シリーズ:信頼できるAI「持続可能」編 あなたのAIはルネサンスの「未完の夢」を繰り返しますか?
Article | 2026年7月6日
15~16世紀の欧州、ルネサンス期は創造的で革新的なアイデアが満ち溢れていた。当時のスケッチブックには、後世の人々が目を見張るような壮大なビジョンが描かれている。ある発明家は鳥のように空を飛ぶ機械を構想。またある者は、石造りの巨大な聖堂を築こうと前例のない建設機械を設計した。
しかし、多くは限定的な実現にとどまるか、美しい設計図のまま眠りにつく。なぜなら、それらのポテンシャルを解放し、社会変革を促す力となる、動力がなかったからだ。人力や畜力、ゼンマイ仕掛けの力を遥かに超える軽量で高出力、持続可能なエネルギー源がこの時代にはまだ存在しなかった。
壮大なビジョンも、それを支えるサステナブルな動力がなければ「未完の夢」に終わる。歴史が証明する厳然たる事実は、形を変えて現代の経営に大きな問いを投げかけています。
現代の経営課題:AIの「エネルギー制約」
AIは現代の最も大きなイノベーションの一つです。しかし、性能が高くなるほど、あるいは私たちの活用が深化するほど、500年前の発明家たちと同じような壁に直面します。
それはエネルギーの制約です。AIが抱えるボトルネック、すなわち「持続可能性」を確保しなければ、成長と変革の好循環を回すことはできないからです。AIの普及によるデータセンター向けの電力消費は大きく増える見通し。AIの「燃費の悪さ」にどう対峙するか、各国・地域の大きな共通課題に浮上しています。成長と変革の未来へ飛び立つには、持続可能性の翼をAIに与えることが欠かせないのです。
Uvance Wayfindersの信頼できるAIとは「持続可能」であること
私たちがこうした課題に真正面から取り組むのは、まさに富士通の歴史そのものだからです。
私たちは、理化学研究所様と共同でスーパーコンピュータ「京」や「富岳」を開発し、世界トップレベルの「性能」と「エネルギー消費」の両立という、相反する課題に長年挑み続けてきました。その過程で培った技術と知見を結集し、AI時代の要請に応える省電力・高性能を追求して開発されたのが次世代CPU「FUJITSU-MONAKA*1」です。この課題解決への絶え間ない挑戦こそが、私たちの知見の源泉となっています。 持続可能性へのあくなき追求は、連綿と受け継がれている富士通のDNAそのものです。
この歴史は、Wayfindersが「信頼できるAI」の5要素として掲げる「持続可能」の土台です。持続可能とは「AIを動かすのに必要な電力やコストを抑え、長く使い続けられること」を意味します。
富士通が開発を進める次世代CPU「FUJITSU-MONAKA*1」は、競合他社比で電力効率2倍を目指し、2027年の実用化を目標としています。この優れた省電力性能と高いパフォーマンスは、データセンター向けサーバーをはじめ、AIやHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)領域における多様なコンピューティング基盤に活かされます。グローバルパートナーとの戦略的連携を通じて、お客様のサステナビリティ経営に貢献していきます。
LLM(大規模言語モデル)向けのAI軽量化技術*2も開発しています。1ビット量子化技術により、メモリ消費量を最大94%削減し、推論処理を3倍に高速化します。これにより、従来は高性能なGPUを複数必要とした大規模AIモデルを、少ない計算資源で高速に動作させることが可能となり、AI活用の持続可能性を大きく高めます。
「持続可能」なAIが拓く未来
エネルギーの制約という課題を乗り越えた先にあるのは、社会やビジネスのいたるところにAI技術が浸透し、さらなるイノベーションのサイクルが力強く回り始めている世界です。こうした世界では、企業のビジョンや戦略の実現可能性は大きく高まり、「ありたい未来」をぐっと引き寄せるでしょう。
工場で自在に動くロボットアーム、街中を飛び交う配送ドローン、介護を一手に引き受ける人型ロボット。AIエージェントが自律的に考えて判断し、様々なフィジカルAIを軽やかに動かしています。創薬の現場では、研究者のタブレットで働くAIエージェントが量子アプリと連携し、新薬の候補を瞬時に提示。スマートファクトリーではロボット同士が自律的に協調し、生産ラインを組み替えてサプライチェーンの障害に素早く対応しています。
エネルギーの制約はイノベーションの障壁ではありません。むしろ、既存の発想を打ち破り、よりレジリエント(強じん)でサステナブルな解決策を生み出す起点になります。持続可能性を持つAIは、人間とAIの共創の輪を広げ、社会やビジネスの成長をいっそう確かなものにするのです。
あなたの「ありたい未来」はどんな未来ですか。信頼できるAIと共に、実現への最初の一歩を踏み出しましょう。
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*1 FUJITSU-MONAKA
この成果は、NEDO (国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構) の補助事業の結果得られたものです。
- *2 2025年9月8日プレスリリース
なぜ、AIは「使える」だけでは足りないのか。
AIが社会やビジネスの基盤となるいま、AIの価値は「性能」だけでは語れません。
評価軸は「信頼性」へ――信頼を欠くAIは、レピュテーションの失墜や業務の中断といった経営リスクにもつながります。
Wayfindersが整理した「Trust in AI」という考え方をご紹介します。
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