個人のパーパスを、組織成長の原動力に。東京電力が実践した「Purpose Carving」による経営理念の浸透

東京電力ホールディングス株式会社様との集合写真

2023年12月12日

変化の激しい昨今。多くの企業において、時代の流れに応じた組織変革が求められています。
東京電力ホールディングス株式会社(以下、東京電力HD)も変革へ取り組む企業の一つ。2021年7月、20年ぶりに経営理念の改定を行い、全社員への浸透に向けて様々な施策を行ってきました。

富士通は、お客さまのビジネスパートナー・DXパートナーとして組織変革をサポートするべく、グローバル含めた7万人の社員が実践した、変革の原動力を作る対話のプログラム「Purpose Carving」を、お客さまに向けて提供開始しました。

東京電力HDは、社員一人ひとりが新たな「東京電力グループ経営理念」をより”自分ごと”にすることを目的として、各組織長に向けてPurpose Carvingを実施。個人のパーパスを彫り出すことで得られた気付きや、その先に実現したい未来について、東京電力HD新経営理念プロジェクト本部事務局で本取り組みを担当した渡部 弘達 氏、富士通でPurpose Carvingをサービス提供する岨下 見和子、福村 健一に話を聞きました。

予測困難なVUCA時代。柔軟な組織作りの原動力になる「個人のパーパス」

これまでにないスピードで世界が目まぐるしく変化する、激動の「VUCA時代」。
不確実性が高く、将来の予測が極めて困難な現代を企業が生き抜くには、変化に対応できる柔軟な組織風土が必要不可欠です。

私たち富士通も、社会に対して果たすべき役割を見つめ直し、「IT企業からDX企業への転換」へ大きく舵を切ることになりました。「顧客や社会のDXをサポートするためには、まず富士通自身のDXが必要」という考えのもと、富士通自身を変革する全社DXプロジェクト(Fujitsu Transformation:フジトラ)に取り組んでいます。

その要となっているのが、社員一人ひとりのパーパスを彫り出し言葉にする、富士通独自のプログラム「Purpose Carving」です。個人のパーパスと、自社の考えとの重なり合いを見出すことで、企業のパーパスや理念を“自分ごと”とし、変革の原動力とします。
約7万人(2022年9月時点)の社員のパーパスを彫り出してきたノウハウをもとに、DXに取り組むお客さまに対してもプログラムを提供しています。

社会状況の変化へ真摯に向き合い、組織変革に取り組む東京電力グループ

世界の変化に対応すべく、多くの企業が経営理念の見直しや、抜本的な組織変革に取り組む中、東京電力グループも改革に着手。エネルギーを取り巻く環境は日々大きく変化し、また複雑化していることを受けて、2001年から掲げてきたグループ経営理念を大きくアップデートしました。常に「お客さまのために」、「変革への挑戦」を続け、エネルギーが持つその先の可能性までを見据えた経営理念を打ち出しています。

参考:東京電力ホールディングス株式会社「グループ経営理念・企業行動憲章」
参考:東京電力ホールディングス株式会社「グループ経営理念・企業行動憲章」
https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/group_philosophy/

――実に20年ぶりの改定ですが、経営理念を改定された想いをお聞かせください。

渡部 氏:カーボンニュートラルの実現を目指す世界的な潮流、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)への社会的関心の高まり、電力レジリエンスの確保など、当社を取り巻く環境は急速に変化しています。
この社会状況の変化へ真摯に向き合い、東京電力グループの存在意義や目指すべき姿を見つめ直すことが重要と考え、将来の東京電力グループを担っていく若手・中堅社員と、経営層が議論を重ねて策定しました。

私たちは、この経営理念のもと、社会状況の変化に真摯に向き合い、さらなる企業価値の向上と福島への責任を果たしていくため、真にお客さま本意の経営に徹していくための取り組みを進めています。

東京電力ホールディングス株式会社 新経営理念プロジェクト本部事務局 副長 渡部 弘達 氏
東京電力ホールディングス株式会社 新経営理念プロジェクト本部事務局 副長 渡部 弘達 氏

