AIエージェントとは:用語解説

AIエージェントとは

AIエージェントとは、目標の達成に向けて、AI技術を用いて状況を観察(理解)、思考(計画)、判断(意思決定)、実行し、環境に応じて改善のループを回しタスクを遂行する、自律的または半自律的なソフトウェアです。こうした自律的に考え行動するAIエージェントは、データドリブン経営における意思決定の高度化を力強く支援します。

AIエージェントと生成AI/エージェンティックAI

生成AI(Generative AI)とは、ユーザーからの指示(プロンプト)に基づき、文章、画像、音声、プログラムコードといった新しいコンテンツを創り出す(生成する)AIのことです。特にテキストを入力としてコンテンツを生成するものをLLM(大規模言語モデル)と呼ぶことがあり、その強力な推論や言語処理能力は、AIエージェントにも活用されています。

●生成AIとAIエージェントの違い

生成AIが1回のパスで応答を生成するのに対し、AIエージェントは生成AIなど様々なツールを活用しながら「観察→思考→判断→実行」のサイクルを自律的に繰り返し、環境との相互作用などを加味しながら、段階的に目標に近づきます。

●エージェンティックAIとは

エージェンティックAIとは、複雑なタスクに対し、目標分解・計画・実行・評価・修正といった高度なループを自律的に行い、長期的かつ複雑な課題の解決を目指すAIの仕組みを指すものです。AIエージェントは、このエージェンティックAIの仕組みを使って実装されたAIと理解できます。アナロジー的には、エージェンティックAIが電気のような汎用技術であり、AIエージェントは冷蔵庫・洗濯機・テレビのような製品と考えることができます。

●AIエージェントの種類(一例)

AIエージェントの種類としては、主に以下が挙げられます。

  • ワーカーAIエージェント:個別タスク遂行に特化したエージェントです。
  • オーケストレータAIエージェント:課題を理解し最適なワーカーAIエージェントをセキュアに連携させながら業務を自律的に遂行させる司令塔エージェントです。
  • ヴェリファイヤーAIエージェント:AIエージェントが生成した出力を、ガバナンスやセキュリティなど多角的な観点で評価し、信頼性を向上させる品質管理エージェントです。

関連する概念としてマルチエージェントAIがあります。マルチエージェントAIとはこれらのAIエージェントが協調し、タスクを遂行するための形態を指します。

AIエージェント、オーケストレーター・ワーカー・ヴェリファイヤーの役割構造図

AIエージェントの仕組み

●AIエージェントの連携形態による分類

AIエージェントは、前述の通り、単独でタスクを実行する場合もあれば、複数のエージェントが協力してより複雑な目標を達成する場合もあります。単純な応答生成ではなく、様々なAIエージェントが協力していく形で動作し、その協力の仕方も種々あります。

  • 単一AIエージェント(Single AI Agent)
    単独でタスクを実行するエージェント。問いかけに適切に答えられるか、与えられた目標を達成できるかが評価基準となります。最も基本的な形態で、シンプルなタスクや明確に定義された作業に適しています。
  • 階層型マルチエージェント(Multi AI Agent - Hierarchical)
    他のAIエージェントを効果的に使いこなせるかが評価基準となります。マネージャーエージェントが複数のワーカーエージェントを統括し、タスクを割り当て・調整する階層構造です。大規模なプロジェクトや複雑なワークフローに適しています。
  • 水平型マルチエージェント(Multi AI Agent - Flat)
    他のAIエージェントと意思疎通しながら自分の利益を最大化できるかが評価基準となります。対等な関係のエージェント同士が協調または競合しながらタスクを実行します。分散型システムや協調問題解決に適しています。

●AIエージェントのレベル(属性×自律性)

AIエージェントのレベルは主に、その能力や性質を特徴づける「属性」と、目標達成に向けた「自律性」の観点から整理できます。
各属性と自律レベルの掛け合わせで、AIエージェントレベルが決まります。

  • 属性:各属性はユースケースに応じて使用される場合もあれば、使用されない場合もあります。
    • 適応性(Adaptability)
      時間とともに変化するデータに含まれる基本的な情報や変化を捉え、継続的に更新する能力。環境の変化に応じて行動戦略を調整します。
    • 計画性(Planning)
      目標を達成するために、一連の行動やタスクを体系的に設計し、調整する能力。複雑なタスクをサブタスクに分解し、実行順序を最適化します。
    • 拡張性(Extensibility)
      AIが外部ツールやリソース(例:データベース、API、特定のソフトウェアなど)を効果的に活用し、その能力を拡張することです。ツール使用により、LLM単体ではできない処理を実行します。
    • 高度化(Enrichment)
      様々な状況において多様かつマルチモーダルなデータを活用し、複数の視点からの洞察を可能にします。テキスト、画像、音声など複数の形式のデータを統合的に処理します。
    • 連携性(Connectivity)
      複数のAIエージェントが互いに連携し、情報を共有しながらタスクを分担することで、より複雑な問題や大規模なプロジェクトに対応します。マルチエージェントシステムにおける協調動作を実現します。
    • 自発性(Proactivity)
      次に何をすべきか(タスク)を自ら判断します。次のタスクを自明でないものにすることで、エージェント自身がそれを解決し、知識を拡張しながら成長していきます。受動的な応答ではなく、能動的に問題を発見・解決します。
  • 自律性:エージェントが目標達成のために追加情報をどのように取得できるかで、以下のように区分できます。
    • レベル1:常にユーザーに質問して確認する
    • レベル2:事前に導入されたメモリを活用し、一部の質問を省略できる
    • レベル3:過去の経験から学習することができる
    • レベル4:自ら生成したタスクの事例からも学習できる
    • レベル5:常に学習し続ける

