AIに信頼を組み込むための新たな視点:Trust in AI ソブリン
データとAI主権の重要性はかつてなく高まっています。データが適切に管理され、AIシステム自体が外部からの不当な影響を受けずに自律的に機能する「ソブリン」は現代の経営において不可欠です。
AIがチームのように協力して業務を進める技術「マルチAIエージェント技術」
信頼を支える技術
マルチAIエージェント技術は、複数のAIエージェントがチームのように業務を遂行し、日々の実行結果や人によるフィードバック、制度改定や仕様変更といった変化を踏まえて、継続的かつ安全に自律学習する技術です。各AIエージェントは、業務を進めながら成功・失敗の理由を整理し、次に活かすべき知識や行動のコツを抽出します。そのうえで、品質や安全性を検証し、有効なものだけを学習します。
ビジネスにおける価値
この技術が企業にもたらす価値は、 AIを業務に適用する際に必要だった専門家による継続的な調整を減らし、業務運用の中でAIが自律的に進化し続ける仕組みを構築できる点です。 結果として、企業はAI専門人材に大きく依存することなく、自社業務に合ったAIを短期間で構築し、継続的に改善できるようになります。
活用イメージ
【膨大な情報の「見つけきれない」を解決】
電子カルテを含む業務システムでは、法改正や制度変更のたびに影響範囲を調べる必要があります。しかし、どの文書や仕様を確認すべきかの判断は難しく、熟練者の経験に頼るのが一般的でした。この作業にマルチAIエージェントを適用することで、AIが過去の検索結果や人の修正内容を学習し、関連する文書まで含めて探し出せるようになります。これにより、従来は人が試行錯誤して作り込んでいた調査の仕組みを代替し、手間を抑えながら漏れの少ない影響調査を可能にします。
AIで守り、AIも守るセキュリティ技術「AIセキュリティ技術」
信頼を支える技術
AIセキュリティ技術は、脆弱性や新たな脅威へ対応する技術です。たとえば、攻撃・防御・検証といった役割を持つ複数のAIが協働することで、システムに潜む脆弱性の検出、想定される攻撃パターンの分析、対策の有効性検証までを一貫して支援し、従来は人手に依存していたセキュリティ対策の自動化・高度化を実現します。加えて、生成AIの普及に伴い増加している「プロンプトインジェクション(不正な指示によるAIの誤動作)」のような新しい脅威にも対応できます。
ビジネスにおける価値
この技術が企業に与える価値は、セキュリティ対応コストを抑えながら、従来の対策プロセスでは難しかった脆弱性やサイバー攻撃に対して、迅速な対応を実現できる点です。加えて、非専門家でもプロアクティブな防御を実現できるため、セキュリティ運用の負担を軽減しつつ、安心・安全なAI・システム運用を支援します。
企業や組織の壁を越えて、データとAIを安全につなぐ技術「データ・AIスペース連携技術」
信頼を支える技術
データ・AIスペース連携技術は、参加者のデータ主権を守りながら企業や組織の枠を超えてデータを連携し、AIによる意思決定に活用することで、単独では解決しにくい社会課題への対応や新たな事業機会の創出を可能にする技術です。従来、企業間でのデータ共有はセキュリティや契約制約の観点から活用範囲に限界がありました。本技術では、データを移動させずに、利用条件やアクセス権を制御しながら連携する仕組み(データスペース)と、分散環境でAIを実行する仕組みを組み合わせることで、複数の企業・組織にまたがるデータを横断的に分析・活用することを可能にします。
ビジネスにおける価値
この技術が企業に与える価値は、企業や業界を超えたデータ共有を通じて、企業単独では得られなかった新たな洞察や、より精度の高い意思決定が可能になる点です。従来の企業・組織ごとのサイロ化を解消し、信頼性のあるデータ流通を実現することで、サプライチェーンの最適化や需要予測の高度化が可能になり、またデータを持つ企業同士が連携することで新しいサービスやエコシステムを構築できるといった利点につながります。
エンタープライズ向け生成AI「Takane」
信頼を支える技術
Takaneは、エンタープライズ向けの利用を前提に設計された大規模言語モデル(LLM)です。企業/業務に特化した用語や専門知識を深く理解し、高い精度を発揮できることに加え、セキュアな環境で利用しやすい点が特長です。生成AIが広く使われる一方で、企業では機密性の高い情報を扱うため、安心して使える環境が求められます。Takaneは、そうした要件に応えるため、プライベート環境で利用しやすく、業務や業種に合わせたチューニングが可能な形で提供されます。
ビジネスにおける価値
この技術が企業に与える価値は、機密性を保ちながら、自社業務に合った生成AIを実務で活用しやすくする点です。生成AIの導入では、性能だけでなく、情報の取り扱い、安全性、業務への適合性が重要になります。Takaneは、高い日本語処理能力に加え、企業固有のデータで調整しやすく、既存業務や基幹システムにも組み込みやすい設計です。そのため、PoCで終わらず、実際の業務に活かせるAIへ展開しやすくなります。
活用イメージ
【パブリックコメント業務の効率化】
