や住民、顧客サービスの向上につながる施策やサービスの企画や開発の時間を創出し、変化し続ける業務や社会に持続的に対応可能になります。また、拡大するIT需要への対応や深刻化するIT人材不足の解消などの社会課題解決に貢献します。
さらに当社は、AIドリブン開発においてAIが既存システムを正しく理解し高信頼な自動化を実現するため、資産や知識を整える工程となるAI-Ready Engineeringを要と位置づけ、AI-Driven Software Development Platformとの両輪で、AIドリブンなシステム開発を加速していきます。加えて、当社はエンジニアの働き方の変革を推進するとともに、AIやデータを活用しお客様の現場で高度な技術を用いて複雑な経営課題や事業課題をデータドリブンで解決するFDE(Forward Deployed Engineer)を強化することで、従来の人月ベースから顧客提供価値ベースへとシステム開発のあり方を変革していきます。
当社は今後、2026年度中にAI-Driven Software Development Platformの適用範囲を金融や製造、流通、公共などの幅広い分野へと拡大するとともに、お客様自身がビジネス環境の変化に対応したシステムを迅速かつ柔軟に開発できる環境や体制を実現するため、お客様やパートナー企業向けにもサービス提供を開始していきます。当社は、これにより、システム開発の在り方をAIドリブンへと変革し、業界のスタンダードを目指します。
団体および企業からのエンドースコメントについて(五十音順)
IDCでは2026年以降の国内IT市場変革のトピックとして、AIエージェントのビジネス活用と既存システムのモダナイゼーションの進行が加速すると予測しています。今回の富士通の発表は、複雑な既存システム資産をAIが正しく理解・加工できる状態へ再定義し、ウォーターフォール型開発プロセスの全体を自動化しようとするものであり、多くの国内企業が直面するレガシー資産の維持・保守に対する現実的なパスの一つとなり、ソフトウェアエンジニアリングの労働集約型からの転換を促す取り組みであると考えられます。
IDC Japan株式会社 AI and Automation シニアリサーチディレクター 眞鍋 敬 様
この度の、AIを活用して上流から下流までを自動化し、さらに検証工程までAIに担わせるという構想に大変感銘を受けました。従来、最終的には人のチェックが不可欠とされてきた前提を覆すものであり、特に毎年複雑な制度変更が発生する業務パッケージを対象とされている点に、大きな可能性を感じております。当社も長年、業務パッケージ改修に携わってまいりましたが、制度改定対応をいかに短期間で高品質に仕上げるかは常に大きな課題でした。その過程で蓄積してきた知見やノウハウは、本構想の実現および高度化においても十分に貢献できるものと考えております。当社としては、本件に限らず、今後も継続的な協力関係を通じて、富士通様および富士通Japan様のビジネス拡大に貢献してまいります。
株式会社オプティマ 取締役・社長執行役員 梶谷 伸二 様
富士通様が推進されているAIによるアプリ自動化の取り組みは、単なる開発効率化にとどまらず、企業が長年培ってきた業務知識や設計思想を、次世代へと継承・進化させていくための重要な挑戦であると受け止めています。特に、法令やルールの変化を起点に、要件定義から設計・実装・品質確保までをワンストップで支援するという発想は、これまで人の経験と暗黙知に依存してきた領域に、新たな可能性を切り拓くものです。AIが人に代わるのではなく、人の判断や創造性を支える基盤として機能する点に、大きな意義を感じています。製造業においても、設計変更や規制対応、影響範囲の把握といった課題は年々複雑化しています。こうした分野において、知識の標準化とAI活用を両輪で進める富士通様のアプローチは、今後の産業全体の生産性と競争力を高めるうえで、示唆に富むものです。川崎重工業としても、本取り組みが日本のものづくり、そして幅広い産業の変革を後押しする重要な一歩となることを期待するとともに、今後のさらなる発展を心より応援しています。
川崎重工業株式会社 代表取締役 副社長執行役員 中谷 浩 様
長年の運用により複雑化したシステムは、これまで保守に多大な工数を要してまいりました。生成AIの導入によって調査の効率化は進んだものの、精度の面では実務における信頼性が十分とは言えない状況にあります。そのような中で、曖昧さや抜け漏れを自動で修正するMulti-layer Quality Controlには、非常に大きな期待を寄せております。AI自ら品質を監査し、自律的に工程をやり直す仕組みは、システム開発の信頼性を劇的に高めるものと確信しており、今後の展開を心待ちにしております。
キユーピーデジタルイノベーション株式会社 代表取締役社長 松田 康 様
