“勝者の常識”を再設計せよ
―富士通のAIスペースが定義する新・競争原理―
Insight | 2026年3月19日
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広大な海洋を泳ぐ数万匹のマイワシの群れ。一瞬の澱みもなく隊列を組み、捕食者の脅威をかわす。その行動原理の連鎖は、個の知能の総和をはるかに凌駕する「集合知」として機能している――。
生物の生存本能はときに、現代ビジネスに深い示唆を与えてくれます。サプライヤーの停滞、市場の変調、ルールや規制の変更といったビジネスの根幹に関わる重要な「変化の兆し」を捉えられなければ、予見可能性を高めることも、生き残るための勝ち筋を読み解くことも難しくなるでしょう。まるで、群れから孤立したマイワシが危険に気づかないまま、捕食者に飲み込まれるかのように。
情報の分断と知能のサイロ化は予測不能なリスクを高め、大きな機会損失を生み出してきました。既存のデジタルトランスフォーメーション(DX)やAI活用による「部分最適」には限界が見えています。不確実性の時代において、目の前の効率化に固執するばかりではいずれ、ビジネスは行き詰まるでしょう。持続的な成長を実現するには、当たり前とされてきた前提を見直し、常識そのものを再設計する必要があります。
不確実性の時代の競争を生き抜くカギとなるのが「AIスペース」です。AIスペースとは、企業・組織の垣根を越え、「信頼のデジタル基盤」上で複数のAIが自律的に学習し、データを連携して協調する、動的な価値創造空間です。富士通は「マルチAIエージェント連携技術」を通じ、AIが自律的に判断し、協調した行動を通じて価値を生み出す「行動のルール」を企業に提供します。そして、「先端トラスト技術」によって安全で信頼性の高いデータの「取引のルール」を保証します。2つの技術は、「マイワシの持つ集合知」のように企業や組織の垣根を超え、デジタルな知能が自律的に連携・協調する効果を参加者にもたらします。それは社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にする強力なエンジンとなるのです。
松塚 貴英
Takahide Matsutsuka
富士通株式会社
富士通研究所
シニアリサーチディレクター
富士通研究所においてデータスペース分野の先端技術開発をリードし、国際・業界横断型のデータおよびAI連携技術に取り組む。国内外の業界団体での活動および発信を通じ、高信頼な分散型AI技術の社会実装とエコシステム形成を推進。北陸先端科学技術大学院大学 客員教授。博士(工学)。
鈴木 大祐
Daisuke Suzuki
富士通株式会社 グローバルマーケティング本部
マーケティング戦略統括部 コーポーレートインサイト部
部長
日本経済新聞社、PwC Japanを経て2024年3月に富士通入社。日本経済新聞では記者、デスクとして約18年間、財務省、金融庁、経済産業省など中央省庁の政策取材のほか、エネルギーやスタートアップなどの業界を担当。PwC JapanではThought Leadershipの企画立案、編集、執筆をリード。
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