政策や制度づくりでは、国民から寄せられる多くの意見を丁寧に確認し、政策へ反映させる必要があります。しかし、作業量が膨大なため、すべての意見を十分に精査し、適切に反映させるための時間が不足しがちです。Takaneをパブリックコメント業務に活用することで、意見の賛否分類、要約、法令案との関連確認を支援することができます。これにより、行政職員は意見整理にかかる負担を抑えながら、意見内容の精査や政策判断につなげる業務に、より集中しやすくなります。
高性能かつ省電力性をAI向けに追求したMade-in-Japan CPU「FUJITSU-MONAKA」
信頼を支える技術
FUJITSU-MONAKA*1は、 Armアーキテクチャを採用した次世代国産CPUです。最先端2nmプロセス、3Dメニーコアアーキテクチャ、超低電圧動作技術により、高い処理性能と優れた電力効率を両立します (競合CPU比2倍*2)。Arm SVE2やPCI Express 6.0(CXL3.0)の採用に加え、Confidential Computingにも対応し、AI、クラウド、エンタープライズ基盤に求められる性能・効率・信頼性を支えます。2027年のFUJITSU-MONAKAリリースに向け、2026年夏よりFUJITSU-MONAKAを搭載したPoCマシンによるトライアルを開始予定です。また、2029年には更なる後継製品となるFUJITSU-MONAKA-Xをリリース予定です。
*1 この成果は、NEDO (国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構) の補助事業の結果得られたものです。
*2 2027年リリース時期を想定した当社性能推定値に基づく。性能は、使用状況、構成、その他の要因によって異なります。
ビジネスにおける価値
AI活用の拡大により、データセンターでは電力容量、冷却設備、設置スペースの制約が大きな課題になっています。FUJITSU-MONAKAは、世界最高レベルのスーパーコンピューター開発で培った富士通独自の設計技術により、データ処理やAI推論への活用が可能であり、70Bパラメーター規模までの中規模LLMであればFUJITSU-MONAKA単独で動作し、AI推論基盤の構築、TCO*最適化、ソブリンAI基盤強化に貢献します。
*Total Cost of Ownership:総保有コスト
活用イメージ
【唯一の次世代国産CPUでグローバルにAI基盤を支える】
[データセンター向け]FUJITSU-MONAKAは、AI推論に適した設計・技術により、GPUに依存しない次世代AI推論基盤として活用できます。高い省電力性能を活かし、既存データセンターにも導入しやすく、RAG、QA、要約、業務自動化などのAI活用を支えます。また、汎用オンプレミス基盤としても活用でき、消費電力削減を通じてTCO最適化に貢献します。
[安全保障向け]国産CPUとしての信頼性とConfidential Computingを活かし、防衛・行政など機密性の高い領域におけるソブリンAIや、セキュアなデータ処理基盤として活用できます。閉域・オンプレミス環境でのAI推論や、機密データを扱う基盤の高度化を支援します。
新たな計算基盤となる次世代コンピューティング技術「量子コンピュータ」
信頼を支える技術
量子コンピュータは、原子や電子などのミクロな世界を記述する量子力学の原理を利用して計算を行う技術です。量子コンピュータは「量子ビット」を情報の最小単位として利用し、「重ね合わせ」や「量子もつれ」などの量子特有の性質を利用して計算を行います。これにより、従来のコンピュータが「0か1」で計算するのに対し、量子コンピュータは複数の状態の重ね合わせを利用した計算が可能になります。 この仕組みにより、特定の問題においては、従来のコンピュータでは計算が困難な問題を、より効率的に処理できる可能性があります。
ビジネスにおける価値
この技術が企業に与える価値は、従来のコンピュータでは計算に膨大な時間がかかり、事実上解くことが難しかった特定の問題を現実的な時間で解ける可能性がある点です。 たとえば、新薬、触媒、次世代バッテリー材料の設計といった化学分野や、配送ルート、工場スケジューリング、金融ポートフォリオ最適化のような分野での活用が期待されています。
多様な計算資源の組合せにより高い計算能力を発揮するハイブリッド技術「量子HPCハイブリッド計算技術」
信頼を支える技術
量子HPCハイブリッド計算技術は、量子コンピュータと従来のコンピュータ(HPC=高性能計算)を組み合わせて活用する技術です。量子コンピュータが実用化されても、従来のコンピュータがすべて量子コンピュータに置き換わるわけではなく、両者は相補的に利用されます。さらに、デジタルアニーラ等の量子インスパイヤード技術やAIといった多様な計算手法を組み合わせることで、課題に応じた最適な計算を実現します。このように、各計算リソースの強みを活かして統合する技術が今後ますます重要になります。
ビジネスにおける価値
この技術が企業にもたらす価値は、短期的には、量子コンピュータ単独ではまだ十分な精度での計算が難しい段階において、HPCやHPC上で動作する量子シミュレータを活用することで、量子アプリケーションの検討・開発が可能にな点にあります。中長期的には、量子コンピュータが実用段階に進展することで、量子コンピュータ、HPC、さらにAIなどの技術を組合せ、従来技術では困難であった計算課題に対して新たなアプローチが可能になることが期待されます。