DX(デジタルトランスフォーメーション)とは:用語解説
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデータと先進的なデジタル技術を活用して、ビジネスに関わるすべての事象を根本から「変革」し、新たな価値を創造することで競争上の優位性を確立することを目指す、経営上の一連の取り組みを意味します。
DXの概念は、2004年にエリック・ストルターマン教授が提唱した「ITの浸透が人々の生活をより良い方向に変化させる」という考え方が起源です。当初は学術的な概念でしたが、AIやIoT、クラウドといった技術の進展に伴い、ビジネスに不可欠な戦略として認識されるようになりました。市場のグローバル化や消費者ニーズの多様化など、将来予測が困難な現代において、企業が持続的に成長するには、DXを通じて変化を的確に捉え、自らを刷新し続けることが不可欠です。
DXとデジタル化・IT化の違い
ビジネスシーンにおいて「DX」という言葉が頻繁に使われるようになりましたが、類似した言葉である「デジタル化」や「IT化」としばしば混同されがちです。自社の課題解決や将来の成長戦略を考える上で、これらの意味を正しく理解することが重要です。
●DX:ビジネスモデルや組織全体の「変革」
IT化やデジタル化を手段として、製品・サービスだけでなく、ビジネスモデル、組織、企業文化そのものを根本から組み替える、より広範で戦略的な概念です。激しい市場の変化に対応し、持続的に成長できる企業へ生まれ変わることを目的とします。
[具体例]自動車メーカーが「移動」サービスを提供するMaaS企業へ転身する、データドリブンな意思決定を行う企業文化を醸成する
●デジタル化:業務を高度化し、新たな価値創出の「糸口」を発見する
IT化で蓄積されたデータを活用し、データの見える化、特定の業務プロセスを自動化する取り組みです。これら業務高度化の目的は単なる効率化に留まらず、データ分析から新たなビジネス機会を発見するなど、価値創出の「糸口」を見つける点にあります。
[具体例]POSデータ分析による商品開発、センサーデータによる工場の故障予知、AIチャットボットによる高品質な顧客サポート
デジタル化は、IT化を土台としてビジネスの可能性を広げる活動であり、全社的な変革であるDXへの重要なステップです。
●IT化:アナログからデジタルへの「置き換え」
手作業(アナログ)で行っていた業務プロセスを、情報技術(IT)を使って効率化・省力化することです。主な目的は、コスト削減や生産性の向上にあります。
[具体例]書類の電子化(ペーパーレス化)、Web会議への切り替え、会計ソフトの導入
IT化は、業務の手段をデジタルに置き換える、いわばデジタル活用の第一歩と言えます。
これらは、それぞれ独立したものではなく、「IT化 → デジタル化 → DX」と段階的に発展していく関係にあります。この関係性の違いを理解することは、自社が今どの段階にあり、次に何を目指すべきかを明確にするための第一歩となります。
なぜDXが重要なのか?
目まぐるしく変化するビジネス環境で企業が競争優位性を確立し、持続的に成長を遂げるために、DXによるビジネス全体の再構築は、今や不可欠な経営戦略となっています。
●顕在化する「2025年の崖」という経営課題
DXの重要性を語る上で欠かせないのが、経済産業省が2018年の『DXレポート』で警鐘を鳴らした「2025年の崖」です。これは、多くの企業で長年にわたり利用されてきた基幹システムが、老朽化・複雑化・ブラックボックス化(レガシーシステム化)することで、維持管理費の増大、データ活用の阻害といった経営リスクが顕在化する問題を指します。この問題を克服できない場合、2025年以降、日本全体で最大年間12兆円の経済損失が生じうると試算されており、企業の持続的成長を阻む根本的な課題として、今なお多くの企業が直面しています。
●守りから「価値創造」の攻めへ
DXはリスク回避のためだけの「守り」の戦略ではありません。その本質は、ビジネスを大きく成長させる「攻め」の戦略にあります。DXの真の目的は、データとデジタル技術を駆使して、顧客や社会のニーズを基点に、これまでにない製品・サービスやビジネスモデルを創出することです。業務効率化に留まらず、組織や企業文化そのものを進化させ、変化に迅速かつ柔軟に対応できる経営基盤を築くことで、新たな価値を生み出し、競争優位性を確立します。
DXとモダナイゼーションの関係性
DX推進の大きな障壁となるのが、長年利用されてきた「レガシーシステム」の存在です。複雑化・ブラックボックス化したレガシーシステムは、データの分断(サイロ化)、ビジネススピードへの対応遅延、高額な維持コスト、最新技術との連携困難といった問題を引き起こし、DXの足かせとなります。
●DXの土台となる「モダナイゼーション」
こうした問題を解消し、DXを本格的に推進するための重要な取り組みが「モダナイゼーション」です。単なるシステム刷新(リプレース)ではなく、クラウド移行やアーキテクチャ刷新などを通じて、将来の変化に柔軟に対応できる俊敏なシステム基盤へと刷新することを指します。