新経営理念をより"自分ごと"に。東京電力グループの各組織長へPurpose Carvingを実施

――経営理念の改定以降、組織改編をはじめ社内向けにも様々な変革を進めていらっしゃるとお聞きしています。今回、なぜPurpose Carvingを実施されようと思ったのでしょうか。

渡部 氏:東京電力グループの存在意義を表現した経営理念と、社員本人が当社で働く動機づけを重ね合わせることで、「当社で働くことで社会やお客さまにどんな価値を生みたいか」を一人ひとりが考えるきっかけとなり、このことが真のお客さま本位の経営の原動力になると考えたからです。

まずは私自身が、富士通さんのPurpose Carving体験会に参加いたしました。参加する前は、正直なところ、その効果について半信半疑でしたが、実際に体験してみると、その考えが大きく変わりました。

日々業務を遂行する中で、自分と向き合う機会はなかなかありません。これまでの自分の歩みを言葉にする過程で、考えたことがなかった新たな視点から自身の歩みを振り返り、気付きを得ることができました。また、自身のパーパスや価値観が明確になった後に、経営理念について考えると、重なり合う部分があることも実感しました。
さらに、他の参加者から「言葉のギフト」を受け取ることで、対話を通じて考え方が変わり、新たな刺激を得ることができました。非常に有意義な経験だったと感じ、各組織の組織長に向けて開催するに至りました。

――実際にPurpose Carvingを行われてみて、いかがでしたか。

渡部 氏:新経営理念を継続的に体現していくことを目指し、3つのプログラムを企画しました。「リーダーシップ」「強い組織をつくる」そして「個人のパーパス」をテーマに、「組織長ワークショップ」として実施しました。
約350名の組織長に対し、参加したいプログラムにエントリーいただく形で募集を行ったところ、「個人のパーパス」については100名を超える組織長から参加希望の申し出がありました。これだけ多くの組織長が関心を示すプログラムを実施できたことは、事務局として大変喜ばしい結果だと感じています。

――参加された方からの反響など、お聞きになったことがありましたら教えてください。

渡部 氏:実施に対する感謝の声が多数上がっており、事務局として非常に嬉しく思います。
また、定期的な開催を望む声や、組織のメンバーにも参加を勧めたいという声も寄せられ、これは大きな成果だと感じています。

プログラムに参加した組織長自らが起点となり、組織のメンバーを巻き込み「お客さまの期待を超える価値をお届けするために変革に挑戦する」行動実践を加速することを期待しています。

参加者からいただいたコメント(一部抜粋)

  • 会社のパーパスと自分のパーパスを同じ方向に合わせるのではなく、合成することで変革の力となる、ということを非常に共感した。
  • Purpose Carvingを通じて、メンバーの行動を変容させる上で大切なことは、自分がどうしたいのかをしっかりと自覚して、その思いを絶え間なく伝え続けることと理解した。自分がどうしたいのかを自分の言葉で熱く語るためには、自分の心の奥底にある価値を彫り出していく必要があり、今回の研修によって自分の価値基準がどこに由来しているかを改めて認識できた。
  • 他人から自分のタイプを教えてもらうセッションは自分自身を振り返る良い機会だった。
  • 社外の方の講話やワークショップにより、世の中の情勢を知ることができ有意義な情報が得られた。
ワークショップの様子

約7万人の富士通社員に提供したプログラムを社外展開。個人のパーパスを組織カルチャー変革の礎に

「IT企業からDX企業への転換」を目指す富士通。創立85周年に、パーパス「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を新たに掲げてからは、これをベースとした全社DXプロジェクト(Fujitsu Transformation:フジトラ)を進め、「日本型DXフレームワーク」を実践してきました。
社員一人ひとりがパーパスを体現する組織となるよう「社員個人のパーパス」に注目し、全社DXプロジェクトの要として生まれたのが、Purpose Carvingです。

――個人のパーパスは、どのようにしてDXにつながるのでしょうか。

福村:DXを実現するには、社員一人ひとりが自発的に変革の行動を起こせるような組織カルチャーを根づかせることが非常に重要と言われています。フジトラも、カルチャー変革にフォーカスした取り組みです。社員全員が考え、自ら手を挙げて変革を実行する、全社員参加型のカルチャーの実現を目指しています。