富士通が取り組むAIエージェントとは

富士通のAIエージェントは、人とAIが協働し、業務効率化と創造性向上の実現を目指すソリューションです。従来のAIが担ってきた静的な分析支援から進化し、現場の状況や将来予測に基づいて、自律的に意思決定をサポートします。
以下、UvanceにおけるAIエージェント戦略と、富士通が目指すエージェンティックAIを紹介します。

●意思決定を支えるAIエージェントの3つの柱

  • 柔軟性と生産性を向上「業務特化型エージェント」
    特定の業界や業務領域に合わせて設計されたAIエージェントです。Uvanceでは、日本語に強い業務特化型の大規模言語モデル「Takane」や、企業データを正確に読み解く生成AIフレームワークなど、AIエージェントの活躍を支える技術基盤を自社開発しています。これらの技術と、深い業種知見、高いアプリケーション開発力を組み合わせることで、業務特化型エージェントの価値を最大限に引き出しています。
  • 複雑な課題を解決「マルチエージェント化・マルチベンダー化の推進」
    役割や専門性の異なる複数のAIエージェントが連携することで、単独のエージェントでは対応が難しい複雑な課題にも柔軟に対応できます。Uvanceでは、エージェント間の通信や行動を横断的に監視・制御するSecure Agent Gatewayなど、マルチAIエージェント技術の開発・提供を行っています。また、Agentforceなどパートナー企業のエージェントと協働することで、企業全体の幅広い業務領域をカバーし、異なるAIエージェント同士が安全かつ効果的に協働できる環境を実現しています。
  • 安心できる環境づくり「信頼性の担保と適切なガバナンスの構築」
    AIエージェントを多様なシステムと連携させ、企業の重要な意思決定に活用するためには、万全なリスク対策が不可欠です。Uvanceでは、生成AIトラスト技術によるハルシネーション対策など、最新のセキュリティ技術を活用し、安心・安全なAIの提供による信頼性の確保を実現しています。また、AI倫理やセキュリティ、プライバシーの分野で長年にわたり研究を重ねてきた知見を活かし、適切なガバナンスの構築に力をいれ、企業がAIを安心して活用できる環境づくりを支えています。

●富士通が描くAI「自律的な意思決定と協働」を目指して

富士通では、生成AI(Generative AI)が言葉の意味を理解し、人とAIが自然なコミュニケーションを行うことを可能にします。AIエージェントは、ルールに則って自動的に次のアクションを判断・実行します。さらに現実世界の状況から学習し、自律的に状況を判断し、最適なアクションを実行します。業務領域ごとに特化したAIエージェント(業務特化型エージェント)や複数のAIエージェントが連携する(マルチエージェント化)ことで、互いの知能を連携し、より複雑な課題にも対応します。
次世代のエージェンティックAIは、人と目的を共有し、収集・分析した情報を基に自律的に次のアクションを判断・実行することで、人と協調しながら最適な意思決定を支援します。富士通は、さらなる企業活動の高度化の実現に向け、人とロボットが協調する新しい社会の実現に向けたフィジカルAIへの研究開発にも取り組んでいます。

AIエージェントを中心としたGenerative AIからPhysical AIへの進化プロセス図

よくある質問

Q1.AIエージェントとAIアシスタントの違いは何ですか?

A1.AIエージェントはAgentic AIを活用したアプリケーションで、AIアシスタントはAIエージェントの一種です。

Q2.AIエージェントの利点は何ですか?

A2.生成AIを使う場合と比べて、AIエージェントではより深い回答を得ることができます。

Q3.AIエージェントの欠点は何ですか?

A3.AIエージェントは内部で複数回の思考や処理を行うため、 処理に時間がかかり、場合によってはコストが高くなる傾向があります。

関連サイト

関連リンク

関連用語

Fujitsu Library

~富士通がトレンドキーワードをわかりやすく解説~

IT用語やビジネス用語、よくある質問まで、今さら聞けない言葉や疑問を富士通の取組みと合わせてわかりやすく解説します。