既存システムの改修にかかる負荷は、長年エンジニアを悩ませてきた大きな壁です。複雑な法令理解や膨大な過去資産の解析、現場の暗黙知の把握といった、これまでの気の遠くなるような労力を、このマルチAIエージェントが劇的に変えてくれるのではないでしょうか。特筆すべきは、AIが自律的に人間知を学習し、要件定義の精度を飛躍的に高める点にあります。さらに、プログラム構造の分析から標準化、そして膨大な工数を要するテスト工程までを、圧倒的なスピードと網羅性で完遂します。これにより、短期間で高品質なプロダクトを仕上げるという、従来では困難だった両立が可能になります。AIの役割が拡大し、人が定型作業から解放されることで、エンジニアはより創造的な活動へ注力できます。このマルチAIエージェントがもたらすシステム改修のパラダイムシフトに、大いに期待しています。
近鉄情報システム株式会社 常務取締役 有司 順一 様
エンタープライズシステムの開発において、要件定義からテストまでをワンストップで完全自動化するこの取り組みは、業界に革新をもたらす画期的なものです。特に、長年蓄積されたプログラムや設計書といった膨大な資産をAIに正確に理解させるプロセスにおいて、実用レベルの品質と圧倒的な生産性を実現されたことを大変喜ばしく思います。本プラットフォームが新たな開発のスタンダードとなり、お客様のデジタルトランスフォーメーションを加速させることを確信しています。今後も富士通様と、AIによる社会課題の解決に取り組んでまいります。
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 上級執行役員 パートナー事業本部 上野 由美 様
富士通様のAIを駆使した開発の仕組みは、システム開発の未来像になりうると思います。既存のコードや設計情報を単にAIに入力するだけで実現できるものではなく、ドキュメントのmarkdown化やテスト環境整備などの諸々のハードルはあるものの、それをクリアすることで従来のシステム開発の課題解決(QCDなど)に繋がるものと考えます。当方が注目したのは、開発工程の改善よりも生成AIが詳細な仕様とコード(ロジック)を取り込んだその先であり、従来ドキュメントに記載がないベテランSEの頭の中にある暗黙の情報の可視化とノウハウ伝承という最大の難問の解決策として大いに期待できると考えます。生成AIが経験の浅いSEの相談役となり、いつでも機嫌よく質問に答えることで次の世代へのノウハウ伝承が飛躍的に進むことに期待します。一方、この仕組みは従来のSIビジネス形態を劇的に変える可能性もあり、今後の動向に注目しています。
株式会社さくらケーシーエス 常務執行役員 情報システム管理本部長 CISO 新見 昌弘 様
今回のアプリ開発保守の完全自動化に向けた取り組みは、長年、担当者個々の暗黙知や経験に依存していた工程が、AIにより形式知化され、再現性の高いプロセスとして確立され、当社にとっても非常に価値のある変革だと受け止めており、大変大きな期待を感じています。特に、レガシーシステム保守に伴う品質のばらつきや、変更対応の遅延による機会損失といった課題が、AIにより大幅に改善される可能性があり、さらに、AIが原因分析や必要な追加情報の特定まで行えるようになりつつあることは、システム運用の高度化や効率化に向けた大きな一歩であり、システム開発の在り方そのものを変えるポテンシャルがあります。また、富士通様が自社だけではなく、業界全体の生産性向上と新しい開発標準の確立を目指す姿勢にも深く共感し、多くの企業が抱える共通課題に対し大きな希望をもたらすため、引き続き、業界全体を前進させる取り組みとしての強力な推進に期待しております。
株式会社静岡新聞社 静岡放送株式会社 執行役員 グループ企業 兼 経理財務担当 風間 隆男 様
富士通様のAI-Driven Software Development Platformは、診療報酬の複雑化と請求作業負荷の増大という、私たち医療機関が長年抱えてきた課題に対し、実務に即した確かなアプローチがなされていると感じました。特に、法令文書の理解や影響範囲の抽出をAIが行いながらも、解釈が分かれうる箇所を明示して人の判断を補完する仕組みは、現場運用を理解した上で設計されている点で大いに評価できます。また、日本語に特化したLLMと安全性への配慮は、医療分野でのAI活用に不可欠な要素です。診療報酬請求だけでなく、病床管理や実績要件の把握など、周辺領域との連動も期待でき、将来的に病院全体の業務効率化に寄与するポテンシャルを強く感じました。医療現場の負担軽減に向け、導入を前向きに検討すべき有望な取り組みだと考えます。
島根県立中央病院 様
富士通様が取り組むAI-Driven Software Development Platformは、ソフトウェア開発プロセスそのものを抜本的に変革する可能性を秘めた取り組みであると期待しています。要件定義から設計、コーディング、テストに至るまでをワンストップで自動実行できる世界が実現すれば、開発スピードの飛躍的な向上と高い品質の両立が可能になります。当社は2024年より、富士通様と本領域において一部で取り組みを進めてきました。これらの取り組みを通じて、近い将来、開発プロセス全体が一気通貫で自動化されると確信しています。この変革が実現することで、当社がお客様に提供できるサービスの可能性は大きく広がります。日々構想している“このようなサービスがあれば”というアイデアを短期間で形にし、よりスピーディにお客様へ提供することが可能になります。こうした新しい価値創出の世界が、一日も早く到来することを期待しています。
