AIに信頼を組み込むための新たな視点:Trust in AI 安全・公正

黒い背景に青、紫、オレンジ色の光る点と線で構成された抽象的な模様。

AI技術の普及に伴い、脆弱性、サイバー脅威、倫理面でのリスクへの備えが強く求められます。「安全・公正」であることは、企業が社会からの信頼を得て持続的に成長するための重要な要素となります。

船の舳先から見た広がる海と地平線に輝く夕焼け。

特集コンテンツ:過去から学ぶ、歴史の旅へ

歴史の転換点にあった出来事は、いまの経営に同じ問いを投げかけます。
地動説、ルネサンス、タイタニック、シルクロード、大航海時代
過去の物語を手がかりに、AI時代の「信頼」を読み解くシリーズです。

AIがチームのように協力して業務を進める技術「マルチAIエージェント技術」

信頼を支える技術

マルチAIエージェント技術は、複数のAIエージェントがチームのように業務を遂行し、日々の実行結果や人によるフィードバック、制度改定や仕様変更といった変化を踏まえて、継続的かつ安全に自律学習する技術です。各AIエージェントは、業務を進めながら成功・失敗の理由を整理し、次に活かすべき知識や行動のコツを抽出します。そのうえで、品質や安全性を検証し、有効なものだけを学習します。

ビジネスにおける価値

この技術が企業にもたらす価値は、AIを業務に適用する際に必要だった専門家による継続的な調整を減らし、業務運用の中でAIが自律的に進化し続ける仕組みを構築できる点です。 結果として、企業はAI専門人材に大きく依存することなく、自社業務に合ったAIを短期間で構築し、継続的に改善できるようになります。

活用イメージ

【膨大な情報の「見つけきれない」を解決】
電子カルテを含む業務システムでは、法改正や制度変更のたびに影響範囲を調べる必要があります。しかし、どの文書や仕様を確認すべきかの判断は難しく、熟練者の経験に頼るのが一般的でした。この作業にマルチAIエージェントを適用することで、AIが過去の検索結果や人の修正内容を学習し、関連する文書まで含めて探し出せるようになります。これにより、従来は人が試行錯誤して作り込んでいた調査の仕組みを代替し、手間を抑えながら漏れの少ない影響調査を可能にします。

AIで守り、AIも守るセキュリティ技術「AIセキュリティ技術」

信頼を支える技術

AIセキュリティ技術は、脆弱性や新たな脅威へ対応する技術です。たとえば、攻撃・防御・検証といった役割を持つ複数のAIが協働することで、システムに潜む脆弱性の検出、想定される攻撃パターンの分析、対策の有効性検証までを一貫して支援し、従来は人手に依存していたセキュリティ対策の自動化・高度化を実現します。加えて、生成AIの普及に伴い増加している「プロンプトインジェクション(不正な指示によるAIの誤動作)」のような新しい脅威にも対応できます。

ビジネスにおける価値

この技術が企業にもたらす価値は、セキュリティ対応コストを抑えながら、従来の対策プロセスでは難しかった脆弱性やサイバー攻撃に対して、迅速な対応を実現できる点です。加えて、非専門家でもプロアクティブな防御を実現できるため、セキュリティ運用の負担を軽減しつつ、安心・安全なAI・システム運用を支援します。

AIを安全・公正に使うための技術「AI倫理・公平性技術」

信頼を支える技術

AI倫理・公平性技術は、公平で信頼できるAI社会の実現を目指し、AIの公平性を確保する技術です。AIは統計的に確率の高い判断を下す特性があるため、過去のデータに含まれるバイアス(偏見)によって不公平な判断を下す可能性があります。公平性の測り方や改善方法にはさまざま考え方があり、扱うには専門性が求められます。本技術を用いることで、AI倫理の非専門家でも公平性の検証や改善を進めやすくなります。

ビジネスにおける価値

この技術が企業に与える価値は、AIを安心して社会やビジネスに組み込める状態をつくれる点です。AIは高性能であるだけでは十分ではなく、偏りや不透明さがあれば、顧客や社会からの信頼を損なう可能性があります。AI倫理・公平性技術を取り入れることで、企業は法令順守だけでは防ぎきれないリスクにも目を向けながら、より信頼性の高いAI活用を進めることができます。特に、金融、公共、医療など、公正性や説明責任が重視される領域では大きな価値を持ちます。

活用イメージ

【ローン審査におけるバイアス軽減】
ローン審査では、文化や評価基準の違いによって、地域ごとに判断結果が異なるなど、不公平性が生じる課題があります。これに対して、AI倫理・公平性技術を用いることで、各地域の基準を反映したAIモデルを構築し、バイアスを軽減することができます。これにより、判断の精度を維持しながら、不公平性の改善が可能になります。

富士通のAI倫理ガバナンスへの取り組み

AIの社会実装が刻々と進展するに伴って、AIの安心安全な利活用のために、AI倫理の観点を踏まえて組織が自己規律を行うこと、すなわち「AI倫理ガバナンス」が強く求められる時代になっています。富士通グループは、国内でも早い段階から「AI倫理ガバナンス」に取り組み、さまざまな活動を推進しています。
 
富士通グループAIコミットメント:富士通グループのパーパスをAIの観点から具体化し、私たちが守るべき項目をお客様や社会に対する約束としてまとめたものです。

富士通グループAI倫理外部委員会:AIのみならず、法学、生命医学、動物学、SDGs、消費者行政など多様性に配慮した様々な分野の専門家から構成される委員会を富士通グループでは設置しており、国内外の社会情勢を踏まえ、AI倫理に関するさまざまな議題について、社長・副社長含めての議論を行い、その成果を取締役会に共有しています。