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企業には、災害や気候変動、地政学リスクなど、予測困難な有事に備えるサプライチェーンが求められます。富士通が Fujitsu Uvanceソリューションとして開発した「Supply Chain Risk Visualization」サービスは、サプライチェーンのリスクを可視化し、サプライヤーの生産拠点や調達品といった情報を一元管理。災害が発生した際の迅速な初動を可能にします。
また、地図には生産拠点の地理情報と、地震や浸水のリスク情報とを重ねて表示し、潜在リスクを明らかにします。
富士通は調達のノウハウが詰まったこのサービスを、2025年1月から社内導入し、レジリエンスを強化しています。
課題
解決
効果
"海外を含む有事の情報を早く入手できます。また地図に視覚化されることで、調達している部品の影響調査や状況把握ができるスピードが違います"
富士通株式会社 ネットワークプロダクトSCM統括部
シニアディレクター
田中 誠二 氏
災害が多い日本では地震や水害によるサプライチェーン途絶への備えは必須です。近年は大雨が増え、国土交通省によると2019年の水害による被害額は、国の統計開始以来最大となりました。さらに新型コロナの流行では、工場や物流網のロックダウンが相次ぎました。
「ロックダウンでサプライチェーンが止まった時に痛感したのは、ネットワーク装置を構成する個々の部品が、どの地域のサプライヤー工場で生産されているのか、実は把握しきれていなかったことです」富士通の田中誠二シニアディレクターは、ネットワーク製品のサプライチェーンマネジメントを担当しています。
富士通のプロダクトサプライチェーンには、約300のサプライヤーが連なり、それぞれのサプライヤーの下にさらに二次、三次サプライヤーが存在します。
田中は、サプライヤーの部品や原料の仕入れ先がロックダウンすれば、部品は富士通に入ってこなくなると述べます。
「つまり、供給網の全体を把握していないと、影響や納期をお客様に説明できるのが、場合によっては1か月や2か月後になります。お客様の事業活動に影響を与えてしまうのです」(田中)
教訓を活かし初動時間を短縮しようと、田中は調達部品の生産拠点を図番ごとに一元管理するポータルシステム「Resilient Supply Chain」(RSC)を2022年に立ち上げました。
それまでは災害が発生する度に、被災地域の工場に当社が調達する部品があるか、サプライヤーに確認するため時間がかかっていました。しかし、システムを立ち上げた後は、該当する部品が被災した工場にあるかすぐにわかるようになったため、初動調査のスピードが向上しました。
「影響を受けた工場に我々が調達する部品はあるか。あればその部品への影響の程度などを、部品ベースで調査できるようにしました。調査対象を絞り込めたことにより、私たちだけでなくサプライヤー側の調査スピードも上がりました」(田中)
RSCシステムに代わり、2025年1月から新たに導入されたのが、富士通が開発した「Fujitsu Supply Chain Risk Visualization」サービス(以下、SCRV)です。
SCRVはサプライヤ―の生産拠点、生産品目といった情報を一元管理します。また、地図画面には、生産拠点と重ねて浸水リスクや土砂崩れなどの危険情報、気象警報などを一緒に表示して、有事発生時の影響調査を加速します。
「地図でわかるのは大きいです…」
(詳しいサービスの内容について、PDF資料をダウンロードください)