●DXとモダナイゼーションは「目的」と「手段」の関係
DXが「ビジネスモデルや組織文化を変革し、競争優位性を確立する」という「目的」であるのに対し、モダナイゼーションは、その目的を達成するための「重要な手段であり土台作り」と位置付けられます。レガシーシステムから脱却し、データを最大限活用できる柔軟なシステム基盤を築いてはじめて、企業はDXという変革のスタートラインに立てるのです。ただし、モダナイゼーション自体が目的化しないよう、常に「DXによってどのようなビジネス価値を創出するのか」という視点を持ち、経営戦略と連動させながらシステム刷新の計画を進めることが成功の鍵です。
DXの進め方:企業が成功するためのステップ
DXは、経済産業省の定義にもある通り、単なるツール導入ではなく、企業文化の刷新を伴う継続的な取り組みです。成功に導くための主要なステップを解説します。
ステップ1:戦略策定と推進基盤の構築
「DXで何を成し遂げるか」という明確なビジョンを経営戦略に据え、経営層が強いコミットメントを示します。同時に、既存業務やシステムを分析して課題を可視化し、DXを牽引する部門横断の推進チームを組織。必要な人材の育成・採用計画を立てるなど、全社で取り組む強固な土台を築きます。
ステップ2:アジャイルな実践と組織文化への定着
大規模改革ではなく、特定領域で小さく始める「スモールスタート」で成功体験を積み重ねます。計画・実行・評価・改善のサイクルを短期間で回す「アジャイル」なアプローチで柔軟に軌道修正することが成功の鍵です。この成功モデルを全社へ展開し、データに基づく改善を繰り返すことで、変化に対応し続ける企業文化を醸成します。
ステップ3:外部連携による価値共創とエコシステムの形成
社内リソースに固執せず、スタートアップや大学、同業他社など、外部の知見や技術を積極的に取り入れます。同じ価値観を持つパートナーと連携し、互いの強みを活かして新たな価値を共創する「エコシステム」を構築。これにより、一社単独では解決できない複雑な課題に立ち向かい、持続的な競争優位性を確立します。
富士通が取り組むDXとは
富士通は、AIをはじめとする最先端テクノロジーを駆使し、自らを「IT企業」から、お客様の事業変革を支援し社会課題の解決に貢献する「DX企業」へと変革させる挑戦を続けています。自社の経営、業務、文化そのものを大きく変えていく中で得た知見(実践知)を、お客様への価値創造につなげることが、富士通のDXです。
●全社DXプロジェクト「フジトラ」による社内改革の実践
2020年に始動した全社DXプロジェクト「フジトラ(Fujitsu Transformation)」は、経営基盤、事業モデル、社内改革プロセス、社員のマインドセットまで、会社を構成するあらゆる要素をアップデートする壮大な変革プロジェクトです。一貫したデータ基盤の整備を進め、そこに蓄積される膨大なデータをAIによって分析・活用することで、より的確な経営判断や業務の自動化・高度化を実現するなど、150以上のテーマを推進し、お客様の成長を強力に支援できる企業体質への転換を図っています。
●価値創造の源泉となる「人材」の再定義と育成
DX推進の鍵は「人材」です。富士通はDX人材を「自ら問いを立て、問いを解くソリューションを提供し、新しい価値の創出を目指す人材」と再定義しました。お客様との対話を通じて潜在的な課題を探り、共に未来を構想・実行する能力が不可欠です。
そのために、DXやデジタルビジネスを主導する「プロデュース」、企画・立案する「デザイン」、システムを実装する「ディベロップメント」、AIなどの先進技術を駆使してデータから新たなインサイトを抽出し、価値を見出す「データサイエンティスト」といった役割を明確化。全社員がDXリテラシーを身につける「DXサポーター」となることも含め、人材育成に全社を挙げて取り組んでいます。
●お客様や社会と共に、サステナブルな世界を実現する
富士通のDXは自社の変革に留まらず、「フジトラ」で培った経験や知見そしてAIの活用ノウハウをお客様のDXを加速するサービスとして提供しています。この変革実践を力に、お客様のビジネス成長、さらには社会課題の解決とサステナブルな世界の実現に貢献していきます。
よくある質問
Q1.DXとは簡単に言うと何ですか?
A1.DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を活用して、業務や組織、ビジネスモデルそのものを変革する取り組みです。単なるIT化や業務効率化にとどまらず、変化の激しい環境に対応しながら、企業の競争力や成長のあり方を変えていくことがDXの本質です。
Q2.DXの身近な例は?
A2.キャッシュレス決済の普及は、DXの身近な例の一つです。
デジタル技術を活用することで、これまで現金や対面で行っていた支払いがスムーズになり、利便性や体験価値が向上しています。富士通も、こうした社会や企業の変化を支えるDXの取り組みを支援しています。
Q3.富士通はどのようにDXを支援していますか?
A3.富士通は、自社DXの実践で得た知見や、AIやデータ、クラウドなどの技術を活用し、お客様の業務やビジネスモデルの変革を伴走型で支援しています。