そのために、対話型のプログラムを通じて、社員一人ひとりが”自分ごと”として取り組めるようにしています。対話しながら自身のパーパスを磨きあげることで、改めて自社のパーパスと自身のパーパスの結びつきを見つめ直し、変革の原動力としていくことができます。社内の多様な人材が持つ変革の原動力を合わせると、多様な合力が生まれ、全員参加型での自社の変革を実現できます。

岨下:組織のトップが自らの言葉で社員に対して方針を伝えることは重要です。しかし、どんなに素晴らしい話を聞いても、それを”自分ごと”として捉えなければ、自身や組織の変革のきっかけにはなりません。組織のパーパスや理念を”自分ごと”にすることが変革の第一歩であると、私たちは考えています。

――Purpose Carvingをお客さまへ提供することにより、どのような貢献ができるのでしょうか。

岨下:会社が描くパーパスと自身のパーパスを紐づけて、"自分ごと”にすることで、会社と社員が共に成長する組織を実現できる効果があります。社内風土の変革や、自社のパーパスの定着を行いたいというお客さまに、ぜひ活用いただきたいと考えています。

――今回、東京電力グループにPurpose Carvingを実施しました。印象的だった出来事や、手応えを教えてください。

福村:グループワークでは、組織長というお立場でありながら、異なるミッションを担う方々であるからこそ、共感するポイントの視座が高く、他の参加者へ贈る言葉のギフトが的確で温かいと感じました。そして、ご自身のパーパスを言葉にすることで、心の中に持っていた価値観をもとに、自社でどのようなことを成し遂げたいのかという気持ちを整理いただけたかと思います。「お客さま起点で変革に挑戦する」という想いがより強くなったと感じました。

岨下:今回の目的は、一人ひとりが持つ変革に向けた想いを、経営理念と重ね合わせながら可視化し、「パーパス」というかたちで一人ひとりの行動指針への変換を促すことでした。
特に、組織長という役割を担う皆さまだからこそ、ご自身だけでなく、どのように現場メンバーの行動変容につなげていくかを意識していただくための場をつくりました。組織全体が「お客さま起点」で自律的に行動するためには、個人の意識変革に加え、それを後押しする組織風土の形成が必要であることを、当社の事例を交えてご紹介しました。

富士通株式会社 CEO室 CDXO Division マネージャー 福村 健一(写真左)、グローバルテクノロジーソリューションBG デジタル・ワークプレイス事業本部 シニアマネージャー 岨下 見和子(写真右)
富士通株式会社 CEO室 CDXO Division マネージャー 福村 健一(写真左)、グローバルテクノロジーソリューションBG デジタル・ワークプレイス事業本部 シニアマネージャー 岨下 見和子(写真右)

富士通は、お客さまの成功と持続的な成長を追求するため、変革に伴走したい

――今後の取り組みや、組織や従業員に期待する変化について教えてください。

渡部 氏:参加した組織長に対して、プログラムを通じて得た気付きをどう現場で行動実践しているか、その結果を確認しているところです。この行動実践により、私たちにとってPurpose Carvingがどのように活用され、どのように変革されるのかを期待しています。
そして、特に優れた取り組みがあれば、その好事例を、各組織長に提供し、広く展開したいと考えています。事務局として、今回の機会をさらに発展させていけるよう取り組んでまいります。

Purpose Carvingを一つのきっかけとして、各組織長を中心に、社員一人ひとりがお客さま本意で自らの行動を変えていくことを期待しています。
今後も「真にお客さま本意で変革に挑戦する企業文化を確立し、信頼され選ばれ続ける東京電力グループ」になるために、社外の皆さまから学びながら取り組みを進めてまいります。

――Purpose Carvingを多くのお客さまに提供することによって、どのような社会を実現したいですか。

岨下:富士通のパーパスは「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」です。お客さまの成功と持続的な成長を追求するため日本企業を活性化させ、ともに成長する風土を作っていきたいと考えています。

これからも富士通は、全社DXで得た知見を生かしながら、お客さまが持つあらゆる課題と向き合い、DXに伴走してまいります。

東京電力ホールディングス株式会社 新経営理念プロジェクト本部事務局 副長 渡部 弘達 氏

東京電力ホールディングス株式会社
新経営理念プロジェクト本部事務局
副長
渡部 弘達 氏

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