住信SBIネット銀行株式会社 常務執行役員 システム本部長 相川 真一 様
今回の発表は、日本のシステム開発のあり方を大きく前進させるものだと強く感じています。当社のビジョンとも共通する点が多く、業界全体の未来を切り拓く重要な取り組みです。共にこの潮流を後押ししながら、より良いエコシステムの実現に取り組んでいきたいと思います。
日本アイ・ビー・エム株式会社 取締役副社長執行役員 村田 将輝 様
当社は、富士通様によるAI-Driven Software Development Platformの発表を、AI時代におけるシステム開発の新たな在り方を切り拓く取り組みとして心より歓迎いたします。複数のAIエージェントを協調させ、要件定義から改修までのプロセスをワンストップで自動化するとともに、人間による品質保証を組み合わせた点は、人とAIが真に協働する新しいエンジニアリングモデルを具現化するものです。これは、日本のシステム開発が直面する深刻な人材不足や高度化・複雑化といった課題に真正面から挑む、極めて意義深いものと捉えております。この挑戦が日本のシステム開発ビジネスの進化を牽引し、世界に通用する変革モデルへと発展することを大いに期待しています。当社は富士通様と協調し両社の強みを掛け合わせながら、お客様のフロンティア組織への変革を、これからも力強く支援してまいります。
日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 グローバル通信 IT サービス事業本部長 佐藤 亮太 様
(Microsoftは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です)
今回発表されたAIドリブンによるシステム開発の完全自動化は、生産性向上にとどまらず、企業向けITの在り方そのものを変革する挑戦だと思います。頻繁に更新される法令の適切な理解や暗黙知を含む複雑な業務知識をAIが理解し、要件定義から改修までをワンストップで自律実行するアプローチは、日本企業が抱えるレガシーの本質的な課題に対する有効な解になり得ます。ぜひこれから一緒に実践を通じて技術を磨き上げ、それぞれの現場知見を取り込みながら共創を進めることで、新たなシステム開発のスタンダードとして弊社内のみならず広く社会に展開されることを期待いたします。
パナソニックホールディングス株式会社 執行役員 グループCTO 小川 立夫 様
マルチAIエージェントによるウォーターフォール型システム開発の全自動化について、今回プレスリリースの運びとなられましたこと、心よりお慶び申し上げます。本取り組みにおける、法規文書の理解に代表される高度な日本語処理能力の多様なタスクへの応用、品質監査機能による各工程の確実な遂行、さらにこれらがスクラッチ開発へと適用拡大されることによって、システム開発に新たな変革がもたらされるものと期待しております。また、AI-Ready Engineering によって有識者のノウハウやドメイン知識を形式知として表出化し、AIが活用可能な資産としていく取り組みは、減少する熟練者の知見継承に大いに寄与するものと存じます。知見を継承したAIと現場の人々が共創することで、新たな価値が創出され、システム開発業界ひいては産業全体の革新を支える礎となることを心より期待申し上げます。
大手製造業IT子会社役員
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
注釈
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注1 大規模言語モデル「Takane」:
当社がCohere Inc.と共同開発した大規模言語モデル。
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注2 大規模システム開発向けAIエージェント技術:
以下の3つの技術から成る。
・法令文書を網羅的に理解した上で、法令の変更内容を分析し、設計書やソースコードと突合し改修要件および改修箇所を特定する法令理解技術。
・ノウハウや開発ルールを理解し、それらを踏まえ客観的に品質検証を並行して行う自律設計・監査技術。
・AIによるテストシナリオ探索を行うことで、要件への適合性を確認する網羅的な組み合せテスト仕様とテストコードを生成する結合テスト生成技術。 -
注3 富士通Japan株式会社:
所在地:神奈川県川崎市、代表取締役社長:長堀 泉
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注4 診療報酬改定:
医療にかかる公的な料金を見直し、診療行為への費用配分を調整する国の制度。
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注5 従来のソフトウェア開発手法:
ソフトウェアの要件定義から設計、実装、結合テストまで、工程ごとに品質を確認したうえで進める開発